【ゲーム感想_09】SFC版グラディウスIII
発売当時のSFCは品薄状態で発売日に購入できず、入手できたのは1カ月後ぐらいだったのですが、一緒に買ったのがマリオワールドとグラディウスIIIでした。当時はマリオワールドばかりプレイし、グラディウスIIIは難易度NORMALをクリアして満足。やりこむほどプレイしてはいませんでした。
しかしこの度、ちょっとした切っ掛けで再プレイしたら名作すぎてびっくりしました。
横シュー初心者に優しいし、最高難易度は横シュー初心者卒業試験みたいな難易度で歯ごたえもあって、装備を変えてのプレイも新鮮で楽しくて。当時の私は面白さに気付けなかったのだなぁと。
発売当初はAC版グラディウスIIIと全く異なるゲームデザインに、ガチシューターからは良い評価を得られなかったとのこと。しかしコンシューマ向けであることやスペック的に完全移植は難しかったことを考えると、むしろ良い方向へ一新できたのではないかなと。どの辺が良かったのか、感想として残しておきたいと思います。
■STG初心者でも楽しめる良バランス
FC版グラディウスと同じく、攻略を意識せず楽しく遊べるゲームデザインがとても好ましい作品です。好きな装備を選び、好きなようにパワーアップして敵を倒す、シンプルな遊び方で十分楽しむことができます。
横シューが大好きな人達が薦める名作シューティングは、基本的に攻略要素が介在します。ダライアス外伝ならパワーアップ調整やルート分岐、極上パロディウスならランク調整、R-TYPEなら攻略のパターン化。弾を撃って進めるだけでは攻略できない部分が必ず存在します。
一方で本作は純粋に敵を倒すだけというSTG本来の面白さに特化しています。気を付けるのは地形接触と7面の高速ステージぐらいで、後はだいたい好き勝手に遊ぶことができます。とはいえ無双できるほど簡単でもなく、特にボスは攻撃の回避を意識しないと倒せない難易度です。
個人的に難しい横シューの攻略要素は歓迎なのですが、弾の撃ち避けに慣れていない段階でやらせることではないとも思っています。STGの基本である、迫りくる敵を倒して進む楽しさを味わえる作品こそ、ジャンルの入門用として最適なのではないかなと。
その意味では伝統のコナミコマンドもありがたいですよね。使用回数が限定されているとはいえ、いきなり強武装で開始できるのも初心者には嬉しいでしょうし。横シューを上達したい場合は使わない方が良い裏ワザですが、楽しむことだけを目的として購入した方に向けたユーザビリティな配慮です。
■最高難易度は横シュー初心者の卒業試験
ただし、そうやって何も考えずクリアできるのは難易度HARDまで。最高難易度であるARCADEは、他の難易度では封印されていた覚え要素を意識しないとクリアできないように調整されています。敵の攻撃も苛烈なため、一度死ぬと復活するのも困難で復活パターンも構築しないと厳しいレベルです。
特に9面要塞ステージ、壁の剥がれる地帯と直後のガーメイド地帯はほぼ覚えゲー。完全パターン化とはいかないまでも、ある程度は進行順序を意識していないと突破は困難です。それがラスト一歩手前にあるのだからタチが悪い。通路の隙間がない分、ここだけはAC版よりも厄介まであります。
敵の移動速度も弾速も処理落ち前提の超高速で、自力で避けきれるように弾幕の切り返しなども意識しないといけません。武装も最初のうちは攻略を逆算して選ぶことになるでしょうし、攻略を意識してプレイしないとクリアすることはできません。文字どおりアーケードの難易度です。
ですが決して理不尽さはなく、腕を磨き難所の突破法を詰めていけば必ずクリアできる難しさ。AC版グラディウス3のような超難易度ではない、難しいなりに横シュー初心者への配慮がなされたバランスです。本作でSTGを楽しんだ方が有名な作品に手を出す前に、準備段階として挑戦する分にはうってつけの難易度となっています。
高難易度には手を出さず、NORMALやHARDで遊び続けるのも勿論プレイヤーの自由です。ただ横シュー登竜門としての難しさを最高難易度に置いた配慮は、個人的にはとても嬉しく感じました。
■カッコいいグラフィックとBGM
STGとしてゲームバランスと同程度に重要なこの2要素ですが、そこはさすがのグラディウス。SFC最初期のタイトルということもあってか、めっちゃ気合が入っています。特にFC版グラディウスを純粋進化されたグラフィックには当時とても感動させられました。SFCスゲー!って。
その代償としてAC版以上の重い処理落ちが発生してしまうわけですが、これをゲームバランスに取り入れてしまっているのがまた凄い。遅くなることを意識して敵や弾の速度が考慮されているのですよね。(やられた後に復活すると、その弾速が処理落ちなしで襲ってくるので結構な難易度ですがw)
ボスラッシュのボスもどれも良いです。クリスタルコアやビッグコアMk-IIの正統派なカッコよさも好きですが、個人的にはカバードコアの無機質なフォルムが好み。ただのミサイルをバラ撒く丸なんですけど、メカメカしい感じがなんか良いのです。AC版よりハードスペックは落ちているのに、特にグラフィックは頑張っているのですよね。
一方でBGMはSFCの環境を生かしたアレンジングが評価されています。
どの曲もプレイしていてゲームに入り込める名曲だらけですが、やはり6面の「Cosmo Plant」が大好き。後半パートの爽快感がたまらなく良いのです。メロディもベースも、どちらに聴き入っても気持ちよい楽曲でした。
AC版にはない専用BGMを与えられたクリスタルコアなど、SFC版だから評価されている要素も多く、SFC初期を代表するBGMを有する1作です。SFC初期作品のBGMというとマリオワールドやアクトレイザーが有名で話題に上がらないのですが、ゲームBGM好きとしては本作も外せません。
■ハードスペックと対象ユーザを意識した移植
SFC版リリースの触れ込み時には「AC版を完全移植!」と書いてあったそうで、まぁそれはウソなので良くありません。ですがSFC版は完全移植できないハードスペックだから完全移植しなかったのでしょうし、プレイするユーザが低年齢層メインになることを見越して難易度も下げたのだと思います。
そうしてリリースされたSFC版は決して手抜きで作られたものではなく、SFCで出来ることを可能な限り盛り込んだ名作でした。リメイクや移植でユーザを納得させるのは非常に難しいのですが、本作はその難しい課題を高い水準でクリアしています。
グラディウスシリーズとして亜種ではありますが、同じく低難易度で名作な『グラディウス外伝』と併せて、横シューの入門用として推せる作品です。今から遊ぶのはちょっと大変なので、両作ともSteamやSwitchあたりへ移植して貰えると嬉しいですね。