お伽話 【魔王と魔女①】
魔界の王は、自分1人ではどうにもできない寂しさを
抱えて生きていました。
この寂しさをどう払拭しようかと長年考えていました。
彼は、寂しさという感情を消化することを
魔術を使って実現する方法を発明しました。
魔術を使って、感じたくない感情を、
宇宙の遙かなたの渦の中に吸い込ませるのです。
すると、心がスッと軽くなるのです。
彼は、この方法を1人でも多くの国民に
浸透させたいと思いました。
これは、人を救う方法だと思いました。
1人でも多くの人が希望を持つことができると
思いました。
魔王だって、人に希望を感じて欲しいと思うのです。
そして、地道にこの方法を伝え続け世に浸透させました。
その魔術が有名になり国が大きくなったあるとき、
人間の国の王女が魔王に会いに来ました。
王女は献身的な愛を持つ女性で、
そのために様々な感情に傷ついていました。
王女は魔王の魔術によって悲しみから解き放たれ
今までの辛さは無駄ではなかったことを受け入れました。
王女はこの魔術に共感しました。
そして、この方法を学びたいと思いました。
王女は魔王からこのメソッドを学び
自分の国の民にもその魔術を使い始めました。
王女は、今まで自分を苦しめた献身的な愛情を
そのメソッドを広げるために使い、自国の民に喜ばれました。
苦しみの献身性に救われる結果となった女王は
ますますこのメソッドを愛しました。
また、苦しい感情から救ってくれた魔王に恋をしました。
魔王もまた、自分の魔術に心酔する女王に励まされました。
2人は協力して魔術をもっと広く世に知らしめました。
2人で作り上げた王国は強大なものとなりました。
魔王は人前に出ることを好みませんでした。
人間の国の女王は、人前に出ることが好きでした。
人前に立ち、多くの苦しむ民を救いました。
魔王は影となり、女王に指示を出しました。
女王は前に出て魔術を多くの人に伝えました。
魔王のメソッドが有名になると
その魔法を体験したいという人々が
遠方の国から続々とやってきました。
旅人やアーティストやヒーラーなどが
魔王の国を訪ねてきました。
そのほとんどが女性でした。
魔王は、彼女たちのエネルギーを利用して
この国をもっと強く有名にできると考えました。
そのためには、彼女たちが裏切らず
魔王の国のために貢献したいを思うことが重要でした。
魔王は、人を信用できないのでした。
人を信用することが怖い魔王は、
目をつけた女性に魔王に深く心酔するための
魔術をかけました。
その魔術にかかれば、女性たちは決して
魔王を裏切らないのです。
その魔術のほとんどは「恋」という形で
彼女たちに現れました。
恋に陥らせる魔術も知っている魔王は
狙いを定めた女性たちが自分に恋をするようにし
他の誰でもない、魔王の話しか聞かないようにし
国の発展のための作業に協力をさせました。
こんなふうに、見初めた女性がいれば浮気もしながら
彼女たちの一風変わったエネルギーを取り入れて
王国を大きくしていきました。
魔王の王国はどんどん強大になりました。