【本】『ポストコロナの生命哲学』要約・感想

少しコロナが落ち着いてきた時に読みました(先月あたり)。
コロナで変わったこと、変わるべきだったことは何か考えたいと思い、読みました。

生物学者、美学者、歴史学者がコロナ後の世界を語ります。

特に私は、伊藤亜紗さん(美学者)の考え方が新鮮でした。
そもそも「美学」はあまり馴染みがなかったですが、言葉にできないものを扱う「哲学」というような分野と理解しました。
障がい者からの視点や、言葉や感覚を問い直すような視点から、目から鱗でした。

福岡伸一(生物学者)
・ウイルスは、一方的な攻撃ではなく、相互作用。人類の進化に大きく関わっている。
・自分の生命力を信頼しながら「正しく恐れる」。「自由」を手放してはいけない。

伊藤亜紗(美学者)
・現代人は何かやるべきことから「引き算」する時間は得意だけど、「足し算」の時間が苦手
・"目隠しして伴走者と一緒に走る体験"をすると、「人を信頼する快感」が得られる。
・「信頼」と「安心」は似たような言葉だけど、ベクトルとしては真逆。「安心」は人を信じない前提。
・「ふれる」「さわる」を使い分けることが重要。

藤原辰史(歴史学者)
・感染症は歴史的には新しい事象ではない、歴史を「冷徹に」見ることが必要。
・コロナは社会の"歪み"をあぶり出した。失業者対応、看護師や介護士の賃金、外国人収容所…

また、漫画版ナウシカについてや、今後の世界についての対談も。
コロナの"引っ越し"は、環境破壊が引き起こした地球レベルの人災という話も。

コロナ渦で私は、一人では社会的にも心情的にも生きていけないことを実感しました。
他人も自分も「信頼」して変えていこうとしないと、新しい将来が描けないなと思わされました。

ポストコロナの生命哲学 (集英社新書)
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