一ファンの戯言~16年目が過ぎて、それぞれの居場所
noteに野球の話を書き始めて2年が過ぎた。
今年は多忙だったのと少し思うこともあって、夏頃に投稿を止めた。
プロ野球の試合を見る回数も減り、関連ニュースも以前ほど追いかけなくなった。プロ野球から完全に離れたいという気持ちにもなった。いままで野球と過ごしてきた時間をすべて過去に、思い出にしてしまいたいと。
しかし、それはまだできないでいる。理由は他でもない、大和選手の存在だ。
引退するまでは――
その思いが、私とプロ野球を繋ぎ止めている。
☆ ☆ ☆
昨年に続き、コロナに揺れた今年のプロ野球。ペナントレースを制したのは、東京ヤクルトスワローズとオリックス・バファローズだった。
日本シリーズはリーグ優勝を果たした両チームの顔合わせとなった。白熱した戦いが繰り広げられていたが、試合の行方以上に私が気になっていたのは、ある2人の選手だった。
スワローズの川端慎吾選手と、バファローズのT-岡田選手だ。
2人は2005年の高校生ドラフトで指名されてプロ入り、今年16年目を迎える。
そう、大和選手と同世代(1987年生まれ、T-岡田選手は88年早生まれ)の、ドラフト同期だ。
同世代・同期の選手は他にも、ジャイアンツの山口俊投手、陽岱鋼選手、ドラゴンズの平田良介選手、イーグルスの銀次選手、炭谷銀仁朗選手、マリーンズの田中靖洋投手がいる。*1
私は大和選手のファンで、私のプロ野球ファン歴の大部分は彼を見ていた時間と言っていい。他の選手のことはそれほど詳しくは知らない。
しかし、プロ野球の世界には「記録」というものがある。記録から、彼らの野球人生に思いを巡らせることはできる。
出場試合数、野手なら打席数、安打数、打率、投手なら投球回数、勝利数、防御率……等々。
シーズン成績から球史に刻まれる節目の記録まで、プロ野球には様々な数字が溢れている。
それらは、選手たちがグラウンドで戦ってきた何よりの証だ。
彼らが積み重ねてきた数字を時系列に並べるだけでも、それぞれのプロ野球人生の輪郭は見えてくる。
歩んできた道も、いま置かれている立場も、背負うものも、当然ながら違う。その違いが「16年」という年月の長さと重みを伝える。
そんな16年目の彼らの中で、今年最後までプレーした2人。
2015年に主力としてチームをリーグ優勝に導いた川端選手は、ここ2年は怪我との闘いで、今年の開幕当初は引退も覚悟していたという。*2
その苦しみを乗り越え、今年は代打で活躍。日本シリーズでは優勝の決勝打を放った。
プロ入り16年目で初めてのリーグ優勝となったT-岡田選手。今年を含めて4年間規定打席から遠ざかっている。今年の打撃成績についても本人は物足りなさを感じているそうだ。*3
ただ、優勝争いの重要な局面で印象的な活躍を見せるなど、シーズン中も優勝後も、メディアでは度々クローズアップされていた。投打ともに若い選手の活躍が目立ったチームで、彼の「目に見えない貢献」は大きかったのを窺い知ることができる。
……それぞれの居場所で、歓喜の輪の中で、輝く彼らが私は羨ましかった。
大和選手が移籍してからの4年間、心はいつも曇り空だった。試合で活躍すればもちろん嬉しかったが、すっきりと晴れた秋を迎えた年は一度もない。
その理由はただ一つ、チームが優勝していないからだ。
私はチームより選手への思いが強いファンだが、野球がチームスポーツである以上、好きな選手の活躍だけで満足することはない。
☆ ☆ ☆
2021シーズン、最下位で終わったベイスターズだが、オフは多くのベイスターズファンを沸かせる動きが続いている。
中でも特筆すべきは、コーチ陣の刷新だろう。チームが最後に優勝した1998年の主力メンバーである石井琢朗氏、斎藤隆氏らが三浦監督のもとに集うこととなった。
再びチームに、大きな変化が訪れようとしている。
17年目となる来シーズン、そしてその先に。
大和選手はベイスターズでどのような居場所を築いていくのだろうか。
12月1日の契約更改後の会見では、記者との間でこんなやりとりがあったそうだ。
そうなってほしいと、心から思う。
4年前、移籍するならベイスターズへとの私の願いは叶った。*4
ベイスターズで愛され、横浜の地でグラブを置く――
この願いも叶うと信じたい、チームの「優勝」とともに。
*1 2021シーズン、NPBでプレーした選手。
2005年 新人選手選択会議(ドラフト会議) | NPB.jp 日本野球機構
*2 「開幕当初は引退も考えた」ヤクルト“代打の神様”川端慎吾 年俸2.5倍5000万円更改…腰痛から完全復活|中日スポーツ・東京中日スポーツ(2021年12月7日)
*3 オリックス・T-岡田 優勝「いいですね」も打撃「物足りない」1000万増で更改 |デイリースポーツ online(2021年12月10日)
*4 ベイスターズへと思った理由の一つはここに書いてます。
一ファンの戯言〜ラミレス監督の退任に寄せて
見出し写真は2021年12月撮影、福岡市にて。
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