[本の紹介]買い物する脳
2008年、少し前のニューロマーケティングの書籍。2000人を対象にしたfMRIという機械で脳波を計測していたプロジェクトの結果である。
多くの人がペプシの味が美味しいと感じている結果が出ていても、感情を司る脳の動きがあり、みんなコーラを飲んでいる・選んでいると答える。
タバコの肺への悪影響の表示は、全く効果がないどころか逆効果になっていることがわかる。
これらの事実が脳波を計測して明らかになっている。
ミラーニューロン
人間は、他人の動作を見るだけで自分も同じ動作をしている感覚になる。頭の中でその行動をおこなっている。
つまり「見る」は「する」と同意義。赤ちゃんが他人の行動を真似たり、痛がる人を見たら苦痛を感じる。例え文字で読んだだけでも、その動作を見ただけでも効果がある。
それは脳のミラーニューロンの作用らしい。
そのおかげで人間は他人の身になることができる。
このように、人は他人の購買行動を真似るのです。全然欲しいと思っていなかったものが幾度となく目にしていると急に欲しくなる「模倣」行動は、このミラーニューロンとドーパミンが連動して作用しているとのこと。
購入決定にはせいぜい数秒しかかからないと言われており、快楽を得て買った数分後には「あんなもの本当に使うのだろうか?」という気分に陥る。
こんなことが脳内では起こっているらしい。
儀式と迷信
世界が予測不能になればなるほど、人間は生活に支配感を求めるようになる。不安や不確実性を感じれば感じるほど、わたしたちを導く迷信的行動や儀式を取り入れるようになる。迷信や儀式は、混乱した世界に秩序を求める人間の欲求と化学的に結びついている。
多くの点でブランドに対するこだわりは儀式や迷信的行動と類似点がある。
「収集」は子供たちに支配感や達成感を与え、自尊心や地位を向上させ、それまでの困難を乗り越えさせてくれる。
宗教とブランドの共通点
宗教を信じている人が神について語っているときの脳波は、他の人間との精神体験を語っている時と全く違った状態になっているらしい。
著名な宗教には共通項がある。これらはブランドに関する時の脳波と通じるものがある。
連帯感 明確なビジョン 敵に打ち勝つパワー 感覚へのアピール
物語 雄大さ 布教 シンボル 神秘性 儀式
ソマティックマーカー
店頭で商品を選んで買うときの50%は無意識で行われている
消費者に購入理由を尋ねるといった従来の調査方法で理解できるのは、意思決定のもとになる脳のプロセスのほんの一部でしかない。
脳が判断をおこなっており、大半の時間はそれを意識していない。
生きて生活している中で、ソマティックマーカーが人間の中で出来上がり、何をしたらいいかが分かるようになっている。
ブランド
合理的活動として、私たちは誰でもある意味で特別だと思われるものに高い価値を見出す。ブランド化されたものにはそういった事実以上の価値が加わっている。
ニューロマーケティング、なかなかに面白いです。
人間の行動を外から見たり行動から見たり(UX)、中から見たり(脳)。
また色々読んでいこうと思います。