まあお訳古今集 恋はいちごを添えて
みなさんこんにちは! 秋も深まる恋の季節ですね。
自称作家の あまおう まあお です!
前回の記事、私にしては大変よく読まれまして、是非にも第2弾を、と思うのですがあいにく、現在読書ができない状況でして。
私も一応、作家なものですから……執筆期には読書ができないんですよね。
そういうわけで、これまたツイッターで和歌なぞ詠み申し上げて、お茶を濁そうと思ったわけですが。
あいにく、和歌は素人でしてね。
とりあえず、古今和歌集でも訳しておけば間違いなかろうと思ってはじめました。
好評……かどうかは微妙ですけど、もったいない精神で公開しておきますね。だいぶ意訳はなはだしいので、テストなどではおすすめできませんが、まあおなりの雅やかな恋の歌、ということで「いちご訳」と銘打ち全編自力で訳しております。間違ってたら、ごーめんね☆
例によってツイートそのまま。とれたていちごでお送りしています!
解説っぽいのは解説ではなくて、私の趣味です。私がこのお歌をいただいたら、落ちるか落ちないかだけが述べられているので、是非ご参考に素敵な恋の歌、詠んでみてくださいね……!
いいのできたら、あまおう まあお にお贈りください。いい感じだったら、返歌します……! よくなかったら「いひやれど、いらへもせず」ですが。
恋歌一 よみ人しらず
ほととぎす 鳴くやさ月のあやめ草 あやめも知らぬ恋もするかな
五月らしくほととぎすがさえずり、あやめは凛と花盛り。そして僕の恋は文目(あやめ)もなくただ迷うばかりです。
#いちご訳
あやめの花に掛かっている「あやめもなく」は分別もなく、わけがわからない様子。
錯乱状態の恋の苦しさを切々と訴えて……こんなのもらったら、ま、イチコロですよね☆
季節の歌は飛ばして、恋の歌から始めることにしました! こんな感じでやっていく所存です! #恋はいちご味
恋歌一 素性法師
音にのみきくの白露 夜はおきて昼は思ひにあへずけぬべし
菊の白露は夜は置いても昼の日に照って消える。貴女のことを聞けば私も夜は起きて昼は思い余って……いっそ露のように消えてしまいたいのです。
#いちご訳
菊と聞く、おきては二重の意味、日と思「ひ」。そして私は胸を焦がして苦しみ、儚き露と消えてしまえば。技巧的なのに胸を打つ素晴らしい歌ですね!
はいこれ、パクりまーす! これで落ちない方、いたら会ってみたいものです。
問題は相手に理解してもらえるかどうか……かな?
#恋するいちごちゃん
恋歌一 紀貫之
吉野川いはなみたかく行く水の はやくぞ人を思ひそめてし
吉野川の流れは、かくも速く、そして荒波は高い。僕の恋は唐突に、もうあなたを思わずにはいられないのだ。
#いちご訳
一目惚れの歌でしょうか! 胸の高鳴り、これからの恋の先行きの激しさを吉野川に例えたドラマティックな一首。
なんとなくこれ、禁断の恋のかほりがしてしまうんですが、気のせいでしょうかね? 波乱の予感です……!
#秘密の恋いちご
恋歌一 藤原勝臣
白波のあとなき方に行く舟も 風ぞたよりのしるべなりける
小舟が一艘、風を頼りに進んでゆきます。水面に立った白波もやがては消えて、今はもうあなたの噂と白いままの手紙が、僕の胸に残るばかり。
#いちご訳
失恋の歌です! 風は舟の推進力として。また「風のたより」で噂の意味。さらに「たより」は頼りと便りを掛けています。私は白波の白に、白紙の便りも訳出してみました!
なんとも寂しげな様子が小舟の姿に重なります。かわいそ!
#失恋もいちご味
恋歌一 在原元方
音羽山おとに聞きつつ 逢坂の関のこなたに年をふるかな
音羽山なんて言うから音に聞こえるんだあなたの噂が。なのにあなたに逢えずに時を重ねるなんて理不尽ですよ。「逢坂」の関のこちら側より。
#いちご訳
昔は文にしても逢うにしても、今と違って不便ですからね。でも、そうは言うけど、この方男性なんで。本気出せば行けたのではないでしょうか。同じ在原家の業平様なんか、わりと気軽に遠征してましたけど?(彼は別格です!)
#もっと本気出せよ
恋歌一 在原元方
立ちかへりあはれとぞ思ふ よそにても人に心をおきつしらなみ
寄せては返す白波のように、繰り返し胸に溢れて恋しくて。離れていても、心だけは今もあなたと寄り添っています。
#いちご訳
はい、本気出してきたぁ! 音羽山でちょっと煽ったらこれですよ? シンプルに巧い。「おきつ」が置きと沖まではいいとして、白波が初句に戻って掛かってる。なんという超絶技巧……! はい、今落ちました! しかし歌の並べ方にも作為を感じますね、これ。
#完落いちご
恋歌一 紀貫之
世の中はかくこそありけれ 吹く風の目に見ぬ人も恋しかりけり
恋というのはこういうことだと切に感じます。まだ会ってくださらないあなたの噂が僕の心を苦しめている。
#いちご訳
「世の中」は解釈分かれるみたい。私は男女の仲、を推す。この歌、先日の一目惚れの続報ですよね……「吉野川いはなみ」の歌。前途多難のようですが、はてさて? 二首続けて見ているとなんだか、思い込みが激しそうな感じがしてきますね。
#いちごまっしぐら
恋歌一 在原業平
見ずもあらず見もせぬ人の恋しくは あやなくけふやながめくらさん
見ていなかったのか、いやいや、美しい幻だったか。そんなあなたが恋しすぎて、今日は苦しい物思いで過ごして……。
#いちご訳
ついに業平様ですね。この歌は伊勢九十九段にも収録されています! さすがこれはモテる(確信)。必死すぎずしかし言うべきは言う。これは返事がしたくなる歌ですね。技巧に寄らないあたりも返歌に配慮してんのかー? このー!
#明日は返歌
恋歌一 返歌
知る知らぬなにかあやなくわきていはん 思ひのみこそしるべなりけれ
知っているとか知らないだとか。そんな区別が必要かしら。頼りになるのはそのあなたのお心ひとつよ。
#いちご訳
はい、落ちましたー。返歌らしく「見る」を「知る」に変えて、「あやなく」を踏まえて「思ひのみ」とか確認してはいるのですが、これ完全に来て欲しそうですからね。ノータイムでオッケーだったようですね! ちなみに誰の歌かは「詠み人知らず」です。
#業平様なら仕方ない
恋歌一 壬生忠岑
春日野の雪間をわけて生ひいでくる草の はつかにみえし君はも
春日野の祭りにて、きみを見ました。まるで雪解けの野に生まれたばかりの若草がそっと顔を出すような、そんなほのかな面影でした。
#いちご訳
なーんか語呂が悪いですね? 何度数えても、三十二文字になりますし、草の、はつか、で意味が切れてしまうので、なんかこう、胸がもぞもぞします。こういうの苦手。
恋……はじまらないかもな?
#無慈悲と書いていちごと読む
※国語学的には母音の連続があるので「母音音素の特異性の解決」によって、三十二文字になることは問題とならないと教えていただきました! しかしそれはそれとして納得するが、草と言われても嬉しくないので、この歌は既読スルーします!(個人のお気持ちです)
恋歌一 紀貫之
山ざくら霞の間より ほのかにも見てし人こそ恋しかりけれ
花を摘みに行っただけなのです。高くかかる霞のその間からほのかに山ざくらが見えてしまった……今はそんな気持ちでいます。
#いちご訳
これは好き! なんだまた一目惚れか、と思ったけどこれは美しい! 摘みに行ったのは当然、桜ではないですよ。そこらへんの女の子(草花)よりずっと格上のあなた(山桜)へ、という意味でしょう(だよね?)。こういうのが欲しかったんですよ私は! で、例の吉野川のひとは……?
#大丈夫かな
恋歌一 在原元方
たよりにもあらぬ思ひのあやしきは 心を人につくるなりけり
不思議なものですね。僕はまるで伝令にでもなって、あなたが好きだと触れ回っているようじゃないですか。燃える心があなたに引き寄せられてしまうせいです。
#いちご訳
はい、落ちました! 「たより」と「つくる」が縁語で「告ぐる」、心を「つくる」方は「付くる」。かつ思「ひ」でハートに火を「点ける」まで入っている、と。
いやもう、こんなの貰ったらひとたまりもありません! これは文句なく、即落ちですね! お見事。
#インテリ大好き
恋歌一 凡河内躬恒
初雁のはつかに声をきゝしより なかぞらにのみ物を思ふかな
初めてお声を聞いてから僕の心は初雁のように茫洋と空を飛んでゆくのです。耳についているようで、とてもかすかでおぼろなのです。
#いちご訳
初雁は「はつか」の音を引き出しつつあなたの声を「初」めて聞いたことを示し、そのまま空へとイメージを繋いでいますね。単に空でなく「なかぞら」なので「中空」「虚ろにぼんやり」の掛詞として訳出しときました。忖度なしで、素敵な歌と存じます!
#技ありっ !
恋歌一 紀貫之
あふことは雲ゐはるかに 鳴る神の音にきゝつゝ恋ひわたるかな
お名前が聞こえるたび、あなたと逢うことを空より遠く感じます。それは雷鳴のように僕の心をかき乱し、ああ、恋しさが募るばかりで……。
#いちご訳
訳がおかしいと苦情が来そうですが、一応考えた結果でして。雷の音。ただ「音にきく」を引き出すには大げさです。これは貫之さんの慟哭が入っているはずです! ……吉野川のひと、まだ逢ってくださらないようですね。あーあ! 今後が気になります。
#歌うまいのになんで
キリがいいので今回はここまでにします。一日一首ずつ訳すので、またしばらくしたら続きをやります!
毎度毎度、うるさくて恐縮ですが。完全な素人なのに古今和歌集を訳した勇気ある教養溢れる実に雅な自称作家は、あまおう まあお と申しまして、ツイッターでもnoteでもフォロワー随時募集中です。フォローバックしてますのでどうぞ、気になった方もフォロワー欲しいだけの方もどしどしフォローお願いします!
これは全然古今集と関係ないんですが、一応代表作だけ置いておきますね。暇つぶしにでもどうぞ!
名前泥棒 あまおう まあお