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著作権・著作者人格権について


はじめに


作品をつくり、いざ世間へ散布っ!と言う時に難しい問題に直面しますよね。

作品を売買するとなれば、権利をどうするのか考えなければなりません。
本記事は作品を扱う時に理解しておかなければならない権利についてまとめました。ぜひ参考にしてください。



作品を扱う上で重要な2つの権利


著作者は著作権著作者人格権の2つの権利を有しています。

これらは2つの大きな違いがあり、
・著作権は他人への譲渡が可能な権利
・著作者人格権は誰にも譲渡が出来ない権利
となっています。

「権利は全て譲渡(委託)します」と記載していても、著作者人格権は取り引きに含まれないので注意してください!


譲渡人側は何を譲渡するつもりで何を記載するのか、譲受人側はその契約内容をしっかりと理解しておきましょう。

次に各権利の内容を説明します。




著作権とは




著作権とは著作者の財産権であり、著作物を独占的・排他的に利用する権利です。

以下の権利を内包しています。


複製権…著作物を複製する権利
翻案権…著作物をアレンジする(小説の映画化や漫画のゲーム化等)権利
上演権・演奏権・口述権…著作物を公衆に上演・演奏・口頭で伝える権利
上映権…著作物を上映する権利
公衆送信権・公の伝達権…放送や通信ネットワーク等を通じて著作物を公衆に配信できる権利
展示権…著作物を公に展示する権利
頒布権…映画の著作物を複製して公衆に譲渡し、又は貸与する権利
譲渡権…著作物や複製物を公衆に譲渡する権利
貸与権…映画以外の著作物や複製物を貸与する権利
翻訳権…著作物を外国語に翻訳し、公表する権利
二次的著作物の利用権…二次的著作物の原著作物の著作者は、二次的著作物の著作者と同じ権利を持つ権利

「著作権」とまとめて言われていますが、実はこんなに沢山の権利が含まれています。

これらの全ての権利は法律上は譲渡可能となっています。一部のみの譲渡も可能なので、著作者は「これは良いけどこれは譲らないよ!」と決めることが出来ます。


著作者人格権とは



著作者の人格などにかかる利益(名誉や作品への思い入れ)を守る権利です。

以下の権利を内包しています。

公表権…著作物を公表するかどうか、公表する場合はどのように公表するかを決定する権利
氏名表示権…氏名を表示するかどうか、表示する場合が本名かペンネームかを決定する権利
同一性保持権…著作物のタイトルや内容を無断で変えられない権利

これらは著作権とは違い、他者への譲渡が出来ない権利です。
しかし、著作者側は行使しない!と主張する事も出来ます。

著作者人格権を行使しない場合、不行使特約が必要になるので、予め「乙(譲渡人)は著作者人格権について、一切行使しないものとする。」という旨を記載する必要があります。


重要なポイント


※著作者側

著作者人格権は著作者の名誉や作品への思い入れを守る権利なので、安易に不行使を決定しないようにしましょう。


※購入者側

作品を著作権ごと購入したからと言ってどんな事にも使用できるわけではありません。
作品を使用して悪い行いをした場合は当然著作者の名誉毀損、著作者人格権の侵害となります。
著作者側が権利を行使するかしないかの話なので、作品を使用する際はよく考えましょう。


著作権譲渡と著作権利用許諾の違いは?

著作権譲渡と似たものとして、「著作権利用許諾」というものもあります。
2つとも他者へ著作物の利用を認める契約を指し、「譲受人が著作物を利用できるようになる」という点は同じです。
しかし、著作権譲渡では著作権ごと移転するのに対し、著作権利用許諾では著作権そのものは移転しません

したがって著作権利用許諾の場合、著作物の利用範囲は「著作者から許可を得た部分のみの利用」に限られるため、著作権譲渡と比べると限定的かつ期限付きという点で大きく異なります。


譲渡・許諾するには


トラブルを防ぐために契約書や規約書で行うのをオススメしますが、口頭でも可能です。


全ての著作権の譲渡を望む場合

「著作権すべてを譲渡する」と記載する必要があります。

但し、著作権の一つである「翻訳権・翻案権(著作権法第27条)」と「二次的著作物の利用権(著作権法第28条)」については、たとえ「著作権すべてを譲渡する」と記載しても、譲渡対象とはなりません。

これらを譲渡対象に含めるためには、「甲(譲受人)に譲渡する本著作権には、著作権法第27条および第28条で定める権利を含む。」など、譲渡する旨を明記しておく必要があるので注意しましょう。


POINT

・どの著作権を譲渡または許諾するのかはっきりと伝える。
・翻訳権・翻案権と二次的著作物の利用権は「全ての著作権」には含まれない。
・著作者人格権を行使しない場合はその旨を伝える必要がある。


著作権譲渡の注意点



譲渡後は著作者でも著作権を無断行使できません。

著作権譲渡を行うと著作権そのものが譲受人へ移転するので、たとえ著作者でも譲渡後は著作物を利用することができません。
利用するためには譲受人からの許可が必要となります。

もし譲受人に無断で利用すると、著作権侵害として著作者側が訴えられる可能性もありえます。

譲渡前にあらゆるトラブルを想定し、譲渡内容を決めましょう。




クリエイティブ・コモンズとは?


クリエイティブ・コモンズは、著作権ルールの普及と作品の適切な流通を目指して活動している国際非営利団体です。日本では「クリエイティブ・コモンズ・ジャパン」が活動しています。

クリエイティブ・コモンズに法的な強制力はありませんが、彼らは著作権法に基づいて活動をしているため、彼らのルールを遵守することが著作権を守ることにつながります。

つまり簡単に言うと、作品に対する意思表示をしやすくしよう!という活動です。

そして、クリエイティブ・コモンズが提供している著作権ツールが「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」です。

ライセンスとして表示するツールが作られたことで著作権が取り扱いやすくなっています。


クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて


クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを以下「CCライセンス」と表記します。

CCライセンスとは、「このルールさえ守っていただければ、私の作品を自由に使っていただいて構いません」という意思表示のためのツールです。
幅広い分野の著作物に使われており、直感的に理解しやすいマークで表記することで著作者の意図を表しています。


CCライセンスは以下の4種類の記号により、特定の著作権ルールを示します。


BY(表示)

「BY」のマークは、著作者名や出典元などの、作品に関する情報を明記する必要があることを意味しています。


NY(営利目的禁止)

「NY」のマークは営利目的で使用してはいけません。

営利目的とは、利益をあげる目的で作品を使うことです。たとえば、画像をWebコンテンツに利用したり、広告に掲載したりする行為は全て営利目的になります。

わかりやすく言うと、「投げ銭機能があるコンテンツで使用する事は、その作品で稼いでる事になるので使ったらダメです。」と言うことです。

利益に関係なく、私的に作品を利用する場合は「非営利目的」になり、その場合は利用可能になります。


ND(改変禁止)

「ND」のマークは「改変禁止」の意味です。
作品を加工せずに、そのままの状態で扱うことが義務付けられます。


SA(継承)


「SA」のマークは、ライセンスの継承を意味します。

SAのついた作品は改変することが可能ですが、改変後の作品を流通する際は、元の作品につけられていたライセンスを付与しなければいけません。


これらのマークがどのように使われるのか、使用例を見ていきましょう。


マークの使用例

表示


この場合、作品の情報を明記すれば、加工(コンテンツの改変)や営利目的の使用が可能です。


表示、継承

この場合、上の例と同様にコンテンツの情報を明記する事で加工や営利目的の使用が可能です。
しかし、元のコンテンツにつけられているライセンスを継承させる必要があるので、加工後の作品に対して勝手に「BY」を剥奪する事はできません。
要するに、加工後の作品を再び他者が改変する場合も、大元のコンテンツの情報を明記する事が義務付けられます。


表示、改変禁止

この場合は著作者情報を表示かつ改変の禁止という意思表示です。
加工は認められず、そのままのコンテンツ使用を義務付けています。


表示、営利目的禁止、改変禁止


この場合は著作者情報の表示と、元のライセンス継承に加えて、非営利目的での使用のみ認めるマークです。
加工などの改変はできますが、利益を生む場所での使用はできません。
また、加工後の作品に対し、ライセンスもこのまま付けておく必要があります。


表示、営利目的禁止、改変禁止

この場合は著作者情報の表示、改変の禁止、かつ非営利目的での使用のみ認めるライセンスです。
利益を生まない場所でさらにコンテンツの情報を明記した上、加工する事なくそのまま使いましょう。



CC0とは?

CC0は著作権の放棄を示すライセンスです。

通常、一定の保存期間を終えた作品はパブリックドメイン*になり、著作権が消滅します。
しかし、「まだ保存期間の途中だけど、著作権を放棄したい」という場合は「CC0」を用いることで、著作権の放棄を意思表示できます。

*パブリックドメイン…著作権が破棄された状態の事を言う。


CCライセンスの表示方法


ライセンスは勝手にマークを付ければいいと言うものではありません。
下記のページで質問に答えるとHTMLコードが発行されます。そのコードを自分の作品にコピペすれば、ライセンスが表示されるようになります。

※一度付けたライセンスは二度と変更できないので注意してください!




著作権フリーの「フリー」の意味


「フリーアイコン」「フリーイラスト」「フリー素材」「著作権フリー」と表記されているからと言って著作権が無い訳ではありません。

譲渡契約について説明した通り、譲渡には契約が必要です。
これらの表記は著作権の破棄や譲渡を示しているのでは無く、利用にあたって追加ライセンス料を取らない事を意味しています。

追加ライセンスを必要としない事をロイヤリティフリーと言いますが、ロイヤリティフリーの著作物には最初に述べた「著作権フリー」などと表記されている事が多いです。

フリーアイコン、著作権フリーなどの言葉とロイヤリティフリーは実質同義となります。



最後に


作品には作者やユーザーを守る権利が設けられています。
専門用語などは他にもたくさんありますが、
ここに記載している内容は作品を取り扱う上で最低限必須になるので、是非参考になればと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。






参考文献

知的財産について
https://houmu-pro.com/property/215/

クリエイティブ・コモンズとは
https://creativecommons.jp/licenses/

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