【読書記録】2023年12月
12月の読書記録です。
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短歌
『はじめての短歌』穂村弘
「生きる」ことと「生きのびる」ことの違いについて書いてあるのが良かった。社会化されていない言語の領域、「生きる」ための言葉を持つことへの魅力が語られておりとても良かった。募った短歌の改善例、添削案ではなく「改悪例」を提示する形で短歌の方法論について語る形式が優しくて、新しくて、面白い。
『短歌という爆弾 ー今すぐ歌人になりたいあなたのためにー』穂村弘
募集した短歌に対し○、△、-、等をつけつつ評価をしていく形式で短歌の「製造法」を説明した後に、製造した短歌を発表する場の提案、さらに短歌の技術を向上させるためのtipsを列挙する構成。もうちょっと短歌を日常的に詠むようになってから再読したい!
小説
『あのこは貴族』山内マリコ
現代の日本は紛れもない階級社会である。それも、階級社会であることは普通に生きていれば気が付くことが出来ないほどに厳格な。シスターフッド小説とも読めるが、普遍的な人間の幸せの在り方について書かれている。文化とはなにか。東京の文化とはなにか。田舎の文化とはなにか。自分にとっての文化とはなにか。そういう問いに対する自分なりの解答が、階級社会の生産する毒への免疫となることを信じている。
『私の男』桜庭一樹
伏線らしい思わせぶりな布石や設定をぶん投げて許されるのは、ホラーとコメディの特権だと思っている。淳悟はどこに行ったのか。田岡の死体はどこへ行ったのか。見つからないのか。見つかるのか。花はこれから幸せになれるのか。その観点からすると、『私の男』はホラー小説だろう。読んでいるとき、読んだあと、結構引きずって精神が落ち込んだ。元気なときに読んだ方が良い。
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