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タロットと易のお話 その②

皆さま今日は!

今回は前回の占い関係のnoteの続き。

そう易のお話です。

それでははじめていきましょう!

易とはどう言う占いか?

周易(易)は例えば『NARUTO』の日向ネジや『東方project』の八意永琳のモチーフに「八卦」が使われ、大韓民国の国旗🇰🇷(太極旗)にも描かれているので、

全く知られていない訳では無いでしょうが、

どんな占いか知られていない部分もあると思いますのでかいつまんで言うと、

卜術の中でも筮(ゼイ)と呼ばれ、蓍(めどぎ)や筮竹(ぜいちく)といった節がある真っ直ぐな植物の茎を一定数(周易なら50本)用意し、片方の手からもう片方の手に一定回数ランダムに選り分けて行き、残った本数を記録する事で、

卦(タロットで言うアルカナですね)と言うシンボルを作り、そのシンボルを読み解く占いです。

もっと簡単に子どもさんでもわかる様に言うと、

花びら占い(好き、嫌い、好き)や指の間の股を「天国、地獄、大地獄」ってやってく遊びありますよね。

アレは言うなれば

yes→no→yes→noあるいは吉→凶→大凶みたくなってく二元論、或いはn元論的な

占いやゲームになりますね。

これを複数回組み合わせる事で、yes/noや男、女など並列しあるいは対立し補い合う概念、対になるものの集まりが沢山出来ます。

これを全体から俯瞰してみる事で一つのイメージを想像すると言うのが易の方法論です。

例えば、易では陽(yes/強い力など)はー(一本の線)、陰(no/補助的な力など)は- -(真ん中が割れた2本の線)で表しますが、

yes(或いは強い力、外向きの力)が6個あつまると (乾為天/けんいてん/全てが強い外向きの力、天、王さまや人格者、龍をシンボルとする)になり、

それと対になるのが (坤為地/こんいち/全てが補助的な力、大地、お后さまや柔らかい性格の人、またネガティヴさもシンボルとする)

になります。

この様に対となる二つの概念でイメージを作り、複雑な解釈を加えていくのが、易と言う占いです。

易はどの様に発展してきたか?

「易経」と言う経典の形で、易がまとめられたのは歴史学的に言えば、西周時代(紀元前1100年頃 - 紀元前771年)の事だとされます。

卜や筮がそれより前からあった事は殷王朝の遺跡から出土した甲骨文などから分かっていますが、封建制の強い周王朝が起こり、各地で伝えられていた詩や音楽、占いが纏められた結果、それに原理や原則、占い結果をまとめた教書の様なものが必要になり、それ故に成立した、と言うのが今日の通説です。

今日、最古のものとされている「易経」の竹簡写本の最も古いものは中国の戦国時代(紀元前5世紀 - 紀元前221年)のもので、今の形にまとまったのは、前漢王朝の頃では無いか?と言われています。

では、それ以前の形はどうだったのか?と言うと中国の少数民族にそれを解く鍵があります。

例えば、チベット・ビルマ系の民族・彝(イ)族には雷夫孜(レイフズ)と言う占いがあり、これは竹または草の茎を左手から右手に操作し、左手に残った茎の本数が偶数か奇数かを記録し、占う占いで、その手法は易にそっくり。

かつ、3回ソレを行う事で奇数と偶数の組み合わせが8通り存在することになるので、その点も易と共通しています。

その他、一例としてタイ系のチワン族には鶏の骨を使った鶏卜経(けいぼくきょう)などがあり、これらの占いがより体系化されたものが易経と考える事ができます。

恐らく、これらの占いは新石器時代に家畜の飼育が常態化し木製品が作られるようになり、土器や彩陶が作られるようになった7,000年ほど前に遡るとみられます。この頃になると原文字か文字用記号のようなものが中国各地で見つかるようになり、このように社会が形成されていく中で、原始的な占い体系が出来た来たものと推測されます。

そこから長い時間をかけ、中国が青銅器時代に入り殷王朝後期(紀元前12世紀)あたりになると文字体系が発達して今の漢字のもとになる甲骨文字が誕生します。

この文字の誕生周王朝の封建制へのバトンタッチがこれらの占いにとってもエポックメイキング(画期的)であったと言えます。

まず、文字や情報が封建制により、色々な諸侯国で共有されることとなり、かつ春秋〜戦国時代(紀元前770年〜紀元前221年)ごろになると諸子百家と呼ばれる哲学・宗教学・農政学などの学者集団が現れます。

知識体系が整理され、それまでは家伝であったり、各部族ごと、或いは殷や周のような大邑(大きな権力を持った共同体)の元に緩やかな形でまとまっているだけであったそれらの情報が、思想的共同体(教団)のもとで分析・編纂されるようになったのですね。

これにより、ただ奇数と偶数の集まりであった易の原型に今日で言う柔・剛陰・陽と呼ばれる二元論が当て嵌めらるようになって行きます。

柔とか陰と言うのは言うなれば、女性的で温和な穏やかで力に頼りすぎないやり方。

剛とか陽と言うのは、男性的で厳格な、力強いやり方。

これらが上手く噛み合い、助け合うことで、万物...ひいては社会や個人もうまく調和していくと考えた訳ですね。

そしてこの時期、易とある重要な中国思想が出会うことになります。

それが儒家陰陽家。

まず儒家が社会は「徳(人格とその使い方)によって統治が可能であり、それによって統治されるべきである)」と考えた時、その徳と言うものもやはり柔と剛の組み合わせによって説明出来る、と言う点で易の記号論に着目しました。

この

徳と柔・剛

と言うものは、後々に易の卦を分析して「人間とはこの卦の示すタイミングや状況でどうすべきか」と言う人格論や帝王学の原型になりました。ここから「十翼」と呼ばれる易経全体の形、つまり哲学的占いとしての易が出発しました。

対して、陰陽家はもっと形而上学(この言葉も『易経』からです)的な部分に影響を与えました。

すなわち陰陽説・五行説です。

陰陽説とは前述のように全てのものは男女、昼夜、強弱、攻守、精神と肉体、日月のように対になる二元的な属性で説明でき、

さらに五行説というのは、🌲・火🔥・土🪨・金🗡・水🌊と言う循環する5つの属性がこの世界を形作っており、それによって季節などの循環や食物の味・栄養素なども決まっている、とする説、いわば擬似元素(エレメント)説です。

易経には本来、五行説は関係ありませんが、陰陽説の方は柔剛説や徳の説明にも相性が良く、また奇数・偶数の説明にも当て嵌められるので、

段々と融合していき、こちらの方は疑似科学と言うかロジカルで分析的な占いとしての易の原型となっています。(漢代以降、五行説も融合して五行易が生まれたり、殷代以来の十干十二支などとも合体して、四柱推命、九星気学、陰陽道などありとあらゆる中国占術や天文学のモデルになっています)

この様にして易は発達して来た、と言えるのです。

その後も主に儒教の思想家の解釈に次ぐ解釈を経て注釈も作られ、今日の易占いに繋がっています。

あちらこちらに残る易の影響

ポップカルチャーや国旗などに易の八卦が残っているのは冒頭で挙げましたが、

その他に企業名や人名にも易の影響は残っています。

例えば、化粧品会社である「資生堂」は、

大地の卦である「坤」(こん)と言う卦の言葉である「万物資生」(全てのものを生み出す)からですし、

上皇陛下のお名前である「明仁」(あきひと)は

火の卦である「離」(り)の言葉である。

「明、両(ふたたび)作(おこ)るは離なり。大人以て明を継ぎ、四方を照らす」
●太陽が度々昇るような徳が離の卦である。日々登る太陽さながらに立派な指導者は明るい徳をもって、世界を照らし出す。

から来ています。

この様に「易経」のことばは色々な所に根付いているのですね。

補足:易の卦の一覧

詳しい卦の意味などについては次回以降の「易」テーマのノートに譲りますが、今回、六十四大卦のなまえとおおよその意味だけ挙げさせて頂きます。

まず基本となる八大卦

☰ 乾(けん) 天、男性的な力🌤
☱ 兌(だ) 沢、綺麗さ、純真さ🏝
☲ 離(り) 情熱、火🔥
☳ 震(しん) 行動、事件や事故、雷⚡️
☴ 巽(そん) 選択、方向性、風🌪
☵ 坎(かん) 水溜り、落とし穴🕳
☶ 艮(ごん) 山、障害、停止⛰
☷ 坤(こん) 大地、女性的な力🪨


更に六十四卦

1.乾為天(けんいてん) 男性的な力
2.坤為地(こんいち) 女性的な力
3.水雷屯(すいらいちゅん) 交わり、止まる
4.山水蒙(さんすいもう) 暗い、未発達
5.水天需(すいてんじゅ) 時を待つ
6.天水訟(てんすいしょう) 訴える
7.地水師(ちすいし) 軍団、団体行動
8.水地比(すいちひ) 協力、並ぶ
9.風天小畜(ふうてんしょうちく)小さく貯まる
10.天沢履(てんたくり) 実行する
11.地天泰(ちてんたい) 平和、安泰
12.天地否(てんちひ) 逼塞、閉塞
13.天火同人(てんかどうじん) 同志と共にする
14.火天大有(かてんたいゆう) 大いに所有する
15.地山謙(ちざんけん) 謙虚
16.雷地予(らいちよ) 準備、喜び
17.沢雷随(たくらいずい) 従う
18.山風蠱(さんぷうこ) 腐敗、過去を受け継ぐ
19.地沢臨(ちたくりん) 臨む
20.風地観(ふうちかん) 観察する
21.火雷噬嗑(からいぜいごう) 障害、噛み合わない
22.山火賁(さんかひ) 飾る、虚飾
23.山地剥(さんちはく) 剥がれる、崩壊
24.地雷復(ちらいふく) 復活、戻る
25.天雷无妄(てんらいむぼう) 無心、無欲
26.山天大畜(さんてんたいちく) 大いに貯まる
27.山雷頤(さんらいい) 養う
28.沢風大過(たくふうたいか) 大きな負担
29.坎為水(かんいすい) 落とし穴、試練
30.離為火(りいか) 太陽、火の勢い
31.沢山咸(たくざんかん) 感じる
32.雷風恒(らいふうこう) 恒常的
33.天山遯(てんざんとん) 逃げる、隠棲
34.雷天大壮(らいてんたいそう) 大きな勢い
35.火地晋(かちしん) スムーズに進む
36.地火明夷(ちかめいい) 徳が隠れる、暗黒
37.風火家人(ふうかかじん) 家、内側を治める
38.火沢睽(かたくけい) 叛く、背反する
39.水山蹇(すいざんけん) 行き悩む
40.雷水解(らいすいかい) 解決、解消
41.山沢損(さんたくそん) 損する
42.風雷益(ふうらいえき) 利益があがる
43.沢天夬(たくてんかい) 決定、決壊
44.天風姤(てんぷうこう) 遭遇する
45.沢地萃(たくちすい) 集まる
46.地風升(ちふうしょう) 上る、ステージアップ
47.沢水困(たくすいこん) 困難
48.水風井(すいふうせい) 井戸、掘り起こす
49.沢火革(たくかかく) 革命、心機一転
50.火風鼎(かふうてい) 安定
51.震為雷(しんいらい) 行動、震える、事件
52.艮為山(ごんいさん) 障害、停止
53.風山漸(ふうさんぜん) 徐々に進む
54.雷沢帰妹(らいたくきまい) 未熟なまま行動する
55.雷火豊(らいかほう) 豊か、過剰
56.火山旅(かざんりょ) 一人旅、チャレンジ
57.巽為風(そんいふう) 選択する、方向性
58.兌為沢(だいたく) 喜ぶ、話す
59.風水渙(ふうすいかん) 吹き飛ばす、分散
60.水沢節(すいたくせつ) 節度、チャンス
61.風沢中孚(ふうたくちゅうふ) 真心
62.雷山小過(らいざんしょうか) 小さな負担
63.水火既済(すいかきさい) 完成、終焉
64.火水未済(かすいびせい) 未完成、継続

この様な卦から、占いも結果を読み取っていきます。

次回以降のnoteで詳しい説明も加えていきますのでお楽しみに!

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