
小説『窓』 no,51
赤井義晃が首里城公園で妹尾錠治と分かれた後(=小説『窓』no,45 のラストシーンの後)…
午後5時過ぎ頃…
赤井義晃は…
久保伸治が沖縄での住処(すみか)にしている那覇港の海岸線(の南方)で、建物の裏側が那覇港に流れ込む河川の河口岸に(高フェンス一枚で)接している様な(人が一人通り抜けられる位のスペースしか無い様な)…
築50年は充分に過ぎていると思われるエレベーターの無い5階建てマンションの5階の部屋に帰ると…(…戻ると…)
久保伸治:『赤井(義晃)さん…どうでした?』
久保伸治が…、戻って来た赤井義晃の背後には 誰も(=不審な人物の)人影が無いを確認してマンションの(出入り口)ドアを閉め…
久保伸治が赤井義晃に向かって尋(たず)ねた…(確認の為に聞いた…)
赤井義晃:『分からん!(五分五分…?)』
赤井義晃:『でも、可能性はある…、お前(久保伸治)と会って 直接 話が聞きたいと言っていたからなぁ…!』
久保伸治:『赤井さん、もしも 今夜 妹尾さんが (待合せの居酒屋) 来なかったら…
予定通り(に)…(島田)健治と一緒に お金(「ブラック·スティックVersion2」を売ったお金の事)を回収して後から奄美(大島)に来てくれ!』
久保伸治:『勿論(もちろん)俺が無事に奄美に着いて(赤井さんに)連絡してからだが…』
赤井義晃:『とにかく、無茶は…もうしないでくれ!』
久保伸治:『(島田)健治には、既に(暗証)番号の半分は連絡してあるから…、残りの(暗証)番号を赤井さんに教えるから…頼(たの)む!』
赤井義晃:『分かった、分かったから…「プランA」の妹尾さんが(待合せの居酒屋に)来てくれる事を信じて…、一緒に奄美(大島)に行こう!』
久保伸治:『チャーター船は(既に)準備してあるから…いつでも出発できる!』
赤井義晃:『店(居酒屋)の店主には、何って話たんだ!?』
実は…久保伸治が沖縄に来て信頼を寄せている…那覇港の街にある「居酒屋 磯子盛(いそごもり)」の店主の持つ船をチャーターしていたのだった…、そして、その船で沖縄を出て奄美大島に渡る計画を(久保伸治は)立てていたのである…
久保伸治:『勿論(もちろん)、(乗り込む人数は)二人だけだ…と言ってあるよ…!』
赤井義晃:『そっか…、でも良く短期間で準備したなぁ…(準備が出来たよなぁ〜)』
久保伸治:『あの阪神大震災の直後の(二次災害の)火災の中から奇跡的に助かったんだら…、そりゃあ 覚悟を決めたら即行動するさぁ!』
赤井義晃:『まぁなぁ…、で、いくら(売ったお金は…)に成るんだ…?』
久保伸治:『五億 近くだなぁ!』
赤井義晃:『そんなにかぁ!』
赤井義晃は…久保伸治の言葉(金額)を聴いて驚きを隠せなかったのである…
久保伸治:『あぁ、そんなにだぁ!』
二人(赤井と久保)は、互いに見つめ合い…声を抑えて(互いに)笑った…(笑い合った。)
その瞬間、三人の男が…いきなり拳銃を持って現れる…(マンションの出入り口ドアの鍵を事前に準備して持っていた様子で…)
咄嗟(とっさ)に 久保伸治が赤井義晃を庇って男達の前に立つ…
久保伸治:『赤井さん、これ(暗証番号の残り番号を書いたメモ紙)!』
赤井義晃:『分かった!』
二人(赤井と久保)は 万が一に備えて(事前)打ち合わせしていたのか…
咄嗟(とっさ)に久保伸治が三人の男達の前に立つと同時に、赤井義晃は部屋の奥のベランダから飛び降りる…
その落下したには…予めクッションに成る段ボール箱が重ねて置かれていて…
そこから直ぐに自転車で走り去る赤井義晃の身の熟(こな)しは見事だった。
三人の男の一人が追いかけようと赤井義晃が飛び降りたが、段ボール箱は(既に)潰れていて…それでも飛び降りた男は…その場で暫く動けなく成った。
赤井義晃は自転車で 後ろを振り向く間も無くペダルを必死で踏み続けていると…『パァン! パァン!』と 小さく響く銃声の音を耳にした…様な気がした!
赤井義晃の心の中:『(久保)伸治(しんじぃ〜!)…』
赤井義晃は 心の中で叫びながら…
近くの海岸に向かって自転車を走らせていた…(走らせている…)
久保伸治の心の中:『赤井さん…!逃げろ…!』
二人の男が放った2発の銃弾が 久保伸治の肝臓と首を撃ち抜き…、久保伸治は二人の男に担がれる様に(その)部屋を出て行く…
男達の一人が足を引き摺(ず)りながら、久保伸治を担ぎ出して階段を下りてくる(二人の)姿を見て…
『どこを(狙って)打ち抜いているんだ!バカヤロ!』
その言葉に、久保伸治を担ぎ出している二人の男の内の一人が言った!
『こいつ、半端じゃぁ無い抵抗してくるんで…(慌てて撃って…)仕方が無かったんだ!』
『お前だって、赤井(義晃)を逃がして…足(を)引きずって戻って来てるじゃぁないかぁ!』
三人の男達の二人が(お互いに)言い争いしているのを聴いていた…もう一人のリーダー格の男が言った…
『馬鹿かぁ!今、そんな口喧嘩している場合かぁ!』
『早く、久保(伸治)を病院に連れて行かないと…死んじゃうだろうが!』
それを聞き、口喧嘩をしていた二人の男が…
『もう、息してませんよ!』
その言葉に三人の間に暫しの沈黙が生まれる…
そして、リーダー格の男が…
『仕方ない!車のトランクの中に入れて…早く(ここから)離れるぞ!』
足を引きずっている男が、車の後部座席に頭から飛び込む様に乗り込むと…続いて、久保伸治を車のトランクに押し込んた二人の男達が…それぞれ、運転席と助手席に分かれて乗り込んだ…
後部座席の男が、運転席に座った男に向かって…
『あの居酒屋 磯子盛(いそごもり)に行け!』
『あの(居酒屋 磯子盛)店主から、赤井(義晃)の逃げ込みそうな先で、(店主から強引に)聞き出してやる!』
『とにかく、急げ!』
運転席の男:『分かりました!』
命令口調が嫌いな運転席に座った男が反抗的に返事を返した…
助手席に座ったリーダー格の男は無言で…これから先の予測を必死に成って考える様子で…鋭い眼を車の行く方向に向けている。
そして、車は 急発進して那覇港に向かって走り去る…
『もしもし…、もしもし…』赤井義晃がマンションの5階から前に、地上に積上げて置いてた段ボール箱に 向かって飛び降りた際に…
同時に落下し落としてしまった(赤井義晃の)携帯電話(ガラ携)から(赤井義晃を呼び出す)声がしている…
おそらく、赤井義晃がマンションの5階から飛び降り、予め準備していた段ボール箱の積上げてた上に着地した瞬間に手に持っていた携帯電話の通話ボタンを押した後(直後)に…
落下直後の衝撃で(赤井義晃の)手から溢(こぼ)れるように…積上げてられた段ボール箱(のアウトライン)が置かれていない地上に直接(ダイレクトに)…
少し弾んで、倒れ 落ち着いた携帯電話のスピーカーから聴こえてくる『もしもし…もしもし…』の声の持ち主に応える 人も人影も無い状態で…
ずっと、その『もしもし…、もしもし…』が続いていたのでした…
その電話の相手は…赤井義晃が自分の携帯電話に 予めダイヤル番号をセットして…手に持っていた島田健治の声だった!
島田健治は 赤井義晃から掛かって来た電話(電話のタイミング)に…不安を隠せない様子で…『もしもし…、もしもし…』と…
いくら呼び掛けても…返しの声が無い…赤井義晃の状況を心配して…
ずっと『もしもし…、もしもし…』を…
まるで、その携帯電話の電池が切れるまで…『もしもし』と言い続ける覚悟を決めた(人間)かの様に(島田健治は)言い続けた(呼び続けた)!
……………つづく…………………
小説『窓』no,52
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