憲法58条による除名には裁判で対抗できない
デイリー(10月3日(月)22:52配信)によると、NHK党の党首が、参議院本会議に出席しない議員に対して、憲法58条に基づく除名処分が行われた場合には、「最高裁まで争う」と言っているとか。
なるほど懲罰という不利益を被ったのであれば、裁判所に救済を求めたいと考えるのは当然かもしれない。しかし、裁判所は万能ではない。裁判所も憲法によって作られた権力である以上、他の憲法の規定の意義を失わせるような権力の行使(司法権の行使)をすることはできない。そのような司法権の行使の限界となるもののひとつに、議院における議員の懲罰がある。憲法は権力分立の原則に基づいて、各議院の自律性を強度に保障しているからである。各議院の行う懲罰については、たとえそれが議員の地位を剥奪する除名処分であっても、裁判所は介入できない。このことは、憲法学の共通の認識であろう。
いかに当該参議院議院が、議会に出席せず、オンラインで活動をすることを公約としていたとしても、現行制度がそれを許さない以上、その公約は意味をもたないのである。懲罰にあたって、そのような公約は考慮する必要がない。
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