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切れない関係
チャイムが鳴り、家のドアが開く。
「こんにちは」
「お邪魔しまーす」
義妹家族だ。にぎやかな声に返事をしようとしたとき、ノックが聞こえて、また家のドアが開く。
姑だった。
姑と義妹夫婦がバッグを床に置いたり、甥っ子姪っ子が娘と遊び出したら、またチャイムが鳴る。子どもたちがインターホンじゃなく、家のドアを開けに行く。
やってきたのは義弟家族だ。
私たち家族を含めて総勢13人になった。
夫親族が我が家に集まるのは年に4回から5回。
お正月、ゴールデンウィーク、夏休み、義母の誕生日、年末の餅つきという、季節ごとのイベントを一緒に過ごそうっていうところだろうか。
義実家の法事には夫の伯母、従姉家族、従兄、義母の従兄夫婦たちも集まる。
付き合っている親族が多い、私はそう感じた。
私は核家族で育ったうえに、家に人が来るような家庭ではなかった。
家には友人や親族が来るのは、数年に一回あるかないか。
人の家にお呼ばれすることも年に1回あるかないか。40代半ばにして、今、親しくしている友人は、ここ数年で親しくなった人ばかり。
人間関係が希薄な環境で育ち、濃い人間関係を築くのが苦手な私は、30代半ばで結婚した。
その結婚した相手が、付き合っている親族が多く、しかも仲が良い人だった。
この親族付き合い、人間関係がうっとうしいと感じた時期もあった。
昭和生まれにしては親族が少なく、人間関係が希薄だった私には、たまにしか合わないとはいえ、切ることのできない関係、定期的に合うのが当たり前な関係が重荷だったのだ。
SNSが発達した今、リアルな人間関係よりもオンラインを通じての友人の方が多い人もいるだろう。
私にも、オンラインでしかあったのことない知人はいる。彼女とは同じような悩みを持っていたせいか、恥部を打ち明けたこともある。
リアルな人間関係が良い。
これだけインターネットやSNSが発達しているのだから、オンライン上の付き合いでも十分。
いろんな意見があるだろう。
でも、人が生きていくうえで、どんな形であれ、自分以外の人との付き合いがゼロというわけにはいかない。何かあったら声をかけられる人が一人でも多くいる方が良いはずだ。
親族付き合い、面倒な気持ちはゼロにはならないだろうけれど、人間関係を築き、続けるのが苦手な私と切れにくい関係になってくれた夫やその親族たちに感謝の気持ちをもって関係を続けていこうと思っている。