ARスタートアップセッションまとめ【ARISE #1】
◯前段
8月3日に行われた、ARコミュニティイベント「ARISE」が開催された。その中でも特に印象的だった『スタートアップセッション』の内容を以下にまとめる
◯パネラー / ファシリテーター
※ 画像参照:ARISE: Spatial Experience Summit #1
■記載について(敬称略)
[梶] :梶谷健人 / MESON, CEO
[森] :福田浩士 / meleap, CEO
[伊]: 伊藤 伊藤 / ホロラボ, COO
[福]:森本 俊亨 / Graffity Inc, CEO
①経営者視点で2019年最もインパクトのあったAR関連ニュース、出来事はなんですか?
[梶] 『nreal light』
価格と発売日が衝撃的。普段遣いが十分できる。MagicLeapよりも綺麗。色々なプロジェクトをもうすでに進める予定。通常こういった体験は2回目は感動がないが、nreal lightは違った。
[森] 『nreal light』
今までは懐疑的だった。まだまだウェアラブルは来ないでしょ派だった。だが、昨日体験して変わった。来年から「特定のシチュエーション」では十分使える。
[伊] 『MagicLeapへの投資』
ドコモがあれだけ話題になっているMagicLeapに投資をしたのが驚きだった。コンテンツ企業が敢えてハードへ投資したことに本気でコミットしたことのメッセージ性を感じた。
[福] 『nreal lightとARKit』
6年前からARをやっているので、正直なところ「まだここか」という気持ちはある。視野角が100度くらい欲しい。(現状50度程度)日常使いなら低視野角で良いが、HADOをやっている立場だと足りない。
②2019年後半に注目すべきはスマホARか?グラス型ARか?
[森] 『スマホARメイン』
C向けのコンテンツをやっているので、普及台数を考えるとスマホがメインになる。マインクラフト等がちょうど話題になっている。R&DとしてARグラス(nreal)はやりたい。
[伊] 『両方』
(B向けなので)使いやすさ視点でデバイスはこだわらずやる。予算との兼ね合いで、デバイスが購入できるならARグラスもあり。工場現場ではiPadが結構普及している。ARKitの進化で最近は開発しやすくなった。両方やるにあたって、工数効率化の為に共通化を意識している。
[福] 『デバイスは問わない』
スポーツにはプレイヤーと観戦者がいる。プレイヤーは現状、スマホAR=ゴーグルに入れて使うような形。今後観戦者10億人を目指している。それには、デバイスを問わない。今のVTuberみたいにVRHMDで見る人もいるし、スマホで見る人もいるようなのと同じかも。
[梶] 『両方』
どちらかというとグラスに振っていきたい。シチュエーションを限定していけばかなり使える。百貨店やスタジアムでの利用。今後は必ずグラスネイティブなUX構築力が必須。市場が立ち上がった時にその知見を持っていればかなり優位になれる。既存の情報提示/インタラクションとは全く違うものになるので、そのポジションはとれたらでかい。
③将来どのような道筋を書いてマーケットに自社プロダクトを普及させていくのか?
[福] 『観戦者を増やす』
観戦者も参加型のコンテンツを作っていきたい。世界中の人達から元気を集めて元気玉を出すとか。あと重要なのは、戦略を立ち上げた時に人を動かせるかどうか。そのためにはビジョンが大切。ビジョンは10年後くらいを描くのが良い。夢があるもの。
[森] 『グローバルを攻めたい』
ARアプリケーション時代での任天堂を作る。グローバルを意識していて、日本はある意味実験。最終的には自社IPを作りたい。日本にはARできるコンテンツが多いのも今後海外と戦う時に活かせる。(モンハン等)
[梶]『道筋は敢えて作らない』
5年後、10年後、グローバルは当たり前。道筋は敢えて作らない。スタートアップは入り口とタイミングの2つが重要。不確実性が高いから。いつ、どういうユースケースで攻めるかを色々なブランドと組んで研究している。ビジョンは決めるけど見るのは2,3手くらい。(ARだと)
[伊] 『道筋を決めないのは重要』
面白いを基準に動いてる。
Q:ARを大企業と協業する時のコツは?
[伊] 『やりたそうなパートナーと組むようにする』
あとは、相手の担当者を通して文化に合わせる。細かい設計等はやっても無駄になることが多いのでうまく誤魔化す。
[梶] 『ARに食いつきが良い指向性が合う企業と組む』
ビジョンはきちんとディスカッションして、そこに向かって動く。
④一緒に働くチームメンバーの採用で意識している点を教えて下さい
[梶] 『自分のスキルの幅を自分で広げられる人』
今までのスマホ/PCのち県は全く使えないので。あとは『事業が変わっても問題ない人』柔軟に動く必要があるので地頭の良さが必要。「フリーのクリエーターを柔軟に入れる」ようにしている。サウンドエンジニアなど特殊スキルが必要になるので、プロジェクト毎にアサインする。
[福] 『少しでも違和感を感じたら取らない』
反省からの学び。バリューやビジョンへの共感を大切にしている。
[森] 『バリューに共感できるか』
ARっていう未来&エンタメ領域で戦っているのでそこへの共感が重要。そこがクリアできていれば、事業自体が変わっても対応できる。ARの技術を知っていて&特定の領域を知っている人が良い。
[伊] 『My HoloLensを所有しているか(笑)』
共感出来る人に来て欲しい。個人的にHoloLensを持っている人はモチベーションが中にあるから自然に動く。自分から地雷(バグ)を発見する。待受型の人が来ると合わない。
Q:クリエーターを集めるコツは?
[梶] 『面白いプロジェクトを持ってくること』
実現性は置いておいて面白くする。そうすると面白い人と面白いことが出来る。
⑤ARの企画や開発の経験や知識を蓄積し、強みとするために取り組んでいることを教えて下さい
[伊] 『ある程度コストに目をつぶって挑戦する』
[梶] 『海外の一次情報にあたること』
レベルは置いておいて発信している数が違うので記事をちゃんと読む。イベントに行く。
[梶] 『自分たちで教科書を作る』
正解はない。ARサービスのプランニングを整備する。チームとしてAR業界に発信しておく。
[森] 『ヒアリングが重要』
ヒアリングで得た試行錯誤こそが会社の知見になる。
色んな変数をヒアリングしてブラッシュアップしていく。
[森] 『一次情報にあたる』
海外の論文を読んで、どのタイミングにこの体験がくる!みたいなのを考える。
[梶]『ユーザテスト本当に重要』
ARの人が当たり前にやっていることがユーザには分からない。例「近づいて色んな角度から見る当たり前」→ユーザは動かいないから動くように誘導する。
[福] 『デバッカーを採用する』
間近でみる。CPUを使ったりする。
Q:研究開発はする?
[福] 『ユーザテストとは別に、研究開発を進める』
[梶] 『並行してやる』ハードウェアも理解する必要があるので。オリジナルハードを作るなどもしている。
[森] 『使える技術身につけるためにプロトタイプは必要』
◯所感
とにかく、AR/MRグラスへの期待感をひしひしと感じた。ARグラスが来れば世界が変わる。それに備えて、今はスマホARでARUXの知見を貯めるフェーズだ。ARUXには教科書がない。それを自ら開拓するためには、仮説検証/ユーザヒアリング/海外事例の調査を手探りで進めていく必要がある。最後に、とにかく常識が日々更新されるAR界は刺激的で取り組みがいがあると感じた。2019年後半から2020年以降の今後が非常に楽しみだ。
本記事を書いた人→ @like_amaiokashi
あまおかが鶏肉ではなく牛肉で、ちょっと贅沢できます!