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【ゲームプチ感想_02】さんまの名探偵

私が初めてプレイしたACTは近所の兄ちゃんちでプレイしたマリオブラザーズ。RPGも同じく兄ちゃんちで見せて貰ったドラゴンクエストでした。では初のADVというと、おそらく本作『さんまの名探偵』です。これまた小学校の友人から借りてプレイした記憶があります。

ゲーム形式はオーソドックスなコマンド選択式ADVで、難易度もかなり低め。思いもよらない行動で事態が進展することもありますが、コマンド自体が少ないため総当たりすれば大体なんとかなるレベルです。ミニゲームをクリアすることでヒントも貰えるので詰まることも少なく、低年齢プレイヤーに優しい作りでした。

こことか地味に難しい。
困ったら総当たりかゲーセンです。

また吉本芸人の皆さんを起用していることもあり、基本的にはお笑い路線です。しかし殺人事件らしく、怖いところはしっかり怖く作られており、サスペンス的な面白さも。オープニングの文鎮さん殺害シーンや新事実発見のSE、緊迫したシーンのBGMなど、大人でも少しドキドキしてしまうほどにスリリングです。

タイトル画面放置で見られる冒頭からして怖い。
しっかり恐怖を煽ってきます。

ゲームに対する目も肥えて大人になった今、プレイするとさすがに淡泊で物足りなくはありますが、様々な経験をまだ詰んでない現代の子が遊んでも、オールドスタイルなADVの入門として十分楽しめるレベルかなと。(怖くてやめてしまう子はいるかもしれません...)
芸人さんのキャラ立てにだけ頼っていない、良質な作品です。


とはいえクオリティ的にADVの名作・傑作とまで呼ぶには、もう一つ何かが足りないのも事実です。

お話はオーソドックスな殺人モノですがそれ以上の域は出ませんし、読み手に衝撃を与えるようなギミックがあるわけでもない。AVDのパイオニアとなるようなシステムもありませんし、コメディとしてもぶっ飛び具合が足りない。もう一味何か欲しい感じです。

とはいえコメディ要素は多彩で本当に良くできています。
ただエッチネタも多いので人は選ぶかも。

その上で本作を取り上げたのは、ユーザが手に取りやすく遊びやすい作品だから。本作は吉本芸人を起用したことでユーザの目を惹くことに成功しました。それはバンダイなどからリリースされたキャラゲーも同じなのですが、キャラクターに頼り切ることなく、ユーザが遊びやすいレベルで難易度調整されているのですよね。(やっさんの競艇ミニゲームは鬼畜ですが……w)

本作が出るまでのFCのADV作品といえばポートピアみたいな難解な作品か、ミシシッピーやシャーロックホームズみたいなク〇ゲーが大半でした。
その中で手に取りやすく、遊びやすく、クリアも頑張れば届く程度の難易度で、更にそこそこボリュームのある本作は、ADV黎明期においてもう少し評価されてもいいのかなと。

なにより私自身、この作品をきっかけにADVを本格的にプレイするようになった1人なのですよね。ユーザに手に取って貰い、楽しんで貰えなければ内容がどんなに名作でも意味がありません。子供がまともにプレイできるADVが無かった当時のFCにおいて、本作の果たした役割はひときわ大きかったと思うのです。

ひょうきん族みたいな見た目なのに真面目に
サスペンスするギャップも好き。

本作がリリースされた1987年以降は『ファミコン探偵倶楽部』のような正統派の名作、『殺意の階層』に代表される高難易度の本格派、果ては『中山美穂のトキメキハイスクール』みたいなイロモノなようで十分楽しめる作品まで、様々なADVがFCでリリースされます。

しかしそれらの良作名作も手に取ってもらえなければ始まりません。良作ADVの先鋒として『オホーツクに消ゆ』『新・鬼ヶ島』と共にFCにおけるADVの夜明けを担った本作を忘れずにいたく、感想を残すこととしました。

後続の作品群と比べてしまうと、あと一歩物足りないかもしれません。吉本興業が出演者に対しギャラを払っていなかったことで話題になる作品でもあります。しかしキャッチーな見た目と低年齢層でも楽しめる低難易度を両立した本作は、後世に影響を与えた良いゲームとしても知られて欲しいなと思う次第です。




■おまけ

笑えないw

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