女の子になりたいと思っていた男の子
丸刈りにした髪を見られるのは恥ずかしかったので、入学してから半年間ほどは、授業中以外は、ずっと学生帽をかぶっていました。
中学校では、男子は学生服、女子はセーラー服でした。私は、制服には特にこだわりがなく、学生服を着て過ごしていました。
中学生から高校生の時期にかけては、「自分は不細工だ。」という気持ちが強く、不細工は何を着ても合わないという意識が強かったため、「自分に似合う服はない。」と、服を買うことには全然興味はなく、家にいるときはパジャマのような服装、外出するときは学生服を着て出かけていました。
また、鏡を見るのが大嫌いでした。なぜなら、不細工な顔が見えてしまうからです。
小学生の時に長く続いていたいじめは、自分の予想に反して、あまりありませんでした。ただ、いじめほどではないものの、少しからかわれることはなんどかありました。
小学生の時に引き続き、男子トイレに入りたくないという、トイレの問題は大きかったです。小学生の時と同じように、誰もいなさそうなトイレにそっと行くようにしていました。
体育の着替えは男女別に分かれていました。私は男子の更衣室に入るのですが、まわりの人に着替えを見られるのが恥ずかしくて、我慢して、なるべく目立たないように着替えていました。
体育は苦手で、体育担当の先生はとても怖かったです。小学生のときと同じように、走り方が女の子っぽいということでからかわれることは、同じように、何度もありました。
この頃になると、すね毛や腕の毛など、ムダ毛がでてきます。すね毛は剃っても黒い点々が残ってしまって逆に変になってしまうので、腕のムダ毛を剃るようにしていました。母が使っていた保湿ローションを腕につけ、肌のすべすべ感を喜んでいました。
中学校の体育祭では、1年生から3年生までの男子は全員、「格技」というものに取り組まなければいけませんでした。柔道・剣道・相撲の3つについて、技をかけたり竹刀を振ったりするなど、格技の技の型をみせるというものでした。
私はこの「格技」がとても嫌いで、全然やりたくありませんでした。一度、「やりたくないな……。」と思いつつ練習をしていたら、とある体育教師に「まじめにやれ!」と平手打ちをされたことがあり、さらに嫌いになっていきました。
小学生の時もですが、男子は力を見せるような種目、女子はダンスというきれいさを見せる種目というように、なぜ一方的に決められるのか、理解できませんでした。男子がダンスに参加しても、何も不都合はないはずです。
中1後半から、声変わりがありました。私は、声が低くなるのはどうしても嫌だったので、低い声は絶対に出さないようにしていました。中3の頃には声変わりはほぼ終わっていたのですが、とにかく低い声は出さず、高い声しか出さないようにしていました。このころは、高い声と言うよりも、裏声になってしまっていました。
歌をうたうときも、以前は高い音まできれいに出せていたものが出せなくなってしまい、とても嫌でした。
とにかく、中学生時代で一番嫌だった身体的変化は、声変わりです。布団の中に頭を突っ込んで、大きな声を出して、きれいな高い声が出るように練習していたこともありました。
3年生の時に、二泊三日の修学旅行がありました。小学生の時と同じく、お風呂は他の男子と一緒に入れそうもなかったので、一日目は仮病で入りませんでした。次の日は、さすがに連続で入らないわけにはいけないと思い、がまんして、他の男子と一緒にお風呂に入りました。
お風呂は苦痛でしたが、修学旅行自体は、とてもたのしかったです。
中学生くらいになると、恋愛の話題も多くなりますが、私は、恋愛感情を持たず、特に誰かを好きになると言うことはありませんでした。それは、冒頭にも書いたのですが、「自分は不細工だ。」という思いがとても強く、こんな不細工な人間が、誰かを好きになっても無駄だし、自分や相手の心が傷つくだけだと思っていました。
恋愛感情を持たなかったので、誰かと付き合うと言ったことも当然、ありませんでした。
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