中野 翠は、最強だ!
中野 翠が、すきだ。ん?! 中野 翠のコラムがすきだ。映画評も。
このブログを始めてから早く書こうと思いながら、生来の先送り癖から今になってしまった。という言訳は、週刊文春2020.12/10号のCinema Chartがきっかけだったからだ。『燃ゆる女の肖像(仏)』(監督・脚本:セリーヌ・シアマ)への中野 翠の評価が、星☆二つ(ちなみに芝山幹郎は満点の星☆五つ)、そのコメントがすごい。
…「緊密な対話劇として味わうべきなのだろうが、正直言って画家役の女優の顔(表情)がイヤ。海辺の風景はさすがに目を奪うが。」…
女優は、ノエミ・メルラン。それにしても、星☆二つの理由を「女優の顔がイヤ。」と切って捨てた中野 翠の肝っ玉!!
昔からシブ好みのジジイ好きで、落語で歌舞伎で大相撲のすきな中野 翠のエピソードに早稲田大学同学年の呉 智英(ご ちえい 又は くれ ともふさ)との同棲事件がある。『あのころ、早稲田で』を引く。
…私はある新聞(図書新聞だったかな?)に頼まれて、読書日記のようなものを書いた。その中で「呉智英とは四年間、部室で一緒だった」と書いたのが「部屋」と誤植されてしまったのだ。「部屋で一緒」なんて、まるで同棲していたかのようじゃないか。ビックリ。それを目ざとく見つけたライターが、「漫画アクション」(だったと思う)に、「戦後最大の誤植事件」と面白おかしく書いたのだ。…
1965年政経学部入学、柴田翔の『されどわれらが日々-』に影響されて社研(社会科学研究会)に入った中野 翠と、法学部で文研(文学研究会)に入った呉智英は、学生会館4階で部室は共有だった。四年間しょっちゅう顔を合わせ、議論もしていたのだろう。ハンドマイクのアジ演説やシュプレヒコールが聞こえてくる中、大声で滔滔と論ずる呉智英と、学級委員長のように議論を仕切ってゆく中野 翠の二十歳の姿を想像する。時が過ぎても、大声 呉智英と正義の喧嘩屋 中野 翠は、変わらない。
(2021.08.09)