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小説『窓』 no,49
比嘉(ひが)整形外科医院は中畑康夫の友人の比嘉雅仁(ひがまさひと)が医院長をしている病院でした。
中畑康夫とは中学生の時の同級生だと聞かされていたが…
見た目は…頭は禿(は)げ上がっていて、とても中畑康夫と同級生だとは信じられない老け顔だった。
妹尾錠治:『この度は、紡車紫織の緊急処置を引き受けて下さり有り難う御座いました…』
妹尾錠治は比嘉雅仁に会うなり彼に向かって深々と御辞儀をしている…
比嘉雅仁(比嘉医院長):『いや、何か大変な事情が有ることは…既に中畑(康夫)から聞かされていたんですけど…流石に銃弾を受けた治療だとは思いもして無(な)くて…正直(しょうじき) ビックリしましたよ!』
中畑康夫:『容態は 如何(どう)ですか… (紡車(紫織)さんの…)』
比嘉雅仁:『球(銃弾)を摘出(取り出)して、化膿(かのう)しない程度の治療はしましたが…』
比嘉院長の言動に不安を感じた妹尾錠治が…
妹尾錠治:『何か…(他に)ありましたか…』
比嘉雅仁:『……、いゃねぇ、彼女の躰(からだ)全体に 打撲痕(だぼくこん)が多くて…その上での銃弾を受けて いたのでねぇ…、』
紡車紫織の事を心配している様子の妹尾錠治と中畑康夫が…そして、中畑康夫が…口火を切る!
中畑康夫:『彼女(紡車紫織)の現状は…どうなんですか…ハッキリ教えて下さい!』
中畑康夫が比嘉院長に詰め寄る…
比嘉院長:『紡車(紫織)さんは…今は薬で眠っていますが…、恐らく目覚めると…躰の打撲を受けた箇所からの痛みで、動く事が出来なくて大変でしょうねぇ…』
比嘉院長:『紡車(紫織)さんは、治療が終われば直ぐにでも移動したいと…私に強い意志を見せていましたが…骨折する手前まで躰全体に暴行を受けた症状と、その事での恐怖心から来る精神的な症状を…、私(比嘉院長)は心配していますよ!』
比嘉院長:『何が、彼女に起きたかは…私に話してくれてませんでしたが…、出来るだけ早く彼女が安心して治療と完治に向けての生活に専念出来る場所に移る必要があると思いますよ…』
比嘉院長:『残念ながら、ここは入院施設を持たない小さな町(街)医者病院ですから…なるべくならば精神科もある様な総合病院が良いと思います』
比嘉院長:『まぁ、彼女が目覚めたら…(皆さんで)良く話し合ってみてください…今日は休診日だから良いけども…明日から人(患者)の出入りも多いですから…、(紡車紫織は)いろいろ気にされる事も多くなると思います(ので…)』
妹尾錠治:『はい!良く分かりました、院長先生には 本当に大変な御無理をして頂いて本当に感謝しおります…
紡車紫織が目覚めたら三人(中畑康夫を含む三人)で話し合ってみます…』
そう言うと、妹尾錠治は再び比嘉雅仁に向かって頭を下げる…
中畑康夫:『比嘉!本当に助かったよ!有り難う!』
中畑康夫も妹尾錠治に続いて深々と頭を下げるた…
比嘉院長:『まぁ、まぁ…(=そんなに頭を下げなくて良いですよ!)先ずは 紡車紫織さんの休んで貰っている場所(ところ)に 案内しますから…(後ろから)ついてきて下さい!』
と、比嘉院長が二人に話と…二人の前を歩き出した…
その比嘉院長の堂々とした背中に誘導される様に 妹尾錠治と中畑康夫が比嘉整形外科医院の建屋の奥に進むと、そこから(一旦は)外に出て 別の建屋の中へと…
三人(比嘉雅仁、中畑康夫、妹尾錠治の三人)の姿は消えて行ったのでした。
……この小説の真相と状況が明らかにされた、小説『窓』no,46(有料購読分を含む)を読み返してみる⤵️…………
『途方も無い研究成果」と、「途方も無いお金」の どちらかが貴方(あなた)の手元にあるとしたなら…
貴方(あなた)は そのどちらを選択しますか?』と…精神科医(堺署から雇われた)の女性医師に問われ…
倉崎聖士:『(途方も無い)研究成果だよ!』
長い間、沈黙を守り通して来た倉崎聖士が…ついに口を開いた!
その事で 堺署の中では…警官達が大騒ぎしていた。
そして…
倉崎聖士は、この一言で「罪」を免(まぬが)れ堺警察署での勾留期間に終止符を打った(終えた)。
それは、紡車紫織と妹尾錠治が沖縄で密かに比嘉整形外科医院の別棟(べつむね)で匿(かくま)われている時だった。
それは 又、ブラック スティック Type2が (既に)亡くなった久保伸治によって日本全国に解き放たれた「非接触ゴト具」によるゴト集団が一斉(いっせい)に全国のパチンコ店でゴト行為を始め出した時期でもあった。
そのゴト行為はパチンコのガラス扉でもある「窓」の外から一瞬にして「当たり=確変」に突入させてしまう…、パチンコ店舗の運営側からしたら恐怖を通り越した「死」を意味(想像)する瞬間からの地獄の始まりを意味していた…
全国のゴト集団のリーダー達は、約2000万で「ブラック スティック Type2」を10個ワンセットで手に入れ(=この入手方法は…小説『窓』no,46 の有料購読の部分で明らかにしているので…そちらをご覧下さい!)わずか数日間で元金を回収を終え 更に稼ぎ廻っており…その被害(額)を報告するパチンコ店舗の運営会社から「なんとか対処して欲しいとの…」事で、各地の警察署には、パニック状態のパチンコ店舗(の運営会社)の経営者からの問い合わせで、全国の警察署の担当部署は (既に)パニック状態に陥(おちい)っていた…
当然、堺警察署に勾留されている倉崎聖士の保釈と同時に…彼(倉崎聖士)を中心に署内(=堺警察署内)に「ブラック·スティック Type2」によるゴト対策チームが発足すると同時に大阪府警本部内にも全国のゴト集団撲滅による「(第二回 )全国ゴト対策本部」が改めて設置されたのでした。
倉崎聖士は 堺警察署の監視の中で 佐倉井 勲と会っていた…
その監視役の二人とは…、
三輪龍二が転落死した後に(妹尾錠治の暮らす)マンションに来て 妹尾錠治を強引に堺署に連行して彼(妹尾錠治)を犯人扱いしていた連中で…
天野天眞(あまのてんしん)若い方の刑事
山川啓治( やまかわ けいじ )年配の刑事
だった。
倉崎聖士:『佐倉井(勲)!俺の社長室には、お前以外に誰も出入りは させて(い)ないなぁ!?』
佐倉井 勲:『はい、社長に言われた様にマスターキーで 鍵を掛けて…自分(=佐倉井 本人 )も鍵を持っていないと…(会社の皆に言って誤魔化していましたから…)』
佐倉井勲:『大丈夫です、安心して下さい!』
倉崎聖士:『警察の連中は…?』
佐倉井 勲:『はい、来て(社長室)入っていました』
佐倉井 勲:『多分、社長の合い鍵の方を使って…会社の休みの日に来るだろと…(社長が逮捕される前に 社長から聞いていたので…)、警察が強制捜査時に社長室にも入って物色していきましたが…結局、彼等(堺署の捜査官達)が探していた物は 無かった様子で 部屋(社長室)の鍵を掛け直(なお)さずに…(6階の)事務所の出入り口の鍵だけを閉めて帰って行きました』
倉崎聖士:『当然、お前は…その後(直後)に事務所行って、部屋(社長室)の鍵を閉めて(掛けて)くれてたんだょなぁ!』
佐倉井勲:『勿論(もちろん)です!』
佐倉井勲:『誰も…誰にも…(気付かれていません!)』
と (= 気付かれていません!)言いかけた時、佐倉井は…妹尾錠治のあの日の事を思い出していた…
倉崎聖士:『なんだ!その顔は…』
倉崎聖士:『もしかして、誰かに気付かれたのか?』
佐倉井勲:『いや、誰にも(社長室のからくり=仕掛)気付かれて無いと思うけど…』
倉崎聖士:『けど…って何だよ!その言い方…めちゃめちゃ気になるねぇ!』
佐倉井勲:『もちろん、その時の警察官 以外には誰も(社長室)入っていませんが…、
だだ、妹尾(錠治)さんが…
モアーズパラーの畑野店長からの呼び出しの件(以前=既に倉崎聖士に堺署に、佐倉井勲が倉崎聖士に面会しに訪れた時に報告済みの話)で…、
(妹尾錠治さんが)実験室(研究室)に暫くは 引きこもる日が続いていた時に…(会社の事務所を含む設備が入っているビル=)建物の周りを…一度、ぐるぐる周りながら目を凝らす様(何か不思議そう)に調べていたので…、その事を思い出しました』
倉崎聖士:『そうか…!流石(さすが)だなぁ…(錠治=ジョージ)、恐(おそ)らく何か部屋(社長室)のからくり に ついて(妹尾錠治は)気付いたんだろうなぁ…』
佐倉井 勲:『でも、それは…その時だけの事で…』
佐倉井 勲 が 少し焦った様子で倉崎聖士に話と…
倉崎聖士:『(佐倉井)良いんだ!佐倉井、気にするなぁ!』
倉崎聖士:『どのみち、錠治(ジョージ)には…早かれ遅かれ、俺の計画(魂胆)は「分かる(ばれる)」と覚悟して(妹尾錠治に)大阪に来て貰(もら)った事なんだから…』
佐倉井 勲:『社長(倉崎聖士)が良いなら、(こちらも)良いんですが…』
佐倉井勲:『ちょうど、今、妹尾(錠治)さんは…赤井さんと久保伸二と接触する目的で沖縄に行っているので…ちょっとだけ気になっているんですょ!』
倉崎聖士:『なに!?、何で、それを早く(俺に)言わないんだ!』
いきなり、久しぶり自分(佐倉井 勲)と会って話が出来て嬉しい様子で…、自分(佐倉井)との会話を楽しんでいるように思っていた(佐倉井 勲は…)、急に倉崎聖士の豹変(ひょうへん)した様に驚きを隠せずに…
佐倉井 勲:『すみません!』と、反射的に口走っていた…
倉崎聖士:『何で、錠治(ジョージ=妹尾錠治)が沖縄に…?』
佐倉井勲:『恐(おそ)らく、赤井さんが(久保)伸二から呼び出され沖縄に行ったのを…紡車さんから聞いたんだと思います!』
倉崎聖士:『佐倉井、お前は…その事(久保伸二が赤井を沖縄に呼び出した事)を誰から聞いたんだ!?』
佐倉井 勲:『(島田)健治です…』
倉崎聖士:『島田(健治)か…』
佐倉井 勲:『はい、彼(島田健治)からは…(久保)伸二が(赤井さんが社長をしている会社から)居なくなって…、それ以来「ちょくちょく」連絡を(お互いに)取っていましたから…』
倉崎聖士:『そっか、ところで妹尾錠治とは、お前(佐倉井勲)は毎日一度は連絡を取り合っているのか…!?』
佐倉井勲:『それが…、二日前に(妹尾錠治さんから)「沖縄に来ている!」って連絡が有ってから…全く携帯に連絡しても繋がらなくなっているんですよ!』
倉崎聖士:『それは…繫がらないのは電波の問題って事かぁ?』
佐倉井勲:『そうじゃ無くて…呼び出し音がしてるですが…繫がらないんですよ!』
佐倉井勲:『まるで、無視されている感じで…妹尾(錠治)さんらしく無いので…何か、有ったのかと…心配してるんですが…!?』
倉崎聖士:『そうだなぁ、それは…ちょっと (ジョージの性格からしては…)異常(おかしいなぁ=不思議)だなぁ…』
倉崎聖士は妹尾錠治の事(=心配症で確認の電話を良くしてくる性格の男だと…の事)を良く知っているので、佐倉井 勲の妹尾錠治について話した、その内容に…彼(倉崎聖士)自身も佐倉井と同様に「何か予期しない事に出くわしたのかも…」と心配する表情を佐倉井勲に見せながら、呟(つぶや)いた様な「心配する想い」を声に出したのでした。
…………………つづく…………………
小説『窓』no,50(作成中)
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