今朝の真実
「今はそんなことちっとも思ってないけれど、そのうちに『死にたい』とか考えるようになるかもしれない」
そんな思いが頭に浮かんだ日、別の用件でたまたま来ていた派遣会社の担当者をつかまえて「私もうだめかもしれないです」と伝えたのだった。
その担当者は後日出直して話を聞いてくれ、私は派遣契約を終了することにした。
もうずっとしんどくてたまらなかった。
でもこの見たこともない、わけのわからない政治色の強い世界で、一人奮闘して働くことが面白かった。
耳に入る未知の世界の情報にも興味を引かれた。
しんどさと面白さの狭間で毎日揺れていた。
脳の中が興奮状態で、何処かが狂っていたのかもしれない。
辞めるのか続けるのか、毎日毎秒揺れていた。
そんな折私は体を壊した。
もっと早く、あの11月の契約更新の時点で辞めてれば、今こんなに苦しまずに済んだんだよなあ。口の中に溢れてくる胃酸の不快感に苦しみながら考える。
医療従事者の慰労金が12月中には支給されると聞いて、その前に辞めたらもらえないんじゃないかと思って留まったところあるんだよなあ。
「いま辞めてももらえますか」って尋ねたら、お金に汚い人だと思われそうで聞けなかったんだよなあ。
お金のことを考えたり尋ねたりすることは別に汚いことでもなんでもなくて、そういう人のことを「汚い」と思ってたのは、誰でもなく私だったんだ。
私がもっと早く仕事を辞めることを決断していたら、病気にならなかったんだろうか。
そもそも職場が原因だったんだろうか。
今となっては「そうだそうだその通りだー」と思うけれど、全て確証はない。
もしも両親が離婚した時、母じゃなくて父に引き取られていたら、
もしも大手商社を選ばずに小さな洋菓子屋さんに就職していたら、
もしも彼と別れずに不倫を続けていたら、
私は今より幸せだったんだろうか、それとも不幸だったんだろうか。
そんなことをぐるぐると考えていたら、
過去とかトラウマとか、今の私には実はなんにも関係ないんじゃないかと思えてくる。
あの出来事のせいで私はこうなった。
それはそうなんだろう。
でもそれで不幸になったかどうかは本当のところわからない。
もうひとつの道に行ったことがない以上、その結末は知りようがない。
その出来事がなかったら、もっとひどいことになっていたということもあり得る。
それならば、今これから私が何をしようとも何を言おうとも、それが最善なのかよろしくないことなのか、そんなことは誰にもわからないし、なんならどうでもよいことではないのか。
だって考えたってその答えはどこにもない。
the answer is blowin'in the wind って、そゆこと?
私が今朝たどりついた真実。
優先順位は、健康とお金。
愛とか友達とか家族とか趣味とか、大切にすべきことは沢山あるなか、甚だ乱暴な発言だとは思う。
でもこの二つを邪心なく純粋に追及することで、他の欲しいもの全て芋づる式について来るんじゃないだろうか。
まあこの発言が最善なのか最悪なのかなんてどうでもいいことだし、明日になればまた考えは変わるかもしれないのだ。
答えは風の中、誰にも想像こそすれ掴むことなんてできない。
そして決して見ることのないもう一つの道の行方をたまーに想像することも、また乙だったりもする。
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