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小学生にさしパチを教えたら、学校で禁止になった。

このnoteは、1年前に書いた記事のリライトです。以前よりも、読みやすく工夫しました。読んだことがある方も、ぜひ最後までご覧ください。

何年か前の話です。
僕が働いていた塾に、小学1年生の男の子がいました。(ここでは、Aくんとします。)授業が終わると、自習をして帰るというかなり優秀な男の子で、必ず宿題を終わらせてから帰ります。

毎回、お父さんが迎えに来ていました。
でも、Aくんは、宿題をいつも早く終わらすので、退屈そうにしていました。

そして、毎回、僕に話しかけてきます。
「せんせい。このまえねぇ、、、」
話始めるとなかなか終わりません。こんなことが毎週つづいていました。

ある日のこと。
「せんせい。これ知ってる?」

いつものようにA君と話していると、とつぜん筆箱から消しゴムを2つ取り出しました。

「何するの?」
「消しゴムのあそび」

彼がやろうとしていたのは、消しパチでした。
消しゴムを使って遊ぶゲームで、相手の消しゴムを弾いて、場外に追いやるあの遊びです。地域によっては、消しピンとか消しゴム落とし等と言われているアレです。

「それ知ってる。先生もやってたよ」
「ほんとう? 一緒にやろう」

少しのあいだ、僕は童心に帰った気持ちで、A君とけしパチを楽しみました。
僕は、こども相手に、本気になりました。というのも、Aくんはかなり強かったのです。

彼は毎日休み時間になると、いつも友達とやっていたそうです。
彼の筆箱を見せてもらうと、そこには消しゴムがたくさん詰め込まれていました。どうやら、消しゴムには、弱い消しゴムと強い消しゴムというのがあるそうです。

次の週になっても、A君は消しゴムを持ってやってきました。

「せんせい。やろう」
「分かった。1回だけだよ」

結果は、Aくんの圧勝。
すると、僕は、あることを思い出しました。
さしパチです。

僕は小学生のとき、消しパチに飽きてしまい、さしパチに手を出しました。
たしかクラスでもかなり流行っていたと思います。

一応、補足しておきましょう。
さしパちというのは、ものさしを使って戦う遊びです。定規戦争や定規バトルとも呼ばれています。地域によっては、さしペンとも言うそうです。特に男の子は、子どもの頃、一度はやったことがあるのではないでしょうか。

やり方は簡単です。
机の上で、順番にペンを使って自分の定規を動かします。相手の定規を場外に追い出せば勝ちです。要するに、相手の定規を机の上から落とせばいいのです。

僕は、彼にさしパチについて尋ねてみました。

「さしパチって知ってる?」
「なにそれ?」
「消しパチより面白い遊びだよ」
「やりたい」

僕は、さしパチを教えてあげました。
新しい遊びを覚えたAくんは、目を輝かせていました。そして、さしパチは僕の圧勝でさ。彼はかなり悔しそうにしています。

翌週。
また、Aくんがやってきました。ですが、少し残念そうな顔をしています。

「何かあったの?」
「さしパチがきんしになった。」

話を聞いてみると、Aくんはクラスのみんなにさしパチを教えて、クラスで人気者になったそうでした。
でも、それが担任の先生に見つかり、危ないという理由でクラスで問題になったようでした。

たしかに、考えてみればそうです。
さしをペンで押す際に、顔を近づけすぎると、目に当たる危険性があります。

そういえば、僕の学校でもそうでした。
小学生のときに、さしパチが学校で問題になりました。女子たちが男子がやっている遊びが危ないと、先生に告げ口をしたのです。

結局、クラスでの話し合いの上、禁止になりました。
昔も今も変わらないです。本当は、教えてはいけなかった遊びなのかもしれません。

でも、学校という制限のある中で、子供たちが楽しい遊びを見つけた経験は、大人になっても忘れないし、大切な思い出になるのでしょう。

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雨宮 大和|エッセイ・短編小説
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