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3.11から生まれた奇跡の不死鳥━キャンプギアブランド「Phoenixrise」が見つけた社会貢献
青森県五戸町は、車道で馬とご対面することもあるほど、のどかな町だ。
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私の住む八戸市からは、車で30分もあれば行ける距離にある。温泉に入りに行ったり、キャンプをしたりと何度も訪れている町のひとつだ。人口は、15,000人ほどと、それほど多くない。
そんな小さな町に、キャンプギアブランド「Phoenixrise(フェニックスライズ)」が誕生したのは、2020年秋のことである。
「Phoenixrise」の代表、赤坂太樹氏の製品に対する想いを知り、私はこのブランドを大好きになった。今から少しだけ、「Phoenixrise」のこと、そして赤坂社長の想いをシェアさせてほしい。
精密技術を活かし誕生したキャンプギアブランド「Phoenixrise」
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(左から)赤坂社長、技術職人
2020年10月に立ち上げられた「Phoenixrise」は、母体となる会社「サンライズエンジニアリング」抜きには語れない。
サンライズエンジニアリング(青森県五戸町)
サンライズエンジニアリングは、1989年に設立されたプレス金型の設計・製作を手がける会社である。現在の社長は赤坂太樹氏。自動車や家電向けの精密部品の製造、プレス加工など高い精度が求められる分野で事業を展開してきた。青森県五戸町と、岩手県花巻市に工場を構える。
サンライズエンジニアリングの高度な金型加工技術を活かした、オリジナルキャンプギアブランド。「Phoenixrise」は、サンライズエンジニアリングから新たに創設されたブランドなのだ。
商品第1号となる薪ストーブの完成までに、10ヵ月以上もの試作を重ねる。実に25台以上の試作品が生まれたとのこと。ブランド発足が半年遅れてしまっても、極寒の地・青森で活躍する製品づくりのため、試行錯誤を繰り返した。
こうして誕生した薪ストーブは、火の鳥が踊って見える様から「不死鳥」と名付けられ、ブランド名である「Phoenixrise」の由来にもなっている。
「Phoenixrise」代表が語る3.11から学んだ“生きること”と新たな社会貢献のかたち
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「Phoenixrise」の赤坂社長は、公式ホームページ内で東日本大震災で被災した当時の様子を振り返っている。
3.11の一夜
2011年3月11日、震災で被災した親族と共に電気のない部屋で過ごした一夜。
コタツで足を重ね、石油ストーブで暖まりながら励まし合い、語り合った。
翌朝、お互いのススだらけの顔を見て笑いあった。
その一夜での家族との食事と会話を通じて、生きることの本質を感じた。
五戸町だけでなく青森県域は、震災当日からおよそ2日停電していた。電気を使わずに暖をとることに、皆が苦労したのだ。赤坂社長は、家族や仲間と一緒に暖をとったり食事をしたりする中で、生きることの本質に気づいたという。
またAmazonの商品販売ページにも、「開発のきっかけ」として赤坂社長の想いが綴られている。
2019年の春、新規事業を模索していた赤坂社長。乗り気ではなかったが、友人に誘われキャンプに行く機会があった。このときの体験は、仲間と食事をともにし語らう時間、焚火に癒されあっという間にキャンプのとりこになったという。
その後キャンプをしたときに、震災時の家族の絆や会話と、ともに食事をする喜びが共通していると感じました。
震災当時の出来事がふと想起されたとき私は
「そうだ!これこそが社会に貢献することだ!避難の時に囲んだ炎と人の温もりをより多く人に気づいてもらえる商品を作りたい」
と強く感じたのです。
偶然参加したキャンプを機に赤坂社長は、自社工場でキャンプギアを作ることが社会貢献につながるとの想いに至ったのである。
特に薪ストーブや焚火台など、火を扱うギアには赤坂社長のこだわりの強さが感じられる。それだけ、あの日の夜に石油ストーブを囲んだ記憶が印象深かったのではないだろうか。
コンパクトで高性能!「Phoenixrise」が誇るキャンプギアの魅力
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もし、あなたがキャンパーじゃなければ、キャンプギアにこんなイメージを持つかもしれない。
重い
場所をとる
車に入らない
これらのネガティブワードを払拭するのが、「Phoenixrise」の真骨頂、圧倒的な収納力だ。私が「Phoenixrise」の製品を推す理由のひとつでもある。
ここで「Phoenixrise」の公式YouTubeチャンネルより、ショート動画を紹介する。「焚火台OverDriveシリーズ①OverDrive OD-01」というタイトルで公開されているこの動画は、焚火台を組み立てるシーンが視聴できる。
焚火をするときだけ組み立てれば良いので、普段はスリムな状態でしまっておけるのだ。キャンプ場でカチ、カチ、とパーツを組み合わせていく過程も、これから火を育てる気分を高揚させてくれるだろう。
ほかにも、大きな薪もしっかり掴める「|劔《つるぎ》トング」は、トングの先端がピタリと噛み合い見た目も美しい。高水準の金型加工技術が活かされ、紙1枚さえ掴めるほど、精密なトングといえる。
チェアリングにちょうどいいミニテーブル「TAKIBI RECORDS」も、私が大好きなギアのひとつだ。丸くカットされたステンレス鋼は、昭和のドーナツ盤を連想させる。中央にブランドロゴと商品名が型抜きされていて、室内インテリアとしても活躍する格好良い見た目だ。
火を囲む時間がもたらす癒しと人とのつながり
「Phoenixrise」のキャンプギアは、単なるアウトドア用品にとどまらず、火を囲む時間の大切さを再認識させてくれる存在だ。
3.11から生まれた「Phoenixrise」は、焚火を通して「人とのつながり」「語らう時間」「火の持つ癒し」を大切にしながら、高品質で機能的なギアを生み出し続けている。
薪ストーブ、焚火台、トング…… どれも細部までこだわり抜かれた逸品ばかり。実際に商品を手に取れば、その違いを実感できるだろう。もし「Phoenixrise」のギアを手にする機会があれば、暖かな火を囲む時間を楽しんでほしい。
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