「僕のちんこにピアス開けてください」4
高校を卒業し、大学生になった。
紗季さんとは相変わらず3日に一度ぐらいDMでやりとりをしている。
紗季さんは存在している。
DMのやりとりをしない時間が長いと、全て俺の妄想だったんじゃないかと不安になる。
俺は毎朝「おはようございます」と送る。大抵返信は来ないがそれでもいい。この地球上に紗季さんは存在している。そう感じられるからだ。
たまに気持ちが抑えられなくなり、暴走した想いをそのままぶつけてしまうことがある。
「紗季さんのことが気になってしまう」
「紗季さんに会いたい」
「紗季さんに壊して欲しい」
送信してふと我に返ると、両手で握った携帯は熱くなり、俺はほとんど泣いていた。
俺がこうなると、紗季さんは必ず返信をくれた。
“大学生活楽しんでね”
頭がクラクラする。近くのベンチに座り込んだ。
紗季さんは優しい。たとえ会えなくても、殺さず、ずっと支配していてくれる。
困らせている事はわかってる、でも言葉にしないと無かったことになってしまう気がして、言わずにはられなかった。
「ありがとうございます。頑張ります。」
俺は生かされている。
大学で彼女を作った。声を掛けられ仲良くなり、付き合ってみた。まあ、いつも通り。わかっていた。どうでもいいから喧嘩をしてもほっといた。そうなると女の方からごめん、と擦り寄ってくる。
紗季さんならどうするだろう。まず喧嘩にならない。もし叱ってもらえたら幸せだ。俺を見てくれる。紗季さん。
目を瞑り、紗季さんを想像し射精した。そうしないとイけない。お前じゃ無理だ。
バイトもした。暇な時間ができないように、常に予定が埋まるようにシフトを入れた。
大学近くのカラオケ屋、土日は引越しのバイト、キャッチ、コンビニ、プールの監視員、色々やった。
金が欲しかった。紗季さんは大人の女性だから、男として恥ずかしくないようにしたかった。
物欲が無いから殆どを貯金していたけど、身なりを整えるためにも金を使った。雑誌を見て、髪型も、洋服も、載っている通りにしてみた。
紗季さんの横に並んだとき、見合う男になりたいと思う気持ちが日に日に強くなっていった。
マッチングサイトに登録して、S女性と会ってみた。
連絡のやりとりも、待ち合わせも、食事も、会話も、全てスマートに行えるよう気を使った。だめだった事は、次の女性の時に直した。
会う女性からは気に入ってもらえた。俺も楽しかった。
俺からの希望は「痛くしてほしい」「泣いてもやめないで欲しい」と伝えて、それが好きな女性と会った。
下は20歳、上は46歳、様々な女性と会った。みんな頑張って酷くしてくれた。
身体には傷ができ、血が滲み、本当に痛かった。
受けていている時、俺はずっと現実世界に取り残されていた。
目の前の女性に申し訳なかった。身体は反応するが、気持ちは上の空だった。
最後は目を瞑った。画像1枚でしか知らない紗季さん。あなたを想った。
日々のことを紗季さんに報告した。
言われた通り、大学生活を送っていること。
彼女ができたけど退屈なこと。
金も貯まってきているので、紗季さんを美味しいお店に連れて行きたいこと。
マッチングサイトで女性と会い、身体が傷だらけなこと。
もうすぐ19歳の誕生日がくること。
紗季さんに会えるまで、あと1年になったこと。
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