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ジャン=ミッシェル・フォロン展を見て

本日は東京駅北口にある東京ステーションギャラリーにて開催されております、「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展を見てきましたので、その感想などをレポしたいと思います。

会期は2024年7月13日から9月23日まで。JR他、東京駅直結の美術館ゆえに誰でも見に行きやすい展覧会かなと思います。

この展覧会が今(8月25日現在)会期中であることは、山手線内の中吊りかビジョンの広告で知りました。東京駅構内に美術館があるということは知っていたんですが今まで行った事はなく、また今回取り上げられてるフォロンという作家に関しても一切知りませんでした。

そもそも自分の場合は知ってる作家の個展を見に行くこと自体が少なくて、まず現場で生で作品を見て、その第一印象を大事にしようというのが半ばポリシーに近いんですね。だから今回も、チラシ以外の前情報は何も入れずに会場に行きました。

改めて見ると異質、東京駅北口
地上に上がるとすぐに案内の看板が

個人的には東京駅の八重洲口には度々足を運んだことがあるが、北口方面は数える程しか行ったことがなかったので、景色からして非常に新鮮だった。また会場までの道のりで迷うかもと心配してたが、すぐに案内の看板が見えたので容易に辿り着けた。

なお、今回の展覧会は館内の撮影が一切禁止となっておりましたので、画像はありません。ご了承ください。

 

チラシだけ見て会場に入ったので、俺はこのフォロンという作家さんはドローイングがメインの作家さんなのかなと思っていたんですが、しょっぱなから目を引いたのはブロンズ像や写真、ミクストメディアの作品群。

誤解してほしくないんですが、2次元作品は作るのが楽とかそういう事を言ってるんじゃないですからね。ただ、3次元作品は余地を残せないというか、作り漏れが許されないものなので、立体造形で勝負出来る人はすごいと思うし、世界観が強固ゆえに、別のものじゃなく、それまで2次元で創ってきた作品を補完するものが提示されてるし、説得力が増していると感じた。

 

以下、現場で取ったメモを見ながら書きますが、ドローイングに関して、描かれてる人物の表情は記号的ながら、そのシチュエーションで心情を表現出来る画面の構成力に圧倒された。

描き込みが多い作家と少ない作家に優劣なんて無いし、表現技法の差でしかないんだけど、盛り込まれてる内容的に余白があるだけに受け取り手(見てる客)の想像の余地が入りやすく、それでいて作者の意図からブレるほど情報が少ない訳じゃ無いという絶妙なバランス感覚が、プロだなぁという感じです。

あと、この作家さんは矢印をモチーフとして多用していたが、その矢印は行くべき場所を指し示す道標ではなく、作者自身や見る者自身の混乱を反映してるんじゃなかろうかという気がした。1960年代から70年代のアメリカでの生活から得たインスピレーションが作者にこのような作品を描かせたんだと思うが、今は当時よりもっと情報に溢れ、無尽蔵に矢印(誘導)が溢れてる時代なので、感覚的にこれらの作品を見て心動かされる人は多いんじゃなかろうかと思う。

 

展示以外で思ったこと。今回初めて東京ステーションギャラリーに入ったんだけど、こじんまりとはしてるものの、作りは非常にオシャレで、展示場としてのポテンシャル高えなって思った。というか東京駅の駅舎がすげえわ。

今回は館内全体が撮影禁止だったので画像も何もありませんけど、気になった方はギャラリー自体のサイトなどでご確認ください。都会のど真ん中にこんな施設が残ってるのがすごいし、空気感の違いが人のインスピレーションを活性化させるもんだと俺は思ってるので、そういう事も込みで美術館として良い場所だなと思いました。

ギャラリー手前の吹き抜け

普段から通勤、通学などで使い慣れてる人には当たり前の光景なのかもしれないけど、これが残ってる異質感がいいし、おそらく残すために相当な努力をされてるんだろうなとも思う。そこら辺どこにでもあるようなビルに変えちまった方が管理は楽だろうから。でも、そうなるとつまらんよね。

いや〜、久しぶりの美術展。何か目がパッと開くよね。こういう体験、ほんと重要。