【BLEACH二次創作】藍染惣右介編 ~思惑と幻想の先~ 第二話
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試み
霊王の静かなまなざしが、藍染惣右介を見据える。意思を感じさせないその目は、まるで全てを受け入れる無限の虚無を象徴しているかのようだった。
「……そういうことか。」
藍染は冷笑を浮かべ、ふと視線を下げた。彼の周囲には倒れ伏した零番隊の五人が静かに横たわっている。彼らの力は確かに強大だった。しかし、それは藍染の前では意味を成さなかった。
鏡花水月の真価
藍染は霊王に一歩ずつ近づきながら、静かに口を開く。
「全ての戦いがそうだが、力だけでは世界を動かせない。必要なのは知略……そして、この鏡花水月の力だ。」
藍染がふっと右手を掲げた。その瞬間、霊王宮全体が微かな揺れを見せる。目に見えない何かが空間全体に広がり、霊王を覆う光が一瞬、揺らいだ。
「お前の視界には映らないだろう。だが、この瞬間、鏡花水月の力がお前に触れた。どんな存在であろうと、完全催眠からは逃れられない。」
霊王に催眠がかかった瞬間、周囲の空間が歪み始める。それは霊王そのものを現実から切り離し、藍染の支配下に置いた証だった。
意外な感覚
だが、その時、藍染の表情に微かな変化が生じた。霊王から何か得体の知れない力が逆流してくる感覚。まるで鏡花水月の催眠に対抗する意志を持っているかのようだった。
「ほう……?」
藍染の興味は一瞬で頂点に達した。自らの力が完全ではないかもしれないという可能性に胸が高鳴る。この未知なる反応こそが、彼がここに来た理由だった。
「試してみよう。お前が本当に無価値なのかどうかを。」
藍染は鏡花水月を掲げたまま霊王にさらに近づき、その周囲の光をじっくりと見つめた。すべてを飲み込むつもりで、催眠の効果を徐々に強めていく。
その時の静寂
静寂が場を支配した。霊王宮に広がる光は一瞬にして色を失い、藍染の放つ霊圧だけが空間を満たした。
「……くだらない。」
藍染は失望の笑みを浮かべた。霊王の反応は弱く、予想を遥かに下回っていた。その存在を覆す必要すらないと確信した瞬間、藍染は背を向ける。
「やはり世界を変えるのは、俺自身の力で十分だ。」
そう呟くと、藍染は静かに霊王宮を後にする。その背中には、かつてない自信と計画の深まりを感じさせた。