みんな我が子――All My Sons
シンプルな舞台装置。三幕ものだが一度も舞台転換することなく、ケラー家の中庭だけで息の詰まるような台詞劇が展開する。冒頭から、濃密な時間が流れていく。一つひとつの台詞が、確かな意味を帯び、劇場全体に染み渡るように響いていく。舞台で起きていることを受け止め、この家族――父ジョー(堤真一)、母ケイト(伊藤蘭)、長男クリス(森田剛)、そして戦争から未だ帰らない次男ラリー――に何が起きたのか何が起きているのかを考えようと、舞台から一瞬たりとも目を逸らすまい、一言も聞き漏らすまい