カードストーリー 1話目
※こちらのショートショートは過去にインスタで掲載したもののを加筆・一部修正して再掲しております。占いのカードから物語を紡ぐ…楽しんでいただければ幸いです。
きらめく魔法をかけて
「あれは何のおとぎ話だっけ?
魔法の杖を1振りするとネズミが白馬に変わって…
そうか…舞踏会に…シンデレラよね。」
ぽつぽつと彼女は話しだした。
「急に思い出しちゃった。なんで私がこの仕事を目指したのか。
シンデレラと同じ…置かれた環境が辛いと奇跡は起こらないって思ってた。
でも諦めたくなかったし同じようなひとに希望を与えられればって。」
そう言って彼女は小さく小さく笑った。
僕はブローし終えた彼女の髪に最後に優しくワックスを揉み込むと最後の魔法をかけた。
「近くでずっと見てきたけど、アナタはいい女優さんですよ。
自分では目立たないと思ってるかもしれないけど、画面越しではいつも強烈に輝いてました。
どんなに小さな役だったとしてもね。」
言い終わるか終わらないかくらいで彼女の瞳はもう別人のように自信に溢れていた。
いつものように。
「折角貰った代役…私らしく輝いてくるわ。
いつも素敵な魔法をありがとうね。」
優雅に微笑んだその顔はメイク前の小動物のような彼女とはかけ離れたスターそのものだった。
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