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小説『窓』 no,47

国際通りに面した、ホテルの一室に妹尾錠治と紡車紫織は居た…

妹尾錠治はシャワーを浴び汗を流し…

紡車紫織は特殊警官の仲間からの電話に出ている…

妹尾がホテルの浴室からバスローブ姿で出て来ると…紡車紫織は、その電話の相手に向かって…『それじゃ…(後で…)』言って電話を切った。

妹尾錠治:『何か、あったのか?』
感の良さは…聞いた相手が 紡車紫織だからなのか…

紡車紫織:『いゃぁ、何もないわぁ…』
そう言いながら、少し落着きを失ったかの様に…
それほど広くは無いホテルの部屋の中を動きまわっていた 紡車紫織が…
妹尾錠治に睨まれると…
妹尾錠治から目線を反(そ)らし、逃げ場を無くした小動物の様に ホテルの窓から外を見つめながら呟いた…

紡車紫織:『久保伸治が死んだ…、』

赤井義晃を尾行し 久保伸治の居場所を突き止めた紡車紫織の仲間の特殊警官の一人が拳銃で射殺したのであった。

久保伸治の遺体は、那覇市民病院に有ると紡車紫織から聞かされた妹尾錠治が…

妹尾錠治:『なるほど…そう言う事だったのか…、まったく、何処(どこ)までも闇が深く…(そして)暗いなぁ!』

妹尾錠治は…特殊警官が逃げる久保伸治を背中から(拳銃で)射殺したのだと思っている様な顔つきで紡車紫織の後ろ姿を凝視していると…

紡車紫織が…

紡車紫織:『妹尾さん、もう終わりよ!』

紡車紫織:『久保伸治は死んだ、貴方が沖縄で会って…話を聞きたかった相手は…もう、居ないのよ!』

妹尾錠治:『いや、君がいるじゃぁないかぁ、』

紡車紫織の顔に緊張感が走る…
紡車紫織:『そうよねぇ、』

紡車紫織の「そうよねぇ、」と言った、その言葉に対しては…
(直ぐに) 妹尾錠治の胸に突き刺さる思いがあったからだ…

そもそも、三輪龍二が 転落死したマンションの屋上には…(紡車紫織と久保伸治の)二人がいて…

そして、
その(三輪龍二が)転落する直前には…

マンションの屋上には…
(既に)紡車紫織も認めている…
二人(紡車紫織と三輪龍二)より先に到着して、潜潜んでいた(待ち構えていた)と思われる(この部分は 妹尾錠治の推測だが…) 久保伸治と…

紡車紫織が 久保伸治の手引き(協力)で 三輪龍二の部屋から盗み出した…「品々」
つまり、警察の捜査の域を超えた…
通常の「証拠品の押収」とは名ばかりの「押収シーン」を三輪龍二に見つかり…
慌てて そのマンションの避難用の外階段を屋上へと駆け上がる 紡車紫織を追い掛けて…
なんとか、盗まれた品(ブラック•スティックに関する資料等々)を取り返そうと(紡車紫織)を追い掛けて、屋上へと向かっている(誘導されている)三輪龍二との…
その二人(紡車紫織と三輪龍二)の当時のシーンを妹尾錠治が(自分の暮らすマンションの)ベランダから…
偶然、見ていた事で…
妹尾錠治が、この事件の当事者の一人として具体的に巻き込まれからである…

その場に満ちた、緊張感を壊したく成った紡車紫織が…

自分(紡車紫織)の 両手、両腕を真横に平(ひろ)げながら…
(ホテルの部屋の)ダブルベットに倒れる様に仰向けに横たわり…
そして (紡車紫織 が更に…)、
大きく…息(溜め息)をすると…

紡車紫織:『ねぇ、私の事…(今も)好き?』
紡車紫織が 自信 有りげに ホテルの部屋の天井(てんじょう)を そのまま 仰ぎながら…言った 。

妹尾錠治:『(紡車)紫織こそ、苦しくて…もう逃げだしたいんじゃぁ 無いのか…』

紡車紫織:『そうよ…もう、何もかも捨てて…いっそ誰も居ない無人島で 生きれるだけ 生き延びて 死にたいわよ!』

妹尾錠治の強(こわ)ばった顔が緩む…
妹尾錠治:『生きられるだけ生き延びる…って!』
妹尾錠治:『君らしい言葉(表現)だ(ねぇ…)』

紡車紫織:『だって、私の(考えている)無人島って楽園だもの…』
紡車紫織:『欲しい物は何だって揃うんだから…』
紡車紫織が…そう話すと 無邪気な顔で(妹尾錠治を)下から覗き込むように笑った…

妹尾錠治も上から(紡車紫織を)見つめて笑った…

もう、先程迄(さきほどまで)の緊張感が嘘の様に 二人の躰(からだ)は…少し柔らか目のホテルのベットに沈んでいった 。

…………………つづく…………………

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