メガネ朝帰り【毎週ショートショートnote】
「ねえ、どうして朝帰りなんてしたの」
「うるせえな」
「相手は誰なの? 黒縁メガネ?」
「はん、あんなお堅そうなやつ、興味ないね」
「じゃあ、VRゴーグル?」
「……」
「目が泳いでる! そうなのね! あなたほんと若い子に弱いのね。でも騙されないでよ、あの子の語る話はだいたい幻だからね?」
「うるせえっての」
「そんな言い方……いつからそんなに濁った目になっちゃったの……?」
「サングラスにしただけだろ」
「『俺が好きなのは、水中メガネ、お前だけだよ』って言ってくれたじゃない……」
「うるせえな。いつもああだこうだと、ぎゅうぎゅうに締め付けやがって。お前、束縛強いんだよ!」
「でも、朝帰りなんて、今回はさすがに度が過ぎてるでしょ」
「度が過ぎてる、だって? 俺は伊達メガネだぜ。度なんか、度外視さ」
「なによ、カッコつけちゃって。伊達メガネだってサングラスにしてみたって、そもそもあなた、鼻メガネじゃん。さっさと元の三枚目キャラに戻りなよ」
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