遍く、(amaneku.)

短い文章・詩を書きます。

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マガジン

  • フリーペーパー『山ぐらし−自然とよりそう山でのくらし−』

    『山ぐらし』とは? 周りを見渡すと山ばかり。ご近所さんは車で5分のところにあるスキー場。だけど自然豊かで四季折々の美しさが1年中楽しめる。そんな人里離れた場所に私の家(実家)はあります。 山や自然に囲まれた所で暮らしているからこその、その土地の材や知識を使った生活。化石燃料や電気をなるべく使わないような環境に負荷のかからないものを選んだ生活。そんな山での生活のほんの一部をご紹介します。

最近の記事

『氷柱』

ふわふわの雪が 溶けて流れて滴って 透明度を増して また凍る そしてまた雪の中に戻っていく そんな氷柱(つらら)の詩です。 『氷柱』 ____________________ 生きている、 わたしの中のなにが 生きているという 印になっているのか 血が通っていても 生き長らえながら死んでいて 体温を失っても なお生きている 氷柱のように脆く壊れやすい 受動装置は すぐに折れて  その重さとともに 雪の中に埋もれてしまう 終始水滴をしたたらせ 折れた断面が 光

    • 散文 『知らない背中』

      自分に正直な体であるために 普段、触れる機会が少ないであろう背中に 人より多く触れて 逆に、その背中は 普通よりも多くいろんなものに触れているな と感じそのことを散文にしました。 『知らない背中』 __________________ 痛みや違和感がなかったら おそらく 意図的には 一生触ることのなかった 背中に素肌に 数え切れないほど触れ 何人ものひとに触れてもらう こんなことはないだろう その度にわたしは その人たちをわたしの中に入れた そしてわたしも 熱も

      • 詩 『夕焼け、目の中で』

        『夕焼け、目の中で』 _________________ わたしが見た夕焼けは あなたが見た朝焼けだった さよなら 触れる青も ただ、とどまっていてほしくて 朝日を夕日にかえた 目を いつわりだと 責めたてたがる その中から うまれる目で また夕日をみている  _________________

        • 『てんくう光』

          透明な窓 透けるカーテン ガラスの瓶 プールの中 水 雲 葉 フィルターのような様々なものを通して 捉える  光の形・色・存在。 そしてその光をなぜだかいつも 心地よく感じます。 夏の太陽のようにギラギラ照りつけ、光る姿も魅力的ですが ある一つのものを通して見える 光の姿に魅せられてしまう。 そんな光についての散文です。 『てんくう光』 __________________ 光が直接当たるよりも 何かひとつ 半透明  透けてしまうくらいの 不安定なものが わ

        マガジン

        • フリーペーパー『山ぐらし−自然とよりそう山でのくらし−』
          2本

        記事

          詩 『裸足の中』

          夏は暑くて身軽な服を着ることが多くなる分、素肌に触れる機会もいつもより多く感じます。 また、裸足でいることも。 そんな夏に書いた詩です。 『裸足の中』 ___________________________________________ 皮膚の内側には 血が流れていること わたしたちは きっと忘れていた 夏はそんなわたしたちを もといた場所に かえしてくれるように 裸足の足のうらを天井に向けて ここだと ここにいていまもいると わたしの中を覗かせてくれる

          詩 『裸足の中』

          フリーペーパー『山ぐらし 』 vol.2

          フリーペーパー「山ぐらし」vol.2を発行しました。 今回は、わたしの実家の"木組みの家"について紹介しています。 木組みの家の特徴やできるまでの工程を ①木組み・・・木組みの家の土台となる、木と木のみで造る家の骨組みのこと。 ②木舞掻き(こまいかき)・・・木組みの家の、土壁の下地を作る作業。 ③土壁・・・土・砂・漆喰(漆喰)の3つを順に重ねて作る木組みの家の壁。 ④梁・・・木組みの家の重さを支え、分散させる柱の上に位置する材木。 の4つに分けて、説明しています。 ぜひ

          フリーペーパー『山ぐらし 』 vol.2

          詩 『青と変換』

          先日初めて参加した、詩の合評会。 その際に提出した空の色に関する詩です。 夕日が沈む直前の まだ夜が夜になりきらない その時の空の明るさ、空の青の色について書きました。

          詩 『青と変換』

          『足跡と最後の飾りつけ』

          小さい子どもが綺麗に並べたかのように、普段見せている顔を下に伏せて散っていくツツジの花。花を支えていた”がく”と一本のめしべを残して、そのめしべをつたうようにゆっくりと地面に落ち、散っていく。 そんな魅力的なツツジの花の散り方をどうぞご覧ください。(参考文献) 『足跡と最後の飾り付け』 ____________________ あなたが必要とされなくなったいま いままで見ていた存在が嘘のように 知らないあなたの顔が わたしを埋める こんな時に限って 最大限の魅力という

          『足跡と最後の飾りつけ』

          フリーペーパー 『山ぐらし』 - 自然とよりそう山でのくらし -

          普段書いている短い文章・詩のもととなっている、わたしの生まれ育った自然に囲まれた山でのくらしについてまとめた 『山ぐらし ー自然とよりそう山でのくらしー (vol.1)』というフリーペーパーを発行しました。 自分ではあたり前だった山での生活が実はあたり前じゃなかったということ、山での生活から離れたことで気づいたことなど、あたり前ではないけれどあたり前だったそんな自然に囲まれた山での生活をフリーペーパーに。 今後も、山での生活をフリーペーパーとしてまとめていきたいと思いま

          フリーペーパー 『山ぐらし』 - 自然とよりそう山でのくらし -

          『天然ドライ植物 標本』

          先日、自分の売るものを作るという機会があり 『天然ドライ植物 標本』というものを作りました。 山の中を散歩しているときに見つけたドライになった植物たちに、ほとんど手を加えずにそのままの状態で、それぞれに詩を添えた『天然ドライ植物 標本』。 ↓ 『天然ドライ植物 標本』の説明 _____________________ _____________________ ドライ植物一種類ごとに、その植物にあった詩を添えています。 ↑ タニウツギのドライ植物標本 ↑ よもぎの

          『天然ドライ植物 標本』

          『見えない遠近感』

          街を歩いていると いろんな音が近寄ったり離れたりしていることに気づきます。 遠くでなっている信号の音 商店街に流れる女の人の歌声と音楽 風で草木が互いに擦れる音 すれ違う人々の話声 近寄ったらすぐ離れていく自転車の音 降ってくるように 波のように 行ったり来たり近づいたり遠のいたり 通過したりとどまったりして存在する そんな音の散文です。 『見えない遠近感』 ________________________________________ 離れていく遠のく 近くに感

          『見えない遠近感』

          『反射と内在』

          階段の隅に落ちていた、ツツジの花びら。 毎日同じ場所にあるその花びらですが 土から離れ、環境が変わることで 普段身に纏っている色ではなく 外側から順に侵食されていくように 色を変えていきました。 その意図的にではなく 自然と移り変わる色の変化は 日に日に魅力をますように形を変え美しさを放っていきました。 そんなツツジと色の変化の散文です。 『反射と内在』 __________________________________ 奪われたと思っていたその赤は ただ正反対

          『反射と内在』

          『空中の音』

          音楽を聴いていたり、 個室や密閉空間、水の中にいると 「音」は体表に触れながら漂って 輪郭を覆うようにその空間を満たします。 そんな「音」についての文です。 『空中の音』 ___________________________________________ 耳を覆うその音は わたしの中に入りたいのか、わたしを犯しているのか ただ覆っているだけなのか、守ろうとしているのか 出入りを繰り返すたびに 少しずつ近づいて わたしの手を取ろうとする でも彼らには 彼らを覆う

          『陽光の隙間』

          形を少しずつ変えながら地面を照らす光。 その光と共にある 陰り。 新緑の美しさをさらに際立たせる陽光・木漏れ日の散文です。 『陽光の隙間』 __________________________________________ 影が日向になり日向が影になる その美しさに嫌でも気づいてしまう 存在が影を示し、光が空間を表しているのなら あり方を互いに示し合っているように 動き合う 身を寄せ合う 一瞬一瞬を偽りなく鮮明に映し出すこの空間を 心地良いと人が思うのはそのためで

          『陽光の隙間』

          『温水』

          お風呂のお湯は身体を芯から温めてくれるというしあわせをくれるだけでなく、 わたしをより鮮明に見せてくれるフィルターの一つとして存在します。  深さによってフィルターを何重にも重ねることができるので、見たくない時はぼんやりと輪郭だけを見ることもできるし、聞きたくない時はフィルターを外してしまえば済みます。 見えなかったもの聞こえなかったものがそのフィルターを通すことで可視化される。 鮮明にだけどやさしく存在を映し出してくれる水の中のお話です。 『温水』 _______

          『一方向の夜』

          『夜』と言ってもいろんな夜があります。 夜を感じる場所が違ったら、 夜を感じる人が それぞれの場所で夜を感じていたら、 その分異なるたくさんの『夜』が生まれます。 夜の闇を照らすコンビニのあかり。 照らすというよりも射すようなその光は、 長年田舎に住んでいた私にとって異様な一つの夜のあり方でした。 良い悪いではなく、この光景からわたしがみたものをお届けします。 『一方向の夜』 __________________ 街中の夜は本当の怖さを教えてくれない 何もない静け

          『一方向の夜』