■注意/ネタバレあり■新刊「陰陽屋きつね夜話」こぼれ話その5 王子稲荷神社で肝試し
ふと気がついたら、「陰陽屋きつね夜話」こぼれ話ではまだキツネのことを全然書いていませんね。
「きつね夜話」なのに。
というわけで、こぼれ話のトリを飾るのは化けギツネのお話です。
ただし、その4(ピンドン事件)に引き続きネタバレな内容になるので「陰陽屋きつね夜話」を未読の方はここで閉じてください。
大丈夫ですか?
さて、「陰陽屋きつね夜話」の「第四夜 金の瞳がハロウィンの宵闇にかがやけば」というお話は、小学生時代の瞬太、岡島、江本たちが王子稲荷神社の境内で肝試しをしたところ、思わぬ事態に・・というお話でした。
この写真の王子稲荷神社は、まるで真夜中のような風情ですが、冬の18時頃に撮影したものです。
参拝者用にともされている照明がこうこうと明るいぶん、境内が暗く感じられますね。
さて、この肝試しで江本が腰をぬかしたのが、文楽のキツネの人形でした。
文楽には化けギツネがちょいちょい登場しますが、一番有名なのは「義経千本桜」の狐忠信(ただのぶ)でしょうか。
https://twitter.com/nbt_osaka/status/697586193454632960
ふだんは人間に化けて忠信と名乗っていますが、実はその正体はキツネです。
でも特に悪いことはしない、むしろ母親大好きなかわいい化けギツネなので、たいして怖くはありません。
続いては「本朝廿四孝」(ほんちょうにじゅうしこう)奥庭狐火の段の白狐たち。
この白狐たちは名前もセリフもないのですが、数で勝負とばかりにわらわら登場して、おどろおどろしい雰囲気を盛り上げます。
「陰陽屋きつね夜話」で、きもだめしの小道具として登場した人形は、この場面の白い妖狐をイメージしながら書きました。
人形遣いの桐竹勘次郎さんが白狐たちの顔アップをツイッターにのせてくださっています。
こうして見るとそんなに怖くはないのですが、暗い舞台で跳ねまわる白狐たちはなかなかあやしげで素敵でした。
さて、真打ちは大迫力の九尾の狐人形。
「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)」にでてくる妖艶な美女、玉藻前が正体をあらわした姿ですね。
身体が金色に輝いていて、顔もかなり怖いです。
この人形が神社裏手の暗がりからあらわれたら、小学生たち泣いちゃいますね!
(おまけ)
化けギツネではない、普通の狐も紹介しておきましょう。
狐好きで有名な人間国宝の桐竹勘十郎さんの創作文楽「鈴の音」には、狐のカップルがでてきます。
たぶん人形は奥庭狐火の段で登場する白狐たちと同じものなのですが、女の子の方は尻尾にリボンをつけてもらったり、かわいく動くことによって、普通の狐になっています。
↓のリンク先に予告動画が貼られていますが、この狐のカップルが猟師に追われる話のようですね。
この「鈴の音」は大阪では何度も上演されているのですが、東京ではまだ上演されたことがないようです(2023年春現在)。
いつか王子稲荷神社から徒歩5分の北とぴあで上演してくれないかしらと期待しているのですが・・!
というわけで、「陰陽屋きつね夜話」こぼれ話は今回でおしまいにしようと思います。
おつきあいありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?