
小説『窓』 no,52
閑散とした商店街の裏道を必死に成って自転車を漕いでいる赤井義晃が目指す場所には…
妹尾錠治の姿は無かった…
その頃…
妹尾錠治は 紡車紫織と国際通りに面する Hotel ポンタナ の一室で紡車紫織の躰に魅了されている時だった…
そして…
妹尾錠治は 考えていた…
『私は もう二度と、この白く柔らかな躰を抱くことは出来ないだろ…』と…、
そんな(=そのような)彼の思いが 紡車紫織 へ 伝わったのか…
彼女の躰が 神秘的な大蛇の様に 妹尾錠治の躰に纏(まと)わりつくと…
美味しそうな獲物を見つけ…
それを静かに頭から呑み込むために…
唾液を絡ませながら、その全てを加えて離さなかった…
妹尾錠治は、『あぁ…』(と)一言「うめき声」を漏らす…
それが 彼女の本性を引き出したかの様に 徐々に喉の奥から獲物を吐き戻すと、更に その頭部を激しく舐め回した…
それには 妹尾錠治(自身)が (もう)耐えられないとばかりに…
今度は 妹尾錠治が 体(体位)を入れ替え 紡車紫織の躰の上に成ると…
目の前に見える鮑の様な ひらひらした柔らかい部分から 中が薄赤く誘導しているかの灯によって…
内部から照らしている(柔らかな)穴の側面壁灯だった…
それを( 更に )こじ開ける様に ゆっくりと 妹尾錠治の 舌の先が…
届かなく成る その「限界地」に 向かって(彼女の)奥へ奥へと滑らせを繰り返している…
彼女の躰は…
(更に…)赤く色づき 下半身から上を激しく蛇行させる…
『あぁ…イイ…、あぁ、そこ…そこが…ダメ』と艶っぽい声響を(妹尾錠治に届く様に) 天井に向かって投げつけた…
その紫織の声響に 力(りき)んでしまったのか…
妹尾錠治の舌が 激しく 紫織貝(しおりがい)の真珠玉の小さな頭の部分を 舐め回していた(時)…
紡車紫織:『あぁ、そこはダメょ、もっと優しくして…』
妹尾錠治:『………………』
紡車紫織には、妹尾錠治の口は塞がれた状態…彼の肉声は 聞こえなかった(が)…
紡車紫織:『あぁ…イイ、あぁ…凄くイイ…』
と(独り言の様な)声を出し始めたので…
妹尾錠治も 安心して 彼女の穴の周りから、(まるで体内)浸透圧の「力」で 押し出され 染み出てくる 蜜汁(みつしる)を舌先で 絡(から)め取るように動かし…(そそり舐める!)
(そして…妹尾錠治の)舌の奥へ奥へと流れ運び入れ、それが 喉仏(のどぼとけ)を 一つ「コックン」と動かし (それを)呑み込むと 軽くひと呼吸をして…
再び 紡車紫織の「サラッとした蜜汁」を 求めて 舌先を 穴の(入り口の)周りにあるヒラヒラ部分にも十分に気を使いながら 徐々に…
徐々にと、紫織貝のヒラ奥(の方)へと滑らせていった…
そして…
それは 紡車紫織が求めている間まで 続けられた…
その後、二人は完全に一体(ひとつ)と成って同時(いっしょ)に果(は)てるまで…
( 二人にとっての ) 最後の夜を(お互いの躰で…) 爬虫類の様に過ごし合ったのでした。
そんな事とは 全く知らない 赤井義晃は…
(妹尾錠治が) 待ち合せた店(居酒屋)に来てくれて 待っているかも知れないと 思いながら…
(それを信じて…)
一度、二度と、急カーブのコーナーで転倒しながらも「居酒屋 磯子盛(いそごもり)」に 向かって最後の 「力 」を振り絞って、目の前の上り坂を(自転車を)漕(こ)いでいたのでした…
そうして、やっとの思いで坂を登り着く最後の(ペダルの)漕(こ)ぎが右足に集中した瞬間…『ブチ、ガラ、ガラガラ…』と音がして自転車のチェーンが切れて、その切れた勢いで後輪のタイヤに絡み踏み付けられて、(後輪)タイヤをパンクさせてしまったのでした…
赤井義晃:『ちくしょう!』
しかし、赤井義晃の眼下には 暗闇の中に飛び交う蛍の光ようにチラチラと…「居酒屋 磯子盛(いそごもり)」のある小さな港街の灯(あか)りが見えていたのでした…
赤井義晃:『もう、こんなもんは要らない!』と 呟きながら自転車の後輪に絡みついているチェーンを引出し投げ捨てると…
後輪がパンクしている自転車に再び跨(またが)り、一気に「居酒屋 磯子盛(いそごもり)」の灯りが ある方の街へと続く 急な下りの坂道を自転車の前輪だけに「力 」が加わる 絶妙なハンドル捌(さば)きでだけで自転車を走らせた…
これには 赤井義晃の趣味であるBMXの技が役に立ちました…
BMXは バイシクル モトクロスの略で…
1970年代、アメリカの子供たちが20インチクルーザーバイク(自転車)でモトクロスを真似た走りを楽しんだ事で注目をされ始め…、
専用バイクを使ったオフロードやスケートパークなどで行う様な競技に成ったスポーツです。
しかもBMXのレースは、最大8名が一斉にスタートし大小さまざまな起伏がある400m程のダートコースで順位を競う為…
赤井義晃にとっては この様な事態は「想定内」と言っても良いくらいでした 。
一方で…赤井義晃を追って車を走らせていた特殊警官の三人は慣れない沖縄での夜の走行で…赤井義晃が使った海岸線の細いアップダウンを繰り返す道を諦(あきら)めて片側一車線の県道を走っていたのでした…
三人の内のリーダー格と思われる男が…
『そこを左に入って、大きく右に曲がり込む様に進め!』と携帯電話のナビーを使って指示を出していると…
『う〜う〜』と音がして、『そこの那覇✕✕-〇〇の車!止まりなさい!』と、外野用スピーカーで地元の沖縄県警のパトカーに呼び止められる…
三人の中の運転手が…『チェッ!』と舌を鳴らす…
三人の中の助手席にいる男がスピードを上げる様に言うと…
運転手は…『そんな事は分かってら!』
運転手:『それよりも、沖縄県警の連中に(我々の)邪魔をしないように…県警本部に早く電話してくれよ!』
後ろの席に一人で座っているリーダー格の男が…『あぁ、今してる!だから、もう少し頑張って時間を作れ!』
運転手:『イエッサー!』
やけくそ気味に言った と 同時に車のアクセルを強く踏むと…今、走っている道のコーナーを(思いっきり)ドリフトさせながら走り抜け、後ろから来るパトカーとの距離を一気に離して走り去る(特殊警官3名が乗る車が去っていく)…
後ろのパトカーで追跡している 二人の警官の一人が無線で応援要請をしているのが…
特殊警官の三人の内のリーダー格の男が、 電話を片手に持ちながら、振り向き後の窓から…その様子(=追いかけてくるパトカーに乗っている二人の警官の様子)を確認しながら、そのパトカーに付いているナンバーを読上げ…その電話の相手に伝えていた…
そして、暫くすると…後方から聴こえていた追跡中のサイレンの音も止まり、追跡していたパトカーのヘッドライト光も消えていたのでした 。
…………つづく…………
小説『窓』no,53
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