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ストレスが溜まると不妊になるのはなぜ?
不妊になるのはストレスが原因という話は聞いたことがあるのではないでしょうか?
実際に不妊治療の最前線に立つ医師の見解でもストレスが不妊に大きく関係していて原因の1つと言っています。
ストレスが悪いというのは何となくイメージができると思いますが、なぜ、ストレスが不妊を引き起こす原因となるのでしょうか?
今日はその原因の1つとなるホルモンのお話をしていきます。
前回、女性ホルモンの働きについてお話してきました。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2つがあって、「これらのホルモンが分泌されることで規則的な生理周期になるよ」ということでしたよね。
では、その女性ホルモンはどこから分泌されるのでしょう?
「生理に関係するんだから子宮でしょ?」
「でも、不妊に関係するってことは卵巣なんじゃない?」
さて正解は…
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そう、卵巣です。
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と言いたいところなんですが、これは半分は正解で半分は不正解だとも言えます。
何故かというと女性ホルモンは卵巣から、いきなり分泌されるわけではないからです。
実は女性ホルモンが分泌されるまでには2つの過程を経る必要があります。
この過程を知ると、どうしてストレスが不妊の原因になるのか分かって頂けると思うので早速、解説していきましょう。
◆女性ホルモンが分泌されるまでの2つの過程
いきなりですが、またまたここで問題です。
女性ホルモンが分泌される2つの過程のうち、一番最初のスタートとなる部分はどこだと思いますか?
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答えは脳です。
正確に言うと脳の中にある視床下部と言われる部分です。
視床下部は司令塔のような働きをしていて、体温調節、血圧、心拍数、食欲の管理や情緒のコントロールなど私たちが無意識で行っていることを管理しています。
その中の1つにホルモン分泌という働きがあり、まずは「女性ホルモンを分泌させるのに必要なホルモンを出せ」と伝えるホルモンを分泌します。
このホルモンを“性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)”と言い、まずはこのホルモンが分泌されることで「女性ホルモンを分泌させるぞ」という状態になります。
次にこの性腺刺激ホルモン放出ホルモンが脳下垂体という場所に届くと今度は「女性ホルモンを分泌しなくちゃ」と伝達するホルモンが分泌されます。
このホルモンのことを“性腺刺激ホルモン”と言います。
性腺刺激ホルモンには2種類あり、1つは“卵胞刺激ホルモン(FSH)”もう1つは“黄体形成ホルモン(LH)”と言い、卵子の成長や排卵に大きくかかわってきます。
そして、この2つのホルモンが卵巣にたどり着くことで女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが分泌されて子宮内膜が育っていくわけです。
イラストを見てみると脳の視床下部から順々にホルモンが伝達して最後に女性ホルモンが分泌されるのが分かると思います。
さぁ、この流れを見て何か気づいたことはありませんか?
もし、最初のホルモンが出なかったらどうなるの?
と思いませんでしたか?
そうです。
これこそがストレスと不妊が結びつく最大の要因なんです。
●ストレスが溜まったときのホルモンの流れ
では、ストレスが溜まってしまうとどうなるのでしょうか?
過度なストレスが溜まると脳が疲労してしまい視床下部の働きが悪くなります。すると、その後のホルモンの伝達がうまくできなくなってしまいますよね。
その結果、性腺刺激ホルモンの卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモン、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌がうまくいかなくなり、卵子が育たない、排卵しない、子宮内膜が厚くならない、生理周期がめちゃくちゃになるといったことが起きて不妊になりやすくなるのです。
だから、よく雑誌やインターネット上にある妊活や不妊の情報で下腹部(子宮)やお尻(仙骨部)を温めると良いというのは、ストレスが強い人がやってもあまり効果がないんです。
このようなタイプの人は温めるだけではダメなんですね。しっかりとストレスのケアをすることが大事になります。
さて、いかがでしたでしょうか?
単純にストレスが不妊になる原因と言っても、実際はこのような身体の機能があって、それが破綻した時に不妊症になるのです。
ちょっとしたストレスも積み重なると、ホルモンの伝達がうまくいかなくなるので日々、ストレスを貯めないような工夫が必要です。
例えば、軽い運動はセロトニンという幸せを感じる物質を分泌しやすくしますし、ヨガはストレスホルモンのコルチゾールを下げる効果があります。
また、簡単にできるところでは森林浴もマッサージを受けているのと同等のストレス解消効果があるので自然と触れ合うのも良いでしょう。
ぜひ、日常生活の中に取り入れてみてください。
●本日の記事のまとめ
女性ホルモンが分泌されるまでには2つの過程がある
これらの過程に問題が生じると女性ホルモンがうまく分泌できなくなる
ストレスが不妊に影響を及ぼす最大の原因は視床下部から出るホルモン分泌が低下するから
脳のストレスが原因で不妊になっている方は温めるだけでなくてストレスを解消できるような運動や森林浴をしてみましょう