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I魚人(あいうぉんちゅ)【毎週ショートショートnote】

彼女にプロポーズする。
そう決意して、パールの指輪も購入した。
でも、心配なことがある。

魚人社会では、長らく魚人種差別が存在していた。
僕は赤身魚人、彼女は白身魚人。
姿形は、深海魚人に比べればそこまで違いはないが、別の魚人種には違いない。

魚人としていち早く文化を成熟させてきた白身魚人こそ海の潮流の中心である、という考え方はもう古くなりつつある。
最近では、昔話に描かれる魚人の姫は白身魚人ばかりだからと、赤身魚人がヒロインの映画が作られ、話題を呼んだ。
いくつか上の世代までは、身分(赤身と白身)の違う魚人同士の結婚は珍しかったという。ただ、今でも二人で泳いでいると、奇異の目で見られていると感じることもある。

とにかく、未だにナイーブな問題であることは疑いない。
はたして僕は、彼女にふさわしい存在なのだろうか。

「カツオくんったらもう、堅いなあ。別に、気にしないって!」

彼女はこともなげに言った。

「ほら、私ってサバサバしてるから」

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