追憶
嫌な記憶もきっと過ぎていくように、幸せな時間が遠くの方に行ってしまう感覚がとても寂しい。
目の前にある音楽のことしか考えなかったあの頃。
将来のことなんて、お金のことなんて気にしないで好きな音楽に沈んでいるだけで良かったあの頃。
ずっと続けばいいのにと思っていた時間が当たり前のように終わって、今、違う場所に立っている。
この場所から見えたものは沢山あって、その分自分の小ささと未熟さが痛かった。
ふと、自分に残っているものは何もなくて、今まで積み重ねてきたものすべてが無駄だったような気がしてしまう。真っ直ぐに向かい合ってきた気持ちも、努力も。全部。何一つ繋がっていないような気がして。
「そんなことはないよ」と声をかけてあげられるのは自分だけのはずなのに。
「…そうなんだよ」
「何も持っていないんだ」
事実とは、結果だ。自分が積み重ねてきたものだ。
すべて、無駄だったんだ。
「そうかな」
誰かの声が聞こえた。
「自分が積み重ねてきたものは、見えなくてもいいんじゃない?」
…どういうこと?
「君は沢山の人と出会ってきたじゃないか」
「君は自分がしあわせだった時間を悔いているのかい?」
いや、そんなことはない。
少なくとも、あの時は自分に誇りを持っていた。
素敵な人たちに出会えて本当に良かった。
自分が選んだことは何一つ、間違ってたと思っていない。
「それはよかった」
「君がしあわせだった時間があるように、君が誰かにしあわせをあげた時間もあるよ。」
そうだ。誰かの笑顔を見ることが嬉しかった。
せめてこの場所だけは、この時間だけは、皆が自分らしくいられるような。
そんな場所であってほしいと、思っていた。
本当は、自分のために思っていた。
それが自分の存在証明だった。
皆は、幸せだったのかな。
しあわせをあげることが、できてたのかな。
「みんな、与えあっているんだよ。分け合っているんだ。」
「今は目に見えないけれど、きっとこれからも作っていけるから。」
「君が見たものも、聞いたものも、感じたことも、全部君の中に残っているから」
だから、大丈夫。
行ってらっしゃい。
あとがき
ひっさしぶりにOrangestarさんの曲を聴いて、エモに襲われてしまった。
これは勢いでかいて、ほとんど自分の感情なんだけどね。
自分無能だ~って思うことが多すぎて。
来年から社会人とか不安すぎるけど大丈夫そ?っていう自分に向けて書きました。
特に伝えたいことはないんですが、とりあえず夏なので青春ください。
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