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彼の中の「闇」に触れた夜

この人は「何かがおかしい」。ユウヤに対してそんな違和感を持ちながらも、私と彼の関係は続いていました。そしてしばらくたった後、初めてふたりで一晩を過ごすことになります。そこでの彼の行動は、あまりに理解不能なものでした…。

モラハラ発言、ベッドでタバコ。
虚しさに打ちひしがれた私

数回目のデートのあと、私は初めてユウヤと一晩を共にすることになりました。訪れたのは、上野のホテル。まぁ当然のようにそうなったのですが、それは決して楽しい体験ではありませんでした。

その最中、彼が発する言葉が、とにかく私を傷つけるようなものばかりだったのです。

不思議なことに、そのときに彼が放った言葉が思い出せません。そのくらい傷つく言葉だったことだけは覚えています。

そして、コトが終わったあと。ユウヤはすぐにシャワーに向かい、戻るやいなやタバコに火をつけ、テレビを見始めました。まるで私の存在など、もうそこにいないかのように……。

私はそんな彼の態度に呆然とし、ただベッドの中で動けずにいました。

ああ、こんな若い子と遊んでやろうなんて思った私がバカだった。遊びだったとしても、この態度はあまりにひどすぎる。

虚しい、悲しい、恥ずかしい。もう消えてしまいたい……。

泣きたい気持ちでしたが、泣くのはかろうじて我慢しました。ここで泣いたら、自分があまりにみじめすぎるからです。

私は何とか立ち上がり、黙って服を着始めました。
とにかく今すぐこの場を立ち去りたい。
もう、その一心です。

すると、そんな私を見たユウヤが
驚いた様子で体を起こし、こう言ったのです。

「え? どうして服着てるの!? 帰るの? 俺、何かした?」

理解不能な彼の言動と
深まるナゾ……

俺、何かした…????

いま、俺、何かした?って言った!!????

え、ちょっと待って。あれほどモラハラな言動を繰り返しておいて、
この人は一体何を言ってるんだろう。私はもう、軽くパニックです。

呆然と立ち尽くしてると、ユウヤはさらにこう続けました。

「何で?ちゃんと頭も撫でたし、腕枕もしたのに!?」

…….
…….

いや、もう本当に、何一つ理解できません。

「やっぱりこの人は、何かおかしい!」

そう思った私は、無言で財布からお金を出し、テーブルに置きました。ホテル代くらいは置いて、帰ろうと思ったのです。

……ここで、驚くようなことが起きました。

突然ユウヤが床に座り込み、泣きそうな声でこう言ったのです。

「お願いだから帰らないで!」

見ると、まるで過呼吸のような状態です。

「ちょっと待って……、息ができない……」

……
……
……

私は目の前で何が起きていることが、
全く理解できませんでした。

「帰らないで」と繰り返す彼がまるで、
お母さんに置いて行かれた、小さな子どものように見えます。

モラハラ男から一転、小さな子どもに変貌したユウヤ。

私はただ立ち尽くしたまま

「……大丈夫。帰らないよ」。

と言うことしかできませんでした。










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