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弱くても逞しく~『幸せになりたい オメガ騎士に嫁ぐ』伊達きよ著 イラスト本間アキラ 

現在紙本・電書版ともに発行あり。ルビーコレクション 2023年6月30日
*感想、ネタバレありますのでご注意ください*

最初にこの本を知ったのは作者さんのTwitterだった。なんとイラストが私の好きな本間アキラさんなのでこれは買わねばと思って買いました。
私は元々BL小説の方はちょっとしか読んでいないのだけど久々に。
知らない間にα(男性性)に対してΩという第三の性(女性性を持つ男性)というのがだいぶ普及してるらしく(一番最初の作品は何か知らないですが)主人公はΩというレアな性質。稀少でかつ、弱者でもあるランティは宿屋に勤めながらそれでも絶対に幸せになってやるという野心を持っていて。
ある時宿泊客の野性味のあるαを騎士様と信じて強引に嫁になった。

半ば押しかけ嫁として嫁いでみると騎士様と思ったガォルグは実は木こりでその生活ぶりは決して豊かではなかった。がくりとしながらもそこからのランティの巻き返しが凄い。貴重な木材を安値で売ってしまっているガォルグの商売っ気のなさを知ると彼は勉強して商売を切り開いていく。
この飽くなき幸福への真面目な努力ぶりがかなり好きです。特殊な性に生まれ、狙われ虐げられがちなランティを庇い守る立場になっていくガォルグの不器用な優しさがまた良くて。

まあ実際のところ、ガォルグは本当は…ということで物語は一転していくのだけど、お互いの始まりが詐称と思いこみによる言葉のすれ違いが後に響き、両片思いのまま立場はとっくに夫婦なのにじれじれと儘ならない。
いい加減気づけ~~と周囲も読者も思いながらのラスト。
なんせΩの発情期にもじっと我慢してしまわれた末ですから、ようやくですね。計算高いくせに健気で一途で可愛いランティと無口で不器用で優しいガォルグ、本間さんのイラストがぴったりです。
それにしてもこういうじれじれモノがいわゆる自分の好みなのだなーとはまたしても痛感するのでした。

<24のセンチメント>21

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