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エッセー「本所八不思議 妖怪足触り河童」

俺の生まれ育った場所には本所七不思議という物語があり
昔祖父に連れられ区役所の1階にあるブースで映像作品を観た記憶がある
演目は「足洗屋敷」で簡潔に説明すると江戸時代に旗本の屋敷の天井が
夜な夜なぶち破られ進撃の巨人よろしく巨大な足が一本突撃してきて
「足を洗え」と言う。
洗うと満足げにその足は去っていき、洗わなければ暴れ回るというなんとも迷惑な話だ。
今思うと足湯でドクターフィッシュ達が人間の角質を食べるのと変わらんがなとツッコむ気持が湧くが当時は恐る恐る観たものだ。

足洗い屋敷

さて話は変わって現代
近頃オヤジの小言的なものが身にしみる
「膝は大事にしろ」というのも俺の両膝の半月板は悲鳴をあげ医者から注意しないと老後歩けなくなるぞと脅されている。
原因はランニングとボクシングに熱中していた為だが、やらなかったよりは後悔はない。
しかしさらなる医療技術の進歩を人工知能が登場してきた昨今期待せざるをえない。
とにもかくにもそれからトレーニングメニューを変更し定期的にプールに通い25mレーンの往復を易しく2ビートのバタ足でクロールして約40分泳ぎ続けると結構な運動になってなんとか必死に体型をキープしている。
1レーンには人がすれ違うようにルールが組まれ、そこを気持ちよく泳いでいるとなんだか雑音が消え、人はやはり海から来たのだななどと壮大なことを考えていると何やら足に当たるものがある
「手だ」
どうやら後続の方が詰まっているようで、遅いと言わんばかりに執拗に触って煽ってくる。
血気盛んな頃であればムキになって対抗しようと思うがおっさんが必死になるのもみっともないしなぁと思い折り返しで足を着いた。
ちなみに俺の場合前に詰まったらそこから逆サイドに反転しその方の前を泳いだりする。
先に行ってもらおうと促すと俺の顔を見るなり相手はニヤリと笑って先を泳いだ。
あら、マウント取られたと少しイラッとしたが陸上でも水中でも足を引っ張る人は居るのだなと思ったと同時にこれは今週のネタになるぞとラジオパーソナリティみたいなメンタルに変換し俺もニヤリと微笑んだ。

どうぞ水陸とわず妖怪にはご注意を。
おあとがよろしいようで


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