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子供舌~杜甫と李白を齧って~

 ここ数年、中国文学ブームが到来している。もともとは老荘思想だの諸子百家やってたんだけど、ちょっと気が向いて三国志読んだら面白いのな、あれ! とりあえず一読して好きなのは呂布さんだったんだけど(最強なので)、孔明さんってこんなじゃないでしょ、ほんとはどんなお人だったん、とか、三曹ってここどうなって……とかやってるうちに漢詩読み始めてしまって。古い時代から見ていたんですけど、ようやく唐代まで辿り着きました。

 で、杜甫と李白ですよ。

 年齢的に李白と杜甫なんでしょうけど、杜甫の方がインパクトあるしすわりがいいので杜甫と李白でいきます。
 この二人、同じ時代に活躍した詩人なのに性格というか作風が真逆で。私からすると、杜甫がもう果てしなく暗くて、正直キツいレベル。本当はもう読みたくない

 賢い人って、暗くなりがちだし、陰気な文学とか古今東西読んできて耐性ついてるはずなのに、もうなんかキッツくて
 国破れて山河あり! とか雄大な感じもするし、彼の中では明るい詩みたいで読めるんですが、なんか他が結構ひどくて。酒宴の歌とかでもすげえボッチオーラ出してきてるし「九日藍田崔氏荘」、この人と友達になれそうにもない。この人宴会に来てても私は絶対隣に座らない。なんか、そんな感じで。

 で、世間評みてると「まあ杜甫はね~、若い人はわかんないでしょフフン」みたいな、これ分かってはじめて大人、みたいな評価らしくて。これはあれですよ、ビール飲めない人に対する「あ~、まだわかんないよね、若手は」的なオトナマウント

 人生の苦労や悲哀をわかってこそ、はじめて味わえるこの境地!

 杜甫読めるから、ビール飲めるからなんぼのもんじゃ~~い! 私別に子供舌じゃねえから。最近の寿司ワサビ少なくてケチッてんだか苦情が来るんだか知らねえけど内心腹立ってるから! というかね、苦労、してますからね? 杜甫だって不遇だ流浪だって言ってるけど、私だって相当たいへんなことなってる上に(障害者でシンママ)安定した収入いまだにねえし、実家は金持ちだけど機能不全だし、元夫は慰謝料養育費払って来ねえし、さんっざんだよ? でもだからって、暗くなることないじゃん。

 杜甫が韻の踏み方とか、対句とか、漢字のチョイスとかすごいんだろうなってのは、私でもひしひしと感じる。でもだからこそ。そのパワーをもっとポジティブに表現したら、これよりずっと……って思ってしまうのは、私だけじゃあないだろ?

 そりに比べて李白の方は、これはこれでほんとマジ酔ってんの? ってくらいにウェ~イしてて、それでも天才肌なのは伝わってくる。でもそれより先に頭の中でおっさんが踊りながら「はい、のんでの~んでのんで、もういっぱい! それそれそれそれ、もういっぱい!」みたいなこと言ってる幻聴がすごくて、これはこれで近寄りがたい……。

 私、モーツァルトって好きじゃないんですよね。これと全く同じ気持ちを、李白の詩に感じてゐます……私の中でこの人たちおんなじ枠。アインシュタインもひょっとしたら同じ枠だよね、あれは。

 じゃあ、どんな詩人なら文句ないの、って言われたら、日本人としてはうちの芭蕉さんを推していきたい。

 さみだれを! あつめてはやし! 最上川っっ!!

 ……小学生か。みたいなこの切れ味。かと思えば

 あらたふと~青葉若葉の日の光~

 また見たまんま……と思いきや、日光!? 日光に辿り着いたのか芭蕉さん。みたいなことしてきて、ああこの人、魔法使いなんだなって思うよ。天真爛漫な感じはするけど、モーツァルトより計算高くて、率直に好きですよね。私、日本人だし

 ただなぜか、芭蕉さんの句はオネェな感じで読んでます。あらたふと~(どんだけぇ~)みたいな。芭蕉さんがオネェだったかどうかは、知りませんが、まあそんな印象です。

 ……むしろお前の脳内どうなってんの、とか言われそうですが、割とそう読んでる人は多いと思うの(多数派)。ですよね? そうだと言ってえ~!(裏声)

 まあ何が言いたいかといいますと。人間、足腰鍛えてないとおかしうなるぞ、と。そんな風に思って、とりあえずダイエット兼ねてよく歩こうと思いました。え、なにこれ、作文? 作文ですけど、何か。(おわれ)


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