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世界の博物館の占いにまつわる展示物③

はじめに

占いや予言に関連する展示物は、世界中の博物館において訪れる人々を惹きつけています。古代から多くの文化が未来を知り、運命を導く手段として占いを用いてきました。今回は、さらなる神秘に満ちた占いの展示物を新たに3つ紹介し、その背後にある歴史と信仰を紐解いていきます。

1. 国立人類学博物館(メキシコ・メキシコシティ) - アステカの暦石(ピエドラ・デル・ソル)

メキシコシティにある国立人類学博物館には、アステカの「暦石」として知られるピエドラ・デル・ソルが展示されています。この巨大な石は、アステカの太陽暦を刻んだもので、石にはアステカ神話に基づく象徴が多く彫り込まれています。暦石は単なるカレンダーとしてだけでなく、神々の意志を反映し、人々が自然と調和しながら生活を送るための道しるべとされました。アステカ人は暦に従い、祭事や儀式を行うことで神々の加護を受け、平和と繁栄を祈願していました。国立人類学博物館の展示では、この暦石の意味やその神聖な役割が詳しく説明されています。

出典:国立人類学博物館公式サイト(https://www.mna.inah.gob.mx)

2. 大英博物館(イギリス・ロンドン) - 甲骨文字の刻まれた亀甲

ロンドンの大英博物館には、古代中国で使用されていた「甲骨文字」が刻まれた亀甲が収蔵されています。甲骨文字は、中国の殷(いん)王朝時代に、亀甲や牛骨を使って占いを行うために用いられたものです。占い師たちは亀甲を焼き、そのひび割れを観察しながら神託を読み取っていました。甲骨文字は中国最古の文字のひとつとされ、占いや予言を記録する手段として発展しました。大英博物館では、この貴重な甲骨文字の展示を通じて、古代中国の宗教と社会がどのように結びついていたかを知ることができます。

出典:大英博物館公式サイト(https://www.britishmuseum.org)

3. スミソニアン国立自然史博物館(アメリカ・ワシントンD.C.) - ネイティブアメリカンのビジョンクエストの道具

ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立自然史博物館には、ネイティブアメリカンが未来の指針を求めて行う「ビジョンクエスト」に用いられる道具が展示されています。ビジョンクエストは、若者が一人で山や森に篭り、神聖な精霊からの啓示を受け取る儀式で、未来の方向性や人生の目的を見つけるための重要な儀式でした。博物館には、儀式で使われた動物の皮や羽根を飾った装飾品、神聖な煙を用いる際の器具などが収蔵されています。これらの道具は、自然と精霊のつながりを大切にするネイティブアメリカンの信仰に基づいており、彼らの文化において占いや導きを得るための大切な手段でした。

出典:スミソニアン国立自然史博物館公式サイト(https://naturalhistory.si.edu)

古代からの知恵や信仰を反映したこれらの展示物は、占いが人々の生活や精神に深く根差していたことを示しています。未来を予見し、運命を導こうとした彼らの想いが、これらの遺物から伝わってくるようです。次回もさらに興味深い展示物を通じて占いの歴史をたどっていきましょう。

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