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芸術の持つ「問い」と「答え」~グラフィックアート展「ANSWER」を訪れて~

「GAG」という名前の「グラフィックアーティストギルド」に所属する方々が創作の中で見出した「ANSWER (答え)」をコンセプトにした展示を観に行ってきました。

デザインとはなにか、アートとはなにか、表現とはなにか。

自分なりに感じたことを書いておこうと思います。


「問い」に対する「答え」にその人らしさが表れる

「ANSWER」というテーマに対して、何に着眼し、どのように発想を広げて、深く落としこんでいくのか。

様々な視点から「ANSWER (答え) 」に迫り、思い思いの手法で表現された作品たちを見ながら、テーマに対する「解釈」にその人らしさが表れ、それを表現する「手法」にまたその人らしさが表れるのを感じました。

「ANSWER (答え)」とは。

― 無数の選択の結果

― 夢を追いかける美しさと残酷さ

mimu「choice」/ 星奈「Dying to live for X」

― 殻を破ることで手に入れられるもの

Nana Motoyoshi 「THE WORLD」

― 恐怖、憧れ、らしさ、を超えた先にあるもの

IZUMI KOGAHARA「Incanto」

― Yes/Noでは語れない、真であり、善であり、美

― 観測するまで確定しないもの

Kazu Suzuki「シュレディンガーの猫」

― 桜梅桃李、それぞれ個性を持ち、混ざり合うもの

KUMA「桜梅桃李」

表現手法の持つ抽象度とその人らしさ

グラフィックアートを見て、美術館などで見る絵画がすごく抽象的な性質を持っているのに対して、グラフィックアートは具体性が高いように感じました。

それはグラフィックアートというもの自体が、グラフィックデザインをルーツに持ち、思考を繰り返した先に機能性を形成するという「デザイン」の要素を大きく含んでいるということなのかもしれません。

一方で、西洋絵画が写実的な表現から人の内面を描く個性的な表現に重きを置くように変遷していったのと通じるような、その人の内面がひとつの表象となって表れる「アート」の要素も含まれているなと思いました。

たくさんの作品があった中でも、作った人の過去の体験や境遇、考え続けてきた作られた思想が反映された作品ほど、それを観る私の心を揺さぶり、訴えかけるものがあったように感じられました。

芸術とは正解が存在しないもの

アートとは、問い、模索し、試行錯誤した末に生まれるもの。

GAG代表/グラフィックアーティスト - マサヤ・イチ

今回の展示のステイトメントとして書かれていた言葉でもありますが「アート/芸術」とは答えが存在しないもの。

意味があると思えばあるし、ないと思えばないようなもの。

誰かにとっては何とも思わないものでも、誰かの心には深く刻み込まれるかもしれないもの。

正解は一つではない、というか正解自体がないものだから、答えは自分で出すしかないのだろう。

そしてこれはアートだけではなく、人の人生もまたそのようなものなのではないでしょうか。

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