きっかけ と 言い訳 フタホシヤマトトトテントオの場合では
アラームで目が覚める
自分がセットしたというのに
文句を言う
言うといっても
言葉にはしない
むなしくなるから
すべてを救ってみせる
そう口にする人がいて
すべては救えないけど
わり切っている人がいて
すべては救えないから
すべてから手を引く人がいて
あの街
わたしには
合わなかった
行ったことのない街
建物がやけに高くって
空が押しつぶされそうな街
世界で起きている
戦争や紛争には
関心を示し
声高に訴えるのに
身近で起きている
地域の問題には
見向きもしない人たち
違和感を覚える
あの日
迷子になってしまった街に
いま わたしは住んでいる
すべての物事に
関心を示すことは
できない
それは わかる
夏は あせもが
冬は しもやけが
わたしを
苦しめる
足をストーブに
近づけすぎて
靴下が
こげ臭い香りを放つ
その香りに
うっすら興奮する
ねこのように
その人は
どういった理由から
あの戦争に
あの紛争に
難民たちに
関心を示すことに
なったのだろう
生きるって
たいへんだ
けど
死ぬのだって
たいへんだ
しかたないから
生きるか
死んじゃうぎりぎりまで
生きていくんだな
たいへんだ
ひとまず
わたしは
生きるのに
忙しいみたい
その人と
あの戦争
あの紛争
難民たち
を結んだものとは
いったい
なんだったのだろう
そういうのは
読んでも意味がない
少なくとも
わたしの場合は
社会問題について
考える
訴える
偉いことしてるなあ
そんな自分に酔いしれる
以前 わたしは
そうだった
考えない人たちを
馬鹿にした目で
見ていた
たいそうな人物に
なった気がしていた
そんな自分が
恥ずかしくなって
やめたんだった
読むだろうと
たくさん買ったとたん
気持ちがきれいに
なくなってしまった
探偵は
事件を
解決できずにいる
男の子は
ペンギンを
見つけられないでいる
女の子たちは
なくしてしまった何かを
さがしている最中のままで
狼男は
死んでしまった