喉に小骨が刺さったらどうする?~私と小骨の15時間~
ふいの出来事。なんの気もなく、アジの唐揚げを食べたときだった。
ごりごりした骨を飲み込んだあとも、喉の奥に痛みがある。
そう、小骨が刺さったのだ。
すぐ取れるだろ!なんて甘い目論見は裏切られ、15時間による駆け引きが幕を開けた――
そんな私が、15時間前に読みたかった内容を、ここにまとめます。
小骨が刺さった!と思ったら
魚種次第では、病院へ直行
まず最初に、後々調べたときに出てきた、恐い話をば。
タイの骨など、硬い魚の骨だと、食道壁を貫通して、食道に穴が空くことがあるとか。
さらにグッサリいくと、その外の縦隔をも傷つけ、そこから炎症が広がり……という話が出てきた。
https://www.tamapla-ichounaika.com/knowledge/category/post-36268/
それはかなり「いタイ」……と言っている場合ではなく(不謹慎で申し訳ない)、
タイの骨が刺さった場合はすぐ病院へ、といくつものサイトが告げていた。
その他、ブリ、サバなどの骨が硬い魚、またサケなどの長い骨も要注意らしい。
また、食道に穴が空くリスクは、タイなどだけではなく、他の骨でも起こり得るそうだ。
喉の小骨との戦いのゆくえは、「抜けるかどうか」だけではなく、「それ以上深く刺さらないか」ということにもかかっている。
ご飯を丸飲み「してはいけない」
私も言われた。「ご飯を丸飲みしたら?」
しかしご飯の丸飲みは、NGらしい。
そう、「ご飯が魚の骨を押し込んでしまう(ことがある)から」。
飲み込んだご飯が、世間で言われている通り、うまく刺さった小骨を抜いてくれるか、
あるいは小骨をいっそう深く刺すことになるか、はある意味賭けである。
その賭けの勝率がどのくらいなのかはわからない。ただ、あくまで物書きの端くれとしては、推奨はいたしません。
ぜひこの続きを読んでいただき、別の方法を試していただきたい。
実録!小骨との戦い
ではご飯以外、何をしたらよいのか??
まったく知らなかった私が、Google先生に教わった知恵と、それらを試した結果を書いてゆく。
一晩寝る
前述の通り「いずれ抜けるやろ!」と魚の小骨をナメていた私は、まず一晩寝ることにした。
まずもって、私と小骨との邂逅は夜21時のことだったので、それ以上に何をする気にもなれなかった。
これで抜けることもあるらしい。
が――翌朝も、ヤツはそこにいた。
集合知に頼る
朝ご飯を食べる間もなく飛び乗った通勤列車のなかで、私はヤツを退治する方法を探し始めた。
喉 小骨 検索!
期待どおり、クリニックやら、テレビ局やら、Webメディアやら、色々な記事が色々なことを教えてくれた。
まず出てきたのが、前述の「タイには気を付けろ」「ご飯を丸飲みしてはいけない」。
そして、
喉の奥に小骨が見えることがある、が見えたとしても手で抜いてはいけない。(傷を広げることがあるから)。
ツバを飲みすぎるのもよくない(より深く刺さることがあるから)。
お酢を飲んだら小骨が溶ける、は迷信。
じゃあどうすりゃええねん!
そして、どの記事も締め括りは、決まってこれだった。
魚を食べるときは気をつけよう。
わかっとるわい!(涙目)
そうしてなかったから、困っているんです、今。
……と、どうすればいいのか、という情報は期待より少なめだった。が、いくつか試せそうな手段はあったので、安全そうなものから試す。
ツボを押す
電車内でできそうなこと、といえばまずはツボ押し。
上腕のツボを1駅ほど、
手首のツボを3駅ほど、
グリグリと押してみた。
あとはくるぶしまわりのツボもあるそうだが、さすがに朝ラッシュの電車内ではやめておいた。
なんとなく痛みは薄まった……気はするものの、抜けるまでいかず職場に到着。
チクチクと小骨の刺す痛みは、仕事中だろうとお構い無しだ。
うがいをする
個人的に盲点だったのがこの「うがい」。
つまり、水で骨を物理的に押し流すということだ。
ご飯ほどパワフルでも、指ほど確実でもないが、そのぶん喉を傷つけるリスクが低いということで、推奨されていた。
早速職場の洗面所に向かい、ガラガラゴロゴロとうがいを試す。
例の小骨は、うがいの水の到達範囲よりも喉の奥に刺さっていそうだったが、ものは試し。
喉のできるだけ奥まで水が届くよう、でもむせないように試行錯誤しながら、数回うがいをした。
その後、おそるおそるつばを飲み込んでみたところ……
ちくっとした感じが消えていた。
あれ?ホントに!?
と、またつばを飲み込むと、数回で「ちくっ」という嫌な感じが戻ってきてしまった。
またうがいを数回して、つばを飲んで確かめて、と試しても、同じ結果。
仕事をサボりすぎるのもよくないと、おとなしく諦めることにした。
よくよく考えれば、喉の奥に見えるほどの浅い位置に刺さっているならまだしも、私の小骨は比較的喉の奥の方に刺さっていた。
うがいの水が骨の地点まで届かず、ただうがいをするだけになっている可能性は大いにある。
しかし、つばを飲んだときの「刺さっている感」は、確かに一瞬薄れていた。
私は効果が出る前に諦めてしまったが、場合によっては、これが決定打になることも多そうだ。
手で抜く
シンプルにして正攻法、正面突破の物理攻撃。
しかし先ほど集合知Google先生に止められたうえ、向かうべき敵=小骨が、そもそも鏡で視認できなかった。
敵が見えなければ自爆は待ったなしなので、この方法は不採用。
時間をおき、自然に抜けるのを待つ
こちらは保守的、かつもっとも堅実。
Google先生の意見をまとめると、アジ等骨が硬くも長くもない魚であれば1日ほどは様子見でよい。とのことだった。
――この戦法がもし通用しなければ、最終手段「病院に行く」をとることになる。
タイミングは今晩か、明日の昼休み。しかし明日は大事なアポがある、今晩は残業確定だし明日の昼休みも取れるか怪しい、なんなら明日夜にも用事がある。
ならばチャンスは、今日の昼休み。
なにより、「喉に小骨が刺さった」ような思いは、そのアポだけで十分だ。
最終手段:病院に行く
というわけで、耳鼻科に行く。
Google先生曰く、骨が刺さった場合、行くべきは歯科ではなく耳鼻科。
というのも、喉にアプローチする器具は、歯科ではなく耳鼻科にある(ことが多い)らしい。
いわれてみれば、喉の小骨は「耳鼻咽喉科」の「咽喉」にあたる分野だ。確かになぁ。
会社の昼休みに中抜けして、かかりつけの耳鼻科に向かった。
会社から徒歩10分という好立地のその耳鼻科。前にお世話になったのは、わずか2週間前。鼻炎の薬をもらいに行って以来だった。
いつもの受付のお姉さんも、気さくな先生も、私のカルテを見ると(この間、3ヶ月分の処方薬をもらった女では?)とはてなマークを浮かべる。
しかし決まって私が「あ、喉に小骨が刺さりまして……」と言うと、「ああ」と笑顔。語尾には「笑」がついている。
花粉症のハイシーズン、お忙しいであろう先生方に笑顔をお届けできたならよかったです。はい。
余談はさておき、先生は長いピンセットを取り出し、すっと小骨を抜いてくれた。その間2分ほど。
やはり私の小骨は喉の奥に刺さっていて、先生にも見えなかったようだが、結果手探りで抜いてくださったようだ。
「今抜けた気がするんだよなー」の言葉と共に取り出されたのは、長さわずか3センチほどのほっそい小骨。
こんなものと戦っていたのか、となんだか拍子抜けするほど、か細く透明な小骨だった。
骨が抜けた後、その日いっぱいは喉がヒリヒリしていたが、その翌日には何事もなかったように痛みは消えていた。
長くなったものの、小骨との戦いの記録はこれで終わり。15時間ほどの戦いであった。
まとめ:喉に魚の小骨が刺さったとき
▼しない方がいい&しなかったこと
米を飲み込むこと(危険)
自力で骨を抜くこと(危険)
ツバを飲み込みすぎること(やりすぎると危険)
お酢を飲むこと(迷信)
▼試したが、抜けなかったこと
一晩寝る・時間をおく
腕のツボ押し(足のツボは試していない)
うがい
そして結論、病院は最強にして最終手段。
タイなど硬い骨、長い骨の場合はすぐ病院へ!
ここ1年ほど、魚釣りをするようになった私は、今回私が食べたようなサイズの魚を釣ったことも、食べたことも何度もある。しかしこんな逆襲を受けるとは……
気を付けて食べよう、と思った矢先、夫からのLINEが来た。
「今日は大漁でした。今日のご飯は煮付けです」
追記:無事でした。
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