見出し画像

タロットと易のお話 その①

皆さま今日は!

今回は前回2回とはちょっと趣向を変えて、占いのお話をしてみようと思います。

私は歴史や言語の研究の他に占いの実践と術数学(占いの体系や歴史を学ぶ学問)の研究もしているのですが、ちょっと簡単に占いのうちポピュラーなもの2つについてご紹介して行こうと思います。

よろしくお付き合いくださればと思います。

占いとは何か。占いの分類にはどんなものがあるか。

占いとは何か?と定義づけるのは非常に簡単であるとも、逆に非常に困難とも言えます。

ですが簡易であると仮定して、ザックリと言ってしまえば、ある物体や状態などが1人の人間の人生や、世界に起こる変化と相関関係にある、と仮定し、その物体や状態をシンボルとしてその解釈を行う(今日では非科学的な)学問及び手法は全て占いに類する、とも言えます。

例えばコーヒーを飲んだ後の粉の滓やコーヒー液の跡を読み解く事で、飲んだ人物に近未来に起こる事象を読み解く「コーヒー占い」

こう言うざっかけない、あまり哲学じみた体系の無いものも「占い」ですし、逆に星座や惑星の動きが人間の運命に影響を与えるとし、出生時刻や出生地など精密な計算を要する「占星術」(ホロスコープ)これも占いです。

この様にシンボルを読み解き、何らかの意義を認知し、そこから過去や将来の事物・事象とのつながりを感知する、そう言うもの全てが占いなんですね。

さて、これらの占いには大きく分けて三つの分類があります。

それが、

◉命(めい)
◉卜(ぼく)
◉相(そう)

です。

それぞれについてシンプルに解説していきましょう。

命、または命術は文字通り、対象の生命(人間/動物)の生まれ持った「宿命」、「運命」について知ろうとするものです。

よってこの命術の判断材料になるものは、それらの生物が「生まれ持って変わらないもの」...すなわち「生まれ星座」や「生年月日」です。

ですので西洋占星術、インド先生術、四柱推命、九星気学、紫微斗数などの生年月日を元にした占星術がこれにあたります。

特徴としては

統計学の側面と、精緻な数的公式から成り立っているので、やや長期的な占断に向き、また一旦データが出そろえば、解釈の仕方もやや容易で、竹を割った様な指標となり易い

と言った部分があります。

しかし反面、自身の星座と周りの星座の関係性や、どこの位置に自分の星座があるかなどの詳細な計算が必要で、少し計算がズレただけで占断結果がかなり違ってしまうところもあり、初心者には少し完璧に覚えるのが困難といった部分もあります。

次に卜術「卜」(ぼく)「占」いの字の上半分に当たる象形文字で、「亀甲占いの亀の甲羅に現れた割れ目」を表し、故に「兆し、占い」の意を持ちます。

故に卜とは

タロット、筮竹(ぜいちく)、石(ジオマンシーなど)、占いの対象者本人の身体や行動ではなく、主に占者が「その時」カードや事物に現れた現象

を読み解き、そこから啓示を得る事で、対象者のこれからの運命を読み解く占術全般を指します。

タロットカード、オラクルカード、周易、ジオマンシー、ルノルマンカード、ルーン文字石占いなど多くの有名な小道具を必要とする占いはこの分類です。

特徴としては、即今に出た事象に対して占者や占いのクライアントさんがそのシンボルについて読み解く訳ですから、

膨大な計算を必要とし、やや読み解きにも煩雑さがある命術に比して、簡便に両者がイマジネーションを行う事が出来、今この瞬間や近い将来やろうとしていることに対しては、非常に精細なアドバイスを得易い、と言う部分があります。

ですが、反面数字や統計、年月日を扱う性格は命術に比べかなり薄く、故に「〇〇月✖️✖️日にどうなっているのか?」や「長期的に見てこの案件はどうか」などの占断には余り向きません。

故に心ある占い師さんの中には「命術は指標やリズムであり、卜術はアドバイスであると言えます」と表現する方もおり、私もその様に思っています。

残る一つ「相」、これは読んで字の如く、手相や顔相、筆跡鑑定などを意味します。

中国では、術数学3種に加え、「医術」と「仙術」(気功や呼吸法、武術など含む)を加えて五術としますが、相は例えば住宅やお墓の気の流れを読む風水なども含み、

は残り2つの術とも繋がり、占いのクライアントさん本人の行動や体に現れた兆候、或いは家やお墓など何かを中に秘める「環境」そのものの気の流れと言う「相」(かたち)を読み解く術だと言えます。

タロットとはどう言う占いなのか?

さて、途中投稿させて頂きましたが、続き。

そんな占いの卜(ぼく)術の中からポピュラーな占い、タロットと周易について説明させて頂きます。

まずタロット。

カード占いやカードゲーム(つまりタロットやトランプの原型)🃏がヨーロッパに伝来したのは、14世紀ごろとされています。

ちょうどこの時代は前世紀の後期十字軍によるエルサレム占領やモンゴル帝国の拡大、イスラーム王朝(オスマン朝)の小アジア支配を経て、12世紀ルネッサンスを過ぎ、イタリア・ルネッサンス期に入る頃、つまりユーラシアの東西交流が盛んかつ、ローマン・ヘレニズム以来の文化が見直されてきた頃です。

かつてはタロットはその神秘的な絵柄からすわ古代エジプトが起源ではないか?ユダヤが起源では無いか?

とオカルティックな推定もされていたのですが、事実上はダンテ・アリギエーリの著作『神曲』

●原始キリスト教(ヘブライズム)や中世初期カトリック的な典礼から来た地獄・天国観

●イタリア半島在来のローマン・ヘレニズム的な神話観

の2つが混ざっている様に、キリスト教的な世界観にギリシャ神話・哲学やローマの要素が重なり、

またその淵源にエジプト神話などからの借用が重なったものだとすれば、これは寧ろ中世イタリアの神秘主義で解釈した世界観がそのままカードになったものとするのが妥当でしょう。

ただ、ミンキアーテ版(15世紀/フィレンツェ)やヴィスコンティ・スフォルツァ版(15世紀/ミラノ)では黄道十二星座や四大元素などのカードの他、キリスト教の枢要徳である「思慮、希望、信仰、仁愛」があったり、現在は男性の絵柄のみとなっている「騎士、ペイジ」対となる「女騎士、メイド」があったり、

18世紀の占い師、エッティラ以前にはタロットが占いの目的で使用された確たる証拠は一切ないのですがその時代には既に、ローマン・ヘレニズムやキリスト教の世界観を取り込んだ美麗かつ哲学的なルネッサンス絵画の要素を含んでいて、十分に神秘主義的な解釈をされる余地があったと言う推定がされ得るでしょう。

またこれらのタロットの制作依頼者がまさに14〜15世紀ルネッサンスの主役であったミラノやフィレンツェなどの先進的な都市国家の支配者層であると言う事もこれらが非常に精緻な絵柄のカードの形からギャンブルやゲームの形を経て、占いに転用されていくきっかけの一つであったと言えましょうか。

なおこの時代(12世紀ルネッサンス〜14世紀ルネッサンス時)は未だイスラーム圏の方がバビロニア・ヘギリシャ系天文学・占星術書の翻訳では西洋より優れており、これらの地域との交流が神秘主義的側面の飛躍的な発展をもたらした、とも仮設できます。

その後、17世紀中盤にはマルセイユ版タロットがフランスで誕生し、さらに続く18世紀には職業占い師エッティラが大アルカナに12星座や7惑星小アルカナの4つのスーツに四大元素を結びつけ、

更にはシャッフル後のカードが逆向きに出る事で本来の意味を反転させたり、弱化させる「逆位置」の概念

を取り入れたことにより、占星術(命術)や神秘主義的な卜術としてのタロットが完成したのです。

更には19世紀から20世紀にかけて神秘主義団体「黄金の夜明け団」の解釈などを通してウェイト版とトート版と言うマルセイユ版に並んで今も愛されるデッキが確立。

アルカナの図柄も飛躍的に解釈がし易くなり、タロット占いが近現代には一つの占いのジャンルとして確立したんですね。

この様に古代から中世、中世から近世、近現代と言う世界史の広がりとヨーロッパ世界の神秘主義の醸成が長年かけて生み出した「最も新しい占い」の一つがタロットだと言えます。

今日のタロットのデッキ(一例)

現在のタロットのデッキは基本的に

🌳(杖、枝)ワンド=火🔥属性=情熱や生命力、行動力の象徴
⚔(剣)ソード=風(空気)🌬属性=冷静さや決断力、智慧、攻撃性の象徴
🏆(杯)カップ=水🌊属性=感受性、心のキャパシティ、受容性、感情や情緒の満たされ具合の象徴
🪙(貨)コイン、ペンタクル=土(大地)🪨属性=物質性、豊かさ、結果、物質的・肉体的な満たされ具合の象徴

4つのスートに属する小アルカナが1〜10と王子、騎士、女王、王の各14枚で56枚(トート版は王女(姫)もあるので計60枚)。

そして

0.愚者
1.魔術師
2.女教皇
3.女帝
4.皇帝
5.教皇
6.恋愛
7.戦車
8.正義 或いは 調整
9.隠者 
10.運命(の輪)
11.力 或いは 欲望
12.刑死者
13.死
14.節制 或いは 技
15.悪魔 
16.塔
17.星
18.月
19.太陽
20.審判 或いは 永劫
21.世界 或いは 宇宙

と言う

大アルカナ22枚で構成されており、

これを1枚引き、2枚引き(2者択一や追加アドバイス)、3枚引き(過去・現在・未来など)、10枚引き(ケルト十字法や蹄鉄法など)の多彩なスプレッドで配置して占います。

※実際の占い方やアルカナの解釈についてはまた別のノートで説明していきますね♪

さて今回の更新はここまでですが次は周易の説明になります。

タロットが最も新しくカードゲームが神秘主義と結びついた哲学的な占いだとすれば、周易は真逆で「紀元前の数占いが中国の戦国時代に儒教哲学と結びついて紀元前後の中国で既に帝王学として完成した」世界でも最も古い占いの一つです。

お楽しみに(*´ω`*)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?