一ファンの戯言〜ラミレス監督の退任に寄せて
10月24日、ベイスターズはラミレス監督の今シーズン限りでの退任を発表した。
プロフィール欄にも書いてあるように、私がベイスターズを応援し始めたのは2018年からだ。私の知るベイスターズは2018年からの3シーズンであり、ラミレス監督の下、チームが最も輝いていたと言われる2016、2017年を私は知らない。
私が見てきた3年間は、ラミレス監督もチームも苦しんでいた。その苦しみの要因の一つに私が応援している選手の移籍もあったであろうことを考えると、この過ぎ行く「3年」という時間に私は何を思えばいいのか、言葉が見つからない。
ただ、ラミレス監督には少し、思い入れがある。ベイスターズを応援し始める前から、彼の言葉に支えられていた日々があった。その思いだけは書けるので、ここに記したい。
※ ※ ※
ラミレス監督の言葉の中で、最も有名なフレーズはこれだろう。
Tomorrow is another day.
ファンの間では「トゥモアナ」としてお馴染みだ。
直訳すれば「明日は別の日」。「明日は明日の風が吹く」と訳されることもある。
辛い出来事が起きても、明日は必ずやってくる。
励ましの意味が込められた諺だが、試合後のインタビューで繰り返されたラミレス監督のそれは、敗戦時には気持ちの切り替えを説き、勝利後には「勝って兜の緒を締めよ」と自惚れと驕りを戒める言葉でもあった。
この「トゥモアナ」をはじめとして、ラミレス監督の言葉は多くのファンの心を掴んできた。
そんな数あるラミレス語録の中で、私が最も好きなのはこの言葉だ。
選手には常に、ラインアップを変えるのは選手自身だと言っている。一度レギュラーをつかんだら放すな、と。放してしまったらそれは選手の責任だよ、と
(2017年5月21日 デイリースポーツより)
この言葉に出会ったのは2017年。
当時、私が応援する大和選手はタイガースで、チーム状況にあわせて複数のポジションを守る控え選手だった。
チームは前年に金本知憲氏を監督に招聘し、「超変革」というスローガンのもと「若手育成」を掲げ、若い選手が積極的に起用されていた。
そうした中、若手のようにロマンがあるわけでもなく、ベテランのように実績や信頼があるわけでもない中堅選手たちに対して、厳しい視線が向けられるようになっていた。大和選手も、その「中堅」組の一人だった。
金本監督の選手起用法に対しては、(声は大きくなかったと記憶しているが)批判もあった。私自身、大和選手の起用法に不満はなかったと言えば嘘になる。
ただ、こういう状況を招いたのは、一度掴んだレギュラーの座を手放してしまったからではないのかと思っていた。2015年にしっかり成績を残していれば、違う未来があったのではないかと。
だから、ラミレス監督の言葉に出会った時、私は背中を押されたような気持ちになったのだ。
好きな選手を応援するのに、他の誰かへの不満を募らせるばかりの日々を送りたくはなかった。
あの言葉は、私の揺れる心を「ただ応援する」という思い一つにしてくれた。
そしてその年の秋、大和選手はFA権を行使する。
ベイスターズが獲得に名乗りをあげたと報道で知った際は嬉しかったし、移籍するならベイスターズに行って欲しいと思った。そう思った理由の一つにはもちろん、ラミレス監督の存在があった。
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私には、大和選手を応援するうえで心の支えにしている言葉がいくつかある。
大和選手を見続けてきたファンの言葉だ。
移籍前も移籍してからも、それらファンの言葉と、前述のラミレス監督の言葉を胸に、応援してきた。
それはこれから先も変わらないだろう。
写真は桜。2014年12月30日撮影、舞鶴公園(福岡市)にて。
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