天笠凪の一番長い日
今日は某飲食店のバイト初日だった。事前にYouTube等で「バイト初日あるある」と題された動画を見て予習をし、六分の恐怖と四分の好奇心を抱きながらいざ入店。STAFF ONLYの扉を潜り、慣れない作業服に袖を通す。ようやく厨房へと赴くと、唱和が始まった。何故かいつもより口が回らない。緊張のせいだろう。唱和が終わったら入念な手洗いを済まし、いよいよキッチンとしての仕事が。ここまでの自分は好奇心で満ち溢れていた。だが、そこに待ち受けていたのは至難の嵐だった…
怒涛のマルチタスクワーク、覚えきれない引き出しの中の食材の種類、何度押しても無反応なタッチパネル。ここで私はそっと悟った。
むりぽ\(^o^)/
いや無理無理無理無理今からこんな作業が2時間も続くの!?
ながっ!!ながながながーい!!ながびよーん。
なんて弱音を吐いていてはいけない。そう思いながら店長の説明を吸収し、自分にもできそうな仕事は積極的に実践してみた。
仕事も中盤に差し掛かり、次は揚げ物の厨房へと移ると、そこには留学生の男性がいた。互いに軽く会釈したあと、暫くふたりきりの状況になった。すると突然男性が小声で、
「…めてやる。俺は、、、あと6ヶ月したら辞めてやるんだ、、、」
戦慄した。手に汗握るという慣用句があるが、本当にゴム手袋に付着した汗を強く握りしめた。とはいっても、その男性は人当たりが凄く良く、最終的には仲良くなることができた。その他にも、緩んでいたエプロンを先輩が直してくれたりと、仕事に夢中で忘れていた「人の暖かさ」を改めて実感することができた。
ようやく初日のバイトが終わり、光の速さで退店した。確かに大変だったが、出来なかったことが出来るようになることは楽しい。忘れないように覚えている範囲で今日やった内容をメモ帳に記録しておこう。次のシフトは木曜日。