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フリスビードッグvol.4 振り返り

 8月から始めた毎月新ネタ5本ライブも気づけば今回で4回目。一応10回を目処に実施する予定なので来月で折り返しとなる。11月後半ともなると、「もう今年も終わりかぁ、早いなぁ」と時の流れを話題にあげることが多くなるが、自分も新ネタライブの回数でそれを実感している。

 さて過去3回は、毎回プラスの意味で発見があった。自分に合う新たなキャラの発見や、マイム・所作のポテンシャルの高さの発見、などなど。毎回何かしら収穫を得た感覚があったが、今回はそれがなく課題だけが多く残る回だった。

 ネタを5本やったが笑い声を一体何回聞いただろうか。体感としては5ネタ全て滑り散らかしていた感覚である。誰か笑ってくれてた?すみません、笑ってくれた人がいるのは知っています、ありがとうございます。ただ体感としては稽古場でオーディション用のネタ撮影してんのかと思った。

 新ネタのクオリティの低さは当然あるが、それ以外にそもそもライブを通じてお客さんが笑いやすい環境を作ることができていないのが1つ目の課題。毎回オープニングは相方と2人だけで5分ほどトークしてからネタに入るのだが、そこでお客さんを温めることができず、二人ともそこまでテンションが高い方ではないのでテンションでお客さんを引っ張ることもできず、ぬるっとネタに入ったことで、思いっきりネタに影響を与えてしまった。

 この影響が自分らだけに及ぶのであればまだいいが、ゲストで来てくれた人たちも明らかにお客さんの反応が弱い状況でネタをやってもらう形になってしまい本当に申し訳なさを感じた。うわーこのネタ普段もっとウケてるのになー、やりづらいだろうなー、と袖で申し訳なさを感じながら次のネタの準備をしていた。

 この状況を作ってしまった要因がもう一つ。出囃子がカッコ良すぎるということ。これは指摘されるまで全く気づかなかった。芸人になる前、吉本の劇場にたくさんライブを見に行っていた自分としては、開演の際、客入れ曲のボリュームが徐々に小さくなると同時に照明が絞られ、静寂から一気に大ボリュームでオープニング曲が流れる演出に毎回ワクワクし「さぁ今から始まるんだ」と高揚しながら背筋を伸ばしていた。その経験からオープニング曲はできるだけイントロがかっこいい曲を選曲しているが、それがお客さんに緊張感を与えてかえって笑いづらくさせてしまっているようである。吉本の大きな劇場ならまだしも、新宿の小さな一室で行うライブでは逆効果なのだろう。指摘されて恥ずかしい気持ちになった。

 ちなみに別でやっている新ネタユニットライブ「ロッカールーム」も、オープニング曲はかっこいいイントロから始まる曲にしている。前回オープニング時にイントロが流れたとき、ユニットメンバーが皆口々に「俺この曲嫌なんだよな、この曲緊張するって。」と不満を漏らしていた。すまん、あれ選曲したの俺なんだ。ていうかみんな不満に思いながら13回もユニットライブやってたんだ。ごめん、次回から変えます。

 2人のトークで温められない、出囃子がカッコ良すぎる、ということなので、次回からは、オープニングは注意事項だけ説明してサクッと終わらせるか、ゲストに登場してもらうかなど、何かしら改善しようと思う。当然出囃子も変える。

 次の課題としては平場での自分のテンションの低さ。これも自分では全く気づかなかった。トーク部分では自分らがMCとしてゲストに話を振ったり進行しているが、ゲストのみんなが面白いトークを披露し盛り上げてくれるため自分もそれに思いっきり笑っていて、テンション高く進行してるつもりだったが、ライブ後におおぞらモードの長山さんに、「新ネタ5本やって疲れてる?声小さいしテンション低くなかった?」と指摘された。俺そんな声小さかったんだとそこで知った。自分でそれに気付けてないのが本当にまずい。知らず知らずに場を盛り下げてしまっていたのだと思ったらこれも本当に申し訳なくなった。

 また、スパイシーガーリックの片山さんにライブ終わり「新ネタ5本全部ちゃんとしたネタしてるけどさ、1本くらいふざけたら?リズムネタとかやったらいいんじゃない?」とアドバイスをもらった。そういえばダックワーズの佐藤くんにも「新ネタ5本やるとなったら、1、2本は適当なネタをやったり、ふざけたネタをやって隙を見せた方がいいですよ。」と言われていて、確かにそれいいねと言った覚えがあるが、気づけば結局5本とも賞レースに向けて何か勝負ネタが生まれてほしいという思いから、遊びのないネタばかり作ってしまった。そして5本やるとなると必然的に1本1本の作り込みが弱く、「クオリティが低いちゃんとしたネタ」を5本やる散々たる結果になってしまった。これが一番辛い。

 以前別のライブで炭酸水の南原さんに「雨傘のネタってちゃんとしてるから見る時緊張するんだよな」と言われたことを思い出した。こっちは全く緊張させるつもりないのに、緊張なんかしてほしくないのに、ネタの性質や自分らの見た目・テンションから知らない内にお客さんに緊張感を与えてしまっているみたいである。これはマジでどうしたらいいか分からない。ふざけた見た目、ふざけたネタをやるのは違うし、普段からもっといじられたり笑ってもらいやすい人間性であることを見せていかないと根本から解決しない気がする。そういえば養成所のときワタナベとの対抗戦で、講師の人が「ワタナベの芸人はキラキラしている一方で、人力舎の芸人は地味で華がない。これはもう普段の生活から見直していかないと直らない。」と言われたのを思い出した。ネタどうこう以前に普段の生活や人付き合いなどから見直す時がきたのかもしれない。え、30越えたけど今から見直すの?間に合う?それでいうと会社員時代の友人に「ネタ見たけどさ、もっと恋愛して彼女作ったりすれば?」と言われたのを思い出した。マジでそういうことなのかもしれない。

 課題ばかり書き連ねる形になってしまったが、最後に今回作ったネタについてさらっと振り返る。(どこかで披露するかもしれないのでネタの詳細に触れない。)


 1本目「ホームステイ」

 ここ最近のマイブームである戸塚正弘というキャラが登場するネタ。フリスビードッグの初回に登場してから、vol.4まで毎回登場している。vol.4に至っては5本中3本が戸塚ネタになってしまった。このネタが5本の中ではまだ反応があったネタ。滑舌の悪さを全面に出したネタで、設定としては自分も一番好きなネタであるが、全く作り込めておらずただ滑舌の悪さの一本槍で進んでしまっている。二人の人間性も掘り下げて修正していく必要がありそう。


 2本目「赤ちゃん言葉」

 喋り方とか一人称って長年使っているとなかなか変えるのむずいよねっていうネタ。ここ最近は自分の気持ち悪さをどう出すか、を軸にネタを作ることが多く、自分が赤ちゃん言葉を喋ったら気持ち悪いだろうなと思って作ったネタ。最近は、台本ではなく演技やフィジカルで笑いをとることをテーマとして掲げてネタを作っているがまだまだ道は遠そう。

 3本目「新宿駅東口改札前」

 戸塚ネタ2本目。新宿駅ってなんであんなに路チューしてる人多いんだろと思って作ったネタ。なんであんな人通りの多いところで平気で抱き合えるのか、嫌味とかではなく普段から純粋に疑問に思っている。このネタは展開などは全くなく、ただただキャラ一本勝負。それにしてはまだ戸塚のセリフや行動の作り込みが甘くぬるーい時間が過ぎただけになってしまった。

 4本目「浮気調査」

 戸塚ネタ3本目。こいつどんだけこのキャラやる気なんだとお客さんに思われたと思う。すいませんハマってるんです。戸塚がたびたび使う、「浮気確定ー、アター、心中お察しします、悲しいですよねー。」というセリフ。こういう口に出したくなる4連コンボみたいなセリフが自分の中ではツボで、みていて飽きないキャラを作るのに一役買っている。ちなみに養成所で初めに作ったネタで「そうなんだよなー」という言葉を軸に進めていくネタがあるが、自分は無意識に「思わず使いたくなるフレーズ」をネタに入れる傾向があることに気づいた。いつかキングオブコント決勝で披露したネタで流行語大賞とか取りたい。

 5本目「借金の取り立て」

 ライブ当日に作ったネタ。以前作った女将ヤンキーのように、動きとキャラのギャップを出したくて作ったネタだが、まぁ未完成も未完成。笑いどころがほとんど作れないまま披露してしまった。あとセカンドバッグがなく、紐を外したサコッシュで代用したのは見逃してほしい。


 今回は課題が多くひたすら反省する回だったが、ここまでフリスビードッグを4回行い20本新ネタをおろした内、勝負ネタとして育てていきたいと思えるネタは2本できた。これが唯一の救いである。ちなみに戸塚ネタはポテンシャルが高いと自分では信じているので、ずっと模索していきたい。来月以降も1ネタは必ずやると思う。そのキャラがちゃんとそのコントの世界で生きているように見せたい。その人が言いそうなセリフを喋らせるように心がけたい。血の通ったネタがやりたい。ただ自分の場合、ほとんどのネタが設定先行なので、キャラとの両立が難しい。アター。あとリズムネタやるか。もっと笑ってもらいたい。

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雨傘 オサナイ
わざわざ読んでいただいてありがとうございます。 あなたに読んでいただけただけで明日少し幸せに生きられます。

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