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フリスビードッグvol.3 振り返り

 8月から毎月新ネタ5本ライブを始めた。

同期の大滝くんが作ってくれたフライヤー。大滝くんのフライヤー可愛くてすごく好き


 当初は3本くらいで考えていたが、毎週新ネタ3本ライブをやっている(改めて考えてもやっぱイカれてる)同期のダックワーズ佐藤くんに相談したら、「ネタのクオリティを維持できる本数を超えると、完成度を気にしてやるのを躊躇していたネタも出さざる得なくなって、結果いいネタが生まれるかもしれないですよ。」と、月換算にして新ネタ12本おろしている偉人の金言をもらったため、2本増やすことにした。

 3回目にしてようやく振り返りを書こうと思った理由は一言。書けるだけの心のゆとりができたから。

 1・2回目はライブ終了後の倦怠感がひどく、終わってから1週間ほどは何もやる気が起きなかった。ベッドの上で「これもインプットの一環だよね」と言い訳しながら漫画アプリをひたすらスクロールしていた。読んだ漫画からネタが生まれたことは一度もない。

 3回目にして何が変わったのだろうかと自問したが、「ウケる保険が効いてないネタを披露するプレッシャーに心身が慣れてきた」おそらくこれである。この演技は自分のフィジカルではできないだろう、この設定は自分たちでは面白くできないだろう、とこれまで避けてきた(でも脳内ではこれ面白いかも?と思っている)ネタを新ネタライブで初めて放出するようになった(というか、せざるを得なくなった)。「これホントにウケるのか?、、」と生まれたての台本を睨みながら顎に手を置いている時、心臓と胃の中間あたりがキュっと痛くなる。これが本番3日前あたりからドンドン強くなり当日ピークを迎え限界が来る。急に再結成したSMAPが新宿でゲリラライブを行い、新ネタライブとかやめてみんなで見に行こーぜ!とはしゃぐ奇跡に期待するが、中居君は今日もどこかキー局で収録に臨んでいる。無念。

 そして満を持して披露せざるを得なくなるわけだが保険が効いていないので当然スベることが多々。だが中には意外と受け入れていただけるネタもあり、そんな折には、おばあちゃんトーンの慈愛に満ちた「ありがとう」を、受け入れてくれた一人一人に伝えてまわりたくなる。先月おろした女将ヤンキーのネタとかはその最たる例。


 ちなみに自分自身、自己肯定感は高い方だと自負しているが、お笑いに関してだけ果てしなく低い。自分のネタを面白いと思えたことがほぼない。以前ソルトレイクの佐藤さんと飲みに行かせてもらった時に、「正統派であることに誇りを持とう」という話になった。正統派と呼ばれることにコンプレックスをずっと抱いていた(いや今も)。芸人に好かれたり、周りがもてはやすのは既存の枠組みから外れている芸人で、実際自分自身もそういう芸人が好きであるため、自分のネタをどうも面白がることができない。

 個性を出したいよね、枠組みを外れたいよね、でも外れられないよね、それは自分には似合わないよね、やっぱ正統派で行くしかないよね、でも正統派もいいもんだよね、そうだそうだいいもんだよ正統派は、でも個性がないって言われちゃったよね、これだと上へ行けないよね、やっぱ個性を出したいよね。

 ここ数年こんなお笑い躁鬱にずっと襲われて、足元がおぼつかない状態が続いている。佐藤さんと話し、正統派である自分を愛そうキャンペーンを開催することにした。(そもそも正統派の定義は何って話はめんどくさいのでしない)
 主な活動内容は、①テレビやYouTubeで正統派と呼ばれる芸人のネタしか見ない。②自分たちのネタで笑ってくれたお客さんの顔を思い出す。③「正統派が一人、正統派が二人、」と正統派の芸人を数えながら眠りにつく。
 そのキャンペーンのおかげで少し心が安定した。それも新ネタライブ後の倦怠感が軽減された要因の一つだったかもしれない。


 新ネタ5本ライブ始めてみてどう?成果ある?と周りの芸人からよく聞かれるが、「スベっても美味しくご飯を食べれるようになったことと、自分は女将さんの所作が上手い事が分かった。」が現時点の答えである。


 最後に今回作ったネタ5本を簡単に振り返る。(これから披露する可能性があるのでネタの核には言及しない)



 1本目「30年前の映画」

 養成所の時こういうコントやってたなーと相方に話した。自分が相方にビジネスを持ちかける系のコント。ただビジネスマンの常軌を逸した発想から生まれた提案ではなく、たまたま需要が生まれたからそれに乗っかりましょうという便乗提案。だから自分の熱量もそこまで出せた訳ではなく、「彼女欲しいの?じゃあマッチングアプリでもやってみたら?」並みの、温度のない会話になってしまった感が否めない。相方が理不尽な被害に遭うシチュエーション×ビジネスを組み合わせようとしたけど、うーん、な仕上がり。


 2本目「幸福のロールケーキ」

 ドラマ「アンナチュラル」のワンシーンを切り取ったコント。ネタのインプットのために映画やドラマは見るようにしているけど、実際劇中のシーンを切り取ってコントにしたのはこれが初めてな気がする。フリの部分はもろアンナチュラル。ドラマを見たことある人だったら、あぁこれあの人が⚪︎んじゃうシーンだよね。と気づくレベルでまんま持ち込ませてもらっている。これが今回の胃痛ネタ。感情を爆発させて泣く職員の様が面白いなと思いつつ、自分には似合わないだろうと寝かせていたネタ。結果はなんとも言えず。大コケでもなければありがとうを言えるほどでもない。ただやってみて一番楽しかったのはこのネタかも。まぁ台本としては単調なまま終わってしまったので、もっと展開が欲しいところ。ちなみに青いツナギを着てネタをやったが、それは食品工場の職員ではなく機械工場の作業着であることに後から気づいた。


 3本目「侍」

 侍がタイムスリップして、という最近話題になっている映画と同じシチュエーションのコント。しかしその作品を見て思いついたものではなく、「なんかコスプレしてーな」という変身願望から生まれたもの。最初に浮かんだシルエットがたまたま侍だっただけであり、場面を現代にしたかったから無理やりタイムスリップさせただけである。あと準備が楽だった(同期のジャグチーるが袴と刀を持っているのを知っていた)。このネタはライブ当日に作ったので、相方のセリフが極力少ない台本にするしかなく1分半ほどのショートネタになった。尺を伸ばしたり展開を練ればなんとかできそうな気もするネタ。ちなみに衣装を貸してくれたジャグチーるの小野くんにライブ後、フリの部分の自分の演技が面白かったと、思いがけない褒め言葉をもらった。こういう意図してない部分を褒められると、自分がこれまで気づけていなかった武器が見つかった感覚になり嬉しい。台本以外の部分の面白さは自分だと本当に分からないからどんどん言ってほしい。


 4本目「合コン」

 今回の5本の中では、個人的にはこのコントの設定が一番気に入っている。台本を書きながら自分で笑えた唯一のコント。ただキャラ設定が全く固められなかったのが反省点。キャラが固まっていない故に、ボケっぽいボケしか新ネタライブではできなかった。もっとこいつが何したら面白いか、こいつが言いそうなことって何だろう、とキャラを深掘る事ができて自然とアドリブがでるくらいにまでなればやっていて楽しくなりそう。あと相方があんま活きていないからそこが課題。


 5本目「シルバーコレクター」

 Not胃痛ネタ。設定でバラして、そのあとは設定に沿ったボケを羅列していくこれまでもやってきたパターンのコント。こういうネタは一度設定を思いついてから書き上げるまでが一番早い。ただいかんせんキャラが乗せづらい。君たちじゃなくてもできるよねって作家に言われるのが目に浮かぶネタ。正直自分でやっていてもあまり感情移入はできてない。



 次回は11/23(土)。「自分なりの生き方を貫いているが、馬鹿馬鹿しく狂っている人間」がたまらなく好きなので、次はそういうネタが作れたらなと思う。事務所の先輩でいうと岡野さんや吉住さんの単独は毎年自分の癖にブッ刺さる。あのフィジカルが欲しい。

雨傘の新ネタ5本ライブ「フリスビードッグvol.4」

【日付】11月23日(土・祝)
【時間】開場 14:45/開演 15:00
【場所】新宿Fu-+801
【料金】1,500円
https://tiget.net/events/349274

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雨傘 オサナイ
わざわざ読んでいただいてありがとうございます。 あなたに読んでいただけただけで明日少し幸せに生きられます。

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