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【詩】原石

誰も知らない深い地の底で、
陽の光を浴びることも知らない原石は、
時の流れを無視するかのように、静かに眠り続ける。

きっとあなたの中にもそんな原石があるはずだ。


まだ見ぬあなたの心の奥底に、
ひっそりと佇む原石が。


掘り起こされ、磨かれ、
陽の目を見るのを心待ちにしている原石が。


樹木の根が土の中の養分を吸収するように、
母なる大地の懐で眠る原石は、
ゆっくりと元素を蓄え結晶化させていく。


あなたの中の原石も、あなたの心の奥で何も語らずまま、

意識の表層から降り注ぐ情報を、
幾重にも重なるフィルターを潜りながら、
濾過された確かな情報を、
栄養を、着実に吸収し、蓄積している。


長い歳月をかけて大きな結晶を育んだり、
めのうのような鮮やかなグラデーションを描いたりしながら。



あなたの中の原石は、一体どんな輝きを放つようになるのだろう。

過酷な冒険の果てに見つけ出したその原石を、
あなたはたゆまぬ努力で磨き上げるだろう。


そうやって気の遠くなるような歳月をかけながら、
ようやく光を放つ瞬間に辿り着いた時、
どんな輝きを見せてくれるのだろう。


ダイヤモンドのように誰の心も惹く、
眩い輝きを放つのだろうか、

エメラルドのように深く吸い込まれるような、
知性あふれる魅力を放つのだろうか、

ルビーのように人々の心を虜にする、
魅惑的な美しい光を放つのだろうか。


いずれにしてもその輝きは、
誰にも似ていない、あなただけの輝きを放つだろう。


私はそんなあなたの輝きで、この目を眩ませたい。