未来断捨離【毎週ショートショートnote】

「ねえパパ、このゲーム、もう飽きちゃったよ」
「あの人気シリーズ三十作目の超大作がか？　……じゃあ、この３Ｄ立体投影技術を駆使した――」
「それもピンと来なかった」
「そうか？　なら、持っていても仕方ないな。思いきって処分するか」
「あと、このプライベートビーチも、もう飽きたよ」
「そうか。じゃあ明日は、アンドロイド執事の運転する空飛ぶ車でどこか好きなところへ――」
「目ぼしいところは大体行ったよ」
「うーん、そうか。そろそろ、潮時かもなあ。……よし、断捨離だ。もう、この星の娯楽や技術はあらかた楽しんだことだし、この地球はきっぱり手放すことにしよう」

――そんな宇宙的大富豪の親子の会話を見ていた者がいた。

「ずっと見守ってきたが……ずいぶん、傲慢な考えを持つ者が幅を利かせるようになった。嘆かわしいものだな……よし、断捨離だ。ずっと保留にしていたが、これ以上生命体の進化は見込めなさそうだし、この宇宙はきっぱり手放すことにしよう」