おっさん昔語り -漫画編(2)- 後編
前回記事、漫画編(1)では僕の幼少期に
おける漫画との出会い、そこから
高校ぐらいまでの流れを書いたのですが
ひょっとしたら年代的、時系列的に
記述に矛盾が生じているかもしれません。
正直言って何年に何が連載されてたとか
正確な時系列は覚えてないからです。
この作品を初めて読んだのはこの頃と
明確に覚えてるものと覚えてないものが
あります。その辺に関してはご了承ください。
高校卒業後、大学受験に失敗したので1年
浪人させてもらいました。これもおそらく
今の若い人達にとっては何て贅沢なこと
なんだと思われるかもしれません。
今みたいな不況の世の中では大学受験
させてもらえるだけありがたい、もし
受験に失敗したら高卒で就職が当たり前
だと思われるだろう。でもありがたい事に
俺が高校生だった頃はまだ受験浪人を
許してもらえる社会の余裕があったんですよ。
ただ、俺はそういう厚意に対して甘えて
怠けてしまうようなクズ人間な訳です。
浪人の1年間は都心の某○台予備校に
通わせてもらってたんですが、そこまでの
乗り換え駅の近くに「立ち読みし放題の本屋」
があったんですよ。今の時代には有り得ない
どころか、当時ですら「これでどうやって
商売が成り立ってんの?」と思うような
本屋。俺は毎日のようにその本屋に寄って、
漫画の立ち読みを続けていました。この
頃がおそらく人生で一番漫画を多く
読んでいた時期だと思う。
それと同時に、読む漫画雑誌の量も
格段に増えましたね。それまでジャンプ
(WJ)、サンデー(WS)、ヤンジャン
ぐらいしか読んでなかったのが、週刊
少年マガジン、週刊少年チャンピオン、
ヤングサンデー、ヤングキング、
ヤングチャンピオン、ビッグコミック
スピリッツ、ビッグコミック、そして
ヤングアニマルと、同時並行で読む週刊、
隔週雑誌が異常に増えた。おそらく
漫画に逃げてたんだと思う。やっぱ
受験勉強が精神的にしんどかったから、
脇道に逸れて現実逃避してたんだろうな。
現役の時と第一志望を変更して、結局
地方の大学に進学したんだけど、そっちに
行っても漫画を読む習慣は変わらなくて、
というかむしろ一人暮らしになって
精神的に逃げ込む度合いは増してった
ような気がする。自分の現実とか将来の
展望に対し完全に目を背けて、ただ
ひたすら漫画を読んで音楽を聴いて
サークルで遊んで、という日々だった
記憶がある。
ちなみに、中高の頃にアニメや音楽の
影響で既にその存在は知ってたけど
漫画としては読んでなかった、単行本
買ってなかったというような作品を読み、
単行本を買ったのも浪人時代が異常に
多かったな。例えば大友克洋の代表作
「AKIRA」は88年公開の映画で
その存在は知ってて、一発で大友作品の
虜になって95年公開の「Memories」も
高校時分に映画館まで見に行ったけど、
単行本を買ったのは浪人の頃。あと、
今は亡き三浦建太郎の「ベルセルク」も、
平沢師匠がテレビアニメの劇伴をやる
というので存在は知ってて、主題歌の
CDだけは買ってたんだけど、コミックスを
読んだのは同じく浪人の時。ほんと、
WJ, WS以外の作品を読み漁ってたね。
で、大学を出て都内に戻ってきてからは、
漫画を読む熱量が徐々に下がっていった。
というか、読んでる時間がなかった。
それでも習慣で漫画雑誌を定期で読んでた
(購読じゃない、全部立ち読み)けど、
実際の生活からの逃げの意識がより一層
強く感じられたのか、だんだん週刊誌で
漫画を読むのが苦痛になっていったん
だよね。というか、負担に感じてたんだな。
そして、おそらく何かきっかけを
探してたんだろうけど、忘れもしない、
WJの「DEATH NOTE」の最終回が
掲載された号をもって、それまで
読んでた全ての週刊・隔週漫画雑誌の
通読を止めたんですよ。wikiによると
2006年の5月らしい。
だから、僕が漫画をちゃんと読んで
いたのは1985年から2006年までの
およそ20年強。それでも結構な
長い期間か。その後読んだ漫画
というと、単発のいくつかの作品を
除いては「STEEL BALL RUN」と
「HUNTER X HUNTER」だけかな。
ジョジョもSBRが終わってからは
見てない(ジョジョリオンは
1巻だけ読んでる。いつか続きを
読もうとは思ってる)。ハンター
ハンターは現時点(2023年9月12日)
での最新10週は見てない。単行本化
してる分は全部見てる。これはまあ、
いつ再開するか自体見通しが
見えないから、まあ気長に待つさ。
そんな感じで「読む」系の趣味と
しては自分の中で一番長く続いた
(一応現在進行形)ものだと思うけど、
今どき40過ぎでも漫画読んでる人は
山ほどいる中で、俺が20代で漫画を
読む趣味からセミリタイアして
しまった理由を考察するなら、小説や
映画、ドラマも同様なんだけど、
フィクションを受け止める精神の
キャパシティが減ってるというか、
耐性が年々弱まってるからなんじゃ
ないかなと思う。フィクションの
展開って、時に自分にとって
好ましくない展開になることも
往々にしてあるじゃないですか。
俺はメンタル的に弱いのか、どうも
その「先の分からない展開」に心が
保たないみたい。豆腐以下のゼラチン
メンタルだから。そういう意味では
長編漫画、長編小説よりも短編、
読切、単発映画とかの方がまだ
見てられるってのはあるかな。
年齢の変化というか、精神の老化
なのかな、その傾向は漫画に限った
ことじゃなくて、映画なんかにしても
フィクションよりノンフィクションやら
ドキュメンタリーの方がよく見る、
というかほぼそっちしか見ない、
最近は。あとはガッツリエンタメ作品よりしみったれた味のある単館系映画の方が
好みになってるけど、それも歳食って
捻くれた結果なのかなとは思う。
好みの変化だし、キャパが減ったのは
間違いない。毎週何冊もの漫画雑誌を
読んで、100数十本の同時並行する
漫画のストーリーを全部追っていく
という作業がキャパオーバーに
なったから、漫画読まなくなったん
だろうな。俺の場合、物事ゼロか100で
スパッと切っちゃう傾向があって、
少しずつ量を減らすとかが上手く
出来ないんだ。バランスが取れない。
だから何でもスパッとゼロにする
ような止め方をしちゃうんだろうな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?