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2月14日、バレンタインデー。世の中の乙女たちが、ドキドキする。好きな人に、チョコレートを渡す。男子たちは、ソワソワする。好きな人からチョコレートをもらえますように。
世界では、バレンタインデーに男性が女性に薔薇をプレゼント習慣があるらしい。私はぜひそれを味わいたい。外国の、レディーファースト精神が好きだ。プリンセスみたいに大切にされている気分になる。

昨日のバレンタインは、私にとってなんてことない日になるはずだった。好きな人がいないので、安定のお父さんチョコを用意しただけだった。
1年前にさよならした人と、再開した。当日になるまで、約束の日がバレンタインデーであることを完全に失念していた。なんだか意味のある日のようになってしまって、嫌だった。
今更別の日にするのも面倒だし、特に予定はずらさなかったが、謎の緊張を覚え、足が重かった。

初めてお店で待ち合わせした。駅からお店までの会話が気まずいからそうしたかった。会う前に、色々なパターンをイメージしていた。健全に帰るパターン。2軒目に行ってちょっと寄って帰るパターン。帰らないパターン。やり直しを迫られるパターン。
ある意味で全て外れた。すごく楽しかった。もっと話したいと思いながらも、何も言わずお店を出たらすぐに駅に向かった。
暗黙の了解だった。私の酔い度は、まあまあだった。まあまあというのは、まあまあ酔っ払っちゃっているということだ。2杯しか飲んでないが、1杯目のお酒が濃くて濃くて、酔っ払ってしまった。
お酒でぜったい顔赤くなりたくないな、なんて思っていたが、気づいたら赤くなっていた。誤算。

帰りの電車の中で考えた。かっこよかった……?なんか成長してた……?安定のレディーファーストが素敵だった……?好き……?

今でも正直頭の中は、やり直すべきかもしれない、いや友達でいるべき、いやもう終わりにするべき、とたくさんの気持ちがぐるぐる渦を巻いている。
ただ冷静に分析してみると、1年経って思い出が美化されている。元々自分の手の中にいたのに今はそうじゃない状況。自分のことをよく知ってるから話しやすい。2時間話しただけでボロはでない。
みたいな具合で、自分の「ちょっといいかも」みたいな感情は気のせいである可能性の方が高いと言える。うーーーーん。多分?

最近は、いいな、と思う人に出会ってないし、自分のことをこんなによく知ってる人は男の子に彼だけし、自分の恋愛の部分が充実していないからこそ、なんだか素敵に見えてきてしまったのだろう。
だって、今晴道が現れたら、晴道が良い。

彼は家庭的だし、浮気しなそうだし、子供の世話もできそうだし、優しい。それでも、私にとっては頼りなく、自分1人で生きていくぞという野心が見えない。口では色々と語っていたが、本当のところどこまで頑張る人なのかはわからない。いままで見てきた彼は、そういう時に頑張れない。
でも、もしかしたら本当に好きなことを見つけたら、すごい努力家なのかもしれない。すごい野心家なのかもしれない。そんなことは未来にしかわからない。

今の私は、役者になるために心を鬼にして前に進むのみ。4月からの新しい環境に備えて、準備をするのみ。

お別れしたのには、理由がある。1年間、彼のことを好きで仕方がない期間は1度もなかった。それが全てだ。私は好きでたまらない人とおつきあいしたい。合格ラインを超えている人が、今は彼以外いないから「いいかも」と思ってしまっただけ。自分で振ったんだから、気安くやり直すものではない。

前を向こう。私は私のやりたいことを第一に進んでいこう。

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